「念願の寿命が伸びて人類は、、、」PLAN 75 あやこさんの映画レビュー(感想・評価)
念願の寿命が伸びて人類は、、、
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アインシュタインの基礎理論が原爆に利用されたように、先人が長い歴史の中で知力を尽くして生み出した、医療や食糧生産技術、そして資本主義が、意図せぬ大問題を呈してしまった現代社会。カルネアデスの板のような哲学的思考に陥り、悶々と矛盾を反芻しながら鑑賞。
命の選別という重いテーマにも関わらず、この映画では誰も泣き叫んだりしない。そして絶対悪も登場しない。だから尚更、登場人物の内なる慟哭が伝わってきて辛い。
結局、献身性を制度設計のベースに置くと、みちさんの様な善良で真面目で周囲への気遣いをする人が犠牲になる。
自由意志とは、定義が難しいのだが。監督が、生きているという事、それだけで素晴らしいこと、と仰っていましたが、私も、人は生きている限り、生きているべきだと思う。病気による安楽死問題は、また別次元として。
生命への冒涜は、許されないと思う。
倍賞千恵子さん、主人公の人となり、感情を、抑えた演技で見事に好演。歌声が伸びやかで素敵でした。磯村勇斗さんも、仕事とパーソナルな感情の狭間で揺らぐ心情を上手く表現。
カンヌの報道直後のせいか、いつもスカスカなミニシアターがほぼ満席でした。それだけ少子高齢化問題への関心が高いって事だし、実際街も映画館も高齢者だらけ。
いろいろ考えさせられる映画で、学校教育の教材としても良いんじゃないかと思いました。
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