「今日から俺は、Gメン派」Gメン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
今日から俺は、Gメン派
世代によってこのタイトルは色々思い付くだろうが、最も有名なのはあの特別捜査チームだろうか。
現代にリブートして復活…ではない。実は私、当初それかと思った。
伝説の最強ヤンキー。
『東京リベンジャーズ』などのヒットで衰えぬ人気のヤンキー物。こちらもコミックが原作。
しかし、『東京リベンジャーズ』のようなSF要素が入った目新しいものではない。
ダセェ? 最高? 俺たちゃ昔ながらのヤンキーだぜ!
かつては名高いヤンキー校だった武華男子校だが、周囲に4つの女子校が出来、“童貞卒業率120%”として有名に。
それに釣られ、“彼女を作りたい”一心だけで転校してきた高校一年生の勝太。
A組~F組とランク付けになっており、勝太が入ったのは最もドベ。ヤンキー、オタク、バカ、アホが集う“肥溜め”と呼ばれる“G組”だった。
こんなんで彼女出来る訳ないじゃん! 勝太の高校ライフ、危うし!
ところがどっこい、超絶ポジティブ、前向き、ノーテンキな勝太。ナンパに全力投球。
加えて持ち前のフレンドリーさで、問題児だらけのクラスメイトと打ち解ける。
“武華のプリンス”と呼ばれるイケメンの瀬名。常に女の子に囲まれる彼を“恋愛先生”と呼び、仲良くなる。
何故か人を惹き付け、人に好かれる勝太。恵まれないのは女運だけ…。
ある時、他校のヤンキーに絡まれるキャワイイ女の子を助けようとする。
やられるのは目に見えている。相手が。
何と!見かけによらず喧嘩が強い勝太。
それだけじゃない。実はなかなか一本筋が通り、漢気ある。
勝太が女の子を殴った…? 以前勝太にボコられたヤンキーのワナ。
女の子はぜってぇー殴らねぇ!
2年生の伊達。武華でも最強ヤンキーの一人だが、ゲイでもある。勝太を気に入り、思い切って告白。そこを、他校のヤンキーがからかう。
男と女、どっちが好きかなんて関係ねぇーだろうが! 差別偏見ナシ。
それでいて、「伊達さんの事は好きッスけど、俺、ときめくのは女の子なんスよね」。清々しい!
バカでアホだけど、熱くて友情や恋にまっしぐら。身体を張ったアクションも。キンプリ時代全く無関心だった岸優太だけど、これ一本で好感!
そんな勝太を、伊達と3年生の八神が注目する。ひょっとしたらこの1年坊は…。
八神と伊達は都市伝説化している伝説のヤンキー“Gメン”だった。
Gメンと因縁あるサイコなヤンキー“天王会”。その頭・加藤。Gメンに復讐を誓う。
勝太といい感じのレディースチーム“黒天使(ブラックエンジェル)”のリーダー・レイナが天王会に捕まり…。
勝太の拳が黙っちゃいねぇ!
笑いやギャグはベタ。小ネタもヤンキーたちも昭和感丸出し。
友情、恋、青春。ヤンキー・アクション。
もうドストレート。
それなら『今日から俺は!!』と同じかもしれないが、話の面白さ、キャラの魅力、笑いもアクションもテンポもこちらの方が圧倒的。
個人的に本作のキーは“ギャップ”だと思っている。
勝太は一見バカだが、一本筋の通った熱い漢。
瀬名は成績優秀イケメンだが、天然。110の番号、知ってるぜ。竜星涼が好演。
クラスの問題児たちもそれぞれアホだが、憎めない奴ら。矢本悠馬らの笑演。
レディースのレイナは口は悪いが、○女でピュア。恒松祐里が可愛い。
最強ヤンキーとして名を轟かすGメンの八神と伊達だが、彼らも漢。田中圭と高良健吾がカッコいい。
雨宮は学校のマドンナ先生だが、とってもクレイジー。吉岡里帆が最高。笑った。
ラスト。死闘の末に加藤を倒した勝太。
終わらせろ、と鉄バットを渡す八神と伊達。
が、勝太は断る。
こんなの続けてたらいつか死にますよ。こいつらと同じになりたくねぇ!
八神と伊達はその言葉を待っていた。そして現れるのも待っていた。
次の“Gメン”を。
ヤンキー・アクション・コメディという人気のジャンルに、人気アイドルの岸優太を起用して、単なるファンムービーかと思いきや、確かにそれもあるが、それ以上の思わぬ好編だった。
これもギャップ。
後味もスカッと爽やか。
昔ながらのヤンキーなんて、ダセェ?
なかなかだったよ。
夕日に向かって走ろうぜ!
いやもう夜だよ!(今レビュー書いてるのは夜)