劇場公開日 2022年6月17日

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「戦争の足音が気になる今だから」PLAN 75 chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0戦争の足音が気になる今だから

2022年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

介護保険制度が始まって20年が過ぎ、介護費用の高騰が報じられています  私はこういった施設に勤めていますが、入所施設なら一人の要介護者にかかる介護費用が月25万、定員100人なら月2500万、年3億、1割の自己負担を差し引いて毎年2.7億円が100人の要介護者の介護費用として介護保険から振り込まれ、その多くは40名のスタッフの人件費となります  2.7億円の半分は税金、半分は40才以上の方が納めている保険料が原資です  軍事予算を増やしたい人は、こういった費用が税金から賄われることを「もったいない」ときっと思っているでしょう  そんなお金があれば「兵器」が買えるわけですから
営利目的で多くの事業者が「介護」に参入してきて、本編でもありましたが保証人を確保できない住宅に困窮している高齢者にアパートを与え、食事(弁当)を与え、生活保護を申請させて、医療づけ・介護づけにして月50~60万を一人の要介護者から稼ぎ出す事業者も蔓延っています こういった「不正」事業者の存在が、障がいや高齢者福祉の「切捨て」の口実となり、その延長線上に「自分の生死は自分で決める」とさも個人を尊重しているかのような、この「PLAN75」に近い発想が権力者から生まれてくる気がします
倍賞さんのあの声は、寅さんを始め松竹映画で昔から聞きなれていて、どのような逆境にも胸を張る、そういった姿を思います  どんなに寂しくても、頼れなくても、最後の場面施設から飛び出して歌う姿は、私たちの知っている倍賞さんそのものでした
私のまわりの施設でも介護職としてインドネシアやフィリピンから働きに来ている女性がたくさんいます  こういった外国の人たちに、私たち自身の老後を託さなければならない現実がある一方、「国の方針を忠実に実行する公務員」「優しい言葉を使って寂しい高齢者を操る事業者」もいるわけですが、倍賞さん・磯村さん・河合さん演じる人物がそれが誤りであることに気づく姿に、希望を持ちました  皆さんおっしゃる通り、私が観た劇場も高齢者の方がほとんどで、時代劇以外でこういった方々が映画館に足を運んでくれるのは嬉しい一方、強い衝撃を受けられたでしょうね
(6月23日 MOVIX京都 にて鑑賞)

chikuhou
When I am 75♥️さんのコメント
2023年2月2日

障害者で老人であっても、税金を払っていますし、年金を貰っても、年金を払っています。『介護保険に税金が使われる』とおっしゃっていますが、そうなのですか?また、若者の負担になるよう税金なのですか?
武器の購入にかかる税金を対立させていらっしゃいますが、寧ろ、そこに問題があるように思うのですが?

When I am 75♥️
カールⅢ世さんのコメント
2022年10月21日

「不正」というより合法的暗黒犯罪ビジネスですね。生活保護費のピンはね以外に医療費や介護費も彼らの稼ぎ(シノギ)になるとは知りませんでした。

カールⅢ世
pipiさんのコメント
2022年6月27日

介護現場に携わる方の非常に深いご見解、勉強になります。

フォローさせて下さいませね。

pipi