「不釣り合いなテスラと大虐殺」悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
不釣り合いなテスラと大虐殺
紆余曲折あった伝説的スプラッタホラーの最新作。第一作の続編に当たる本作は、過去二度製作されたパート2を含め、リメイク版以外のその後製作された作品を綺麗さっぱり消してしまおうというパワープレイを見せる。原題も第一作のタイトルと同じにしている事からもそれは容易に見て取れるだろう。
時は現代であり、主人公らはYouTubeやインスタグラムで発信するインフルエンサー。乗っている車両はテスラ。そう。電気自動車だ。途中内燃機関の車を環境破壊の象徴の様に揶揄するシーンも登場するが、近代化の波が殺人鬼の大御所の元までやって来たという訳か。
「死霊のはらわた」「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスが製作を務めた事もあってか、いつ襲ってくるか分からない緊迫のシーン等の表現が上手い。小さな町が舞台でありながら屋内のシーンが多いのも、緊迫感を高めるためのものなのだろう。
今回は劇場公開されずにNETFLIXで配信となったが、2018年に大ヒットした「ハロウィン」を大いに意識しているだろう。両作品とも大人の事情で本来のクオリティを失った続編が乱発されているという共通の境遇であるが、「ハロウィン」がそうだった様に、本作にも第一作の主人公が登場するのである。当時殺された友人、狂ってしまった自身の人生、これを背負ってショットガンの引き金を引いたのだ。近頃はこの手の手法が流行っているのだろうか。ズバリ本作のテーマは「復讐」だ。レザーフェイス自身も復讐を果たすべく動き、最終的には第一作の主人公と対峙するのである。だがこれだと描いているものが「ハロウィン」と全く同じであり、目新しさはさほど感じない。だが、評価を高く上げたのは中盤の大虐殺シーンだ。過去一番チェーンソーで人をぶった斬っているだろう。これぞテキサスのチェーンソー大虐殺だ。ただ流石に暴れ過ぎやしないかと思ってしまう。劇場公開されなかったのは残念だが、ここからまた再起となるのだろうか。