「【”極北のアーティスティックムービー。”超難解で、複雑で・・。けれど、ノーブルな雰囲気溢れる意匠、衣装が魅力的な作品。】」去年マリエンバートで NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”極北のアーティスティックムービー。”超難解で、複雑で・・。けれど、ノーブルな雰囲気溢れる意匠、衣装が魅力的な作品。】
ー 初見は、20代である。
中学生から聞いていた、早瀬優香子のファーストアルバム『躁鬱 SO-UTSU』の中の”サルトルで眠れない”と並び、”去年マリエンバードで”が印象的であり、その後も『ポリエステル』まで愛聴していたため、「去年マリエンバードで」をレンタルビデオ屋で発見し、観賞。
で、何が何だか分からず、敢え無く撃沈・・。ー
・その後、2018年、今作が4Kデジタル・リマスター版でミニシアターで放映される事になり、偶々旅先の行きつけのミニシアターでフライヤーを入手。(だが、観賞は出来ず。)
◆フライヤーに記載されていた事
1.世界文学に地殻変動を齎した一大ムーヴメント<ヌーヴォー・ロマン>の旗手、アラン・ロブ=グリエ(今作の脚本執筆)と<ヌーヴェル・ヴァーグ>を先導したアラン・レネ(今作の監督)は運命的なタイミングで遭遇。彼らのエレガントな知性と自由な想像力は、複雑精緻に融合する。
2.今作主演のデリフィーヌ・セイリグが身に纏う衣装をココ・シャネルが担当。シンプルにして、エレガント、モダンにしてクラシカルなアイテムの数々は「ドレス・ア・ラ・マリエンバート」と呼称され、世界的なブームを巻き起こした・・。
他、ジャン・コクトー、アルベルト・ジャコメッティの今作に対する賛辞が記載されている。
◆久方振りに観た感想
・瀟洒なバロック風のホテルに集った男女のブルジョワジー達が、カードゲーム、射撃(これが、又不思議な描き方である。5人揃ったタキシードに身を包んだ男性達が、横一列に並び振り向きざま的を撃つ・・。)などに興じている。
・彼らは、意味があるのかないのか分からない会話をしながら、屡、静止する・・、マネキンのように。
・ホテルの前には、シンメトリックな庭が広がり、主演の男と女は”去年、会った・・””覚えていない・・”と言う会話をココ・シャネルの衣装を身に着けながら、交わす。
<二度観ると、”何となく、今作が発表当時に多くの芸術家たちに激賞された理由が分かった気がする”作品。
今の言葉で言うと、”洗練された衣装、意匠”及び、”当時のカルチャーを牽引していた文化人が製作した映画”に皆、ヤラレチャッタのであろう。
だが、今作を否定する積りは全くなく、公開後、60年経過しても世に名を轟かすだけの事はある、先鋭的でアーティスティックな作品であった。>