劇場公開日 2022年6月17日

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「75歳以上の高齢者との関係を描く、故に下の世代に刺さるものが」PLAN 75 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.575歳以上の高齢者との関係を描く、故に下の世代に刺さるものが

2022年5月30日
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鑑賞方法:試写会

怖い

知的

難しい

倍賞千恵子さん、磯村勇斗さん、早川千絵監督の舞台挨拶付き試写会で鑑賞。PLAN75を個々の死生観に置き換えつつ、その周りの人たちはどう考えるか、そこを揺さぶる映画だった。

友人に言われて知ったのだが、もともと監督は同タイトルで短編を撮っていたらしい。構想として温めつつ、多角的な視点と課題を含みながら、高齢化社会を生きる我々の問いへと昇華させたということだろう。そのため、主人公に倍賞千恵子さんを置きながらも、外国人労働者、市役所職員、コールセンター業務と目線を広く見せている。余白も多いので、共感と緊張感、飲まれるような展開たちに心がザワザワする。

導入から世界観が整然としていて、雑味がない。政治的な制御の効かなくなった社会の違和はそこになく、淡々と受け入れながら暮らす人々の姿から、常々問われ続ける。先程書いたが、これは高齢者向けの映画ではない。どのように高齢者と生きるか考える映画なのだ。他人事のように観ていたはずの自分の心に、いつの間にかピントを合わせてくるから恐ろしい。そして逃れられない。

中盤までは凄く主題が効いていたが、後半のクライマックスは賛否分かれると思う。私は賛よりだが、一度打たれたピリオドを超えていなかったのが残念だったという感想に。

主演は倍賞千恵子さん。美しい歌声と悲しみを背負った背中に現実の厳しさを映す。磯村勇斗さんの葛藤、ステファニーさんの持つ死生観も素晴らしかった。しかしながら、河合優実さんが今回も作品の魅力を底上げ。自身も年齢が近いこともあり、移った情に対し、制度を内側から見る目として、凄く大事なポジションを担っていたと思う。

この制度の是非だけで議論を終えず、何が今の日本に足りないのかをもう一度考えたくなった。当事者ではないからこそ見つめるべき視点、まさに「ある視点」がそこにはあった。

たいよーさん。
mrkc7さんのコメント
2022年6月17日

河合優実の最後のシーンでの表情はこの作品のテーマに突き刺さるものだと感じました。

mrkc7