劇場公開日 2022年6月17日

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「生死について真正面から向き合わされる」PLAN 75 さくらんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0生死について真正面から向き合わされる

2022年6月20日
PCから投稿

知的

難しい

このテーマは全世界共通だろうし、各国でも社会問題として取り上げられるし、生きているものにとって避けられない永遠の課題であると思う。
狩猟のように、熊や鹿が増えたから猟をして数を減らせってことを人間に適用したってことですよね。
劇中、国はあんなに明るくPR動画をまるでコロナワクチン接種をしましょうぐらいな感覚で流し、楽しそうに話しているご婦人が映っていましたけど、本当の実態は老人たちがやっぱり止めたいと心変わりをしないように誘導するとか、10万円の支度金とかいい側面だけを見せて国をあげての殺人なわけです。

これは高齢者問題に対して、何の法整備もしない、対策もしない国や政府に対しての警笛だと私は感じました。必ずやってくる超高齢化社会。高齢者の雇用、生活保護、孤独死、独居老人…山積みな問題に対して、今私たちがすべきことは何なのか考えなくてはならないと思います。

みちさんこと倍賞さん、稲ちゃんこと大方さん達のリアルすぎる高齢者の日常。
覚束ない足取りでとぼとぼ歩いて坂を登り、息もきれるは、それでも働かなくては生きていけないのかと何のために生きているのかと胸が締め付けられる場面が幾度となくありました。そして、みちさんはでも生きたい!という強い意志を固めたようでした。
ヒロム、成宮さん、マリアさんも仕事として最初は関わっていただけなのにだんだんと情が湧き、何とかしてあげたいという心情の変化を見事に表現されていたと思います。
この作品はカンヌでも大評判でしたが、確かに納得でした。今年の賞レースに入ってくることは間違いないでしょう。

さくらん