「関係を失う恐怖も牢獄のような嘘だわ」去年マリエンバートで mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
関係を失う恐怖も牢獄のような嘘だわ
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かなり難解で私には意味がよくわからなかったです。
あとで、「映画史上最も難解な映画」とあり、やはりそうなのかと思いました。
映画では宮廷音楽?(ハモンドオルガン)がシーンに応じて流れているのですが、ストーリーはある男女が「去年会いましたね」「いいえ会っていません」と言い合う問答で進んで行きます。記憶の断片のようなショット続きで、現実感が無く記憶をたどった一つの幻想を描いた映像なのか。舞台はどこの国なのかもよくわからないバロック調の古めかしい彫刻が施された宮殿のようなホテル。社交界に通じる富裕層たちのパーティーでもあるよう。時間が止まったかのような動きがタイムスリップして過去を遡っていくような気がしました。
結局、あの二人の男女はこの世の中に本当に存在していたのだろうか?とさえ思ったラストでした。
モノクロ映像はきれいで、女性が身につける衣装はココ・シャネルがデザインしたものらしく、日常を脱したアート系な美しさがありました。また、映画では「一昔前の装飾」という言葉が何度も登場しますが、製作年(1961)にしては、古さを感じさせませんでした。
配信で観たのですが、巻き戻って再び最初を観てみました。序盤の劇中劇は作品そのものを凝縮したような内容の劇で、「関係を失う恐怖も牢獄のような嘘だわ。すべて終わった話よ」という台詞があり、これが含蓄のある言葉に感じました。
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