劇場公開日 2019年10月25日

「短期記憶と考察と」去年マリエンバートで ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5短期記憶と考察と

2019年10月26日
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男と女は一年後に、約束通り再会した。
しかし、女は一年前の出来事どころか、約束したことさえ覚えていない。
去年マリエンバートで出会ったことや二人の出来事を、なんとか女に思い出させようとする男と、その回想。
静止する人々の中で自分と男だけを動かして、女は記憶を徐々にクリアにし、回想する。
だが、夫も介在してくる。

複数の視点で特定の事象を観るという代表的な作品だが、ホテルとその庭園が舞台で、時制や誰の視点・回想なのかキャッチアップするのに苦労する。

ココ・シャネルのデザインしたドレスに注目しても、モノクロなので、途中からこんがらがってくるし、静止してるはずの人が少し揺れたり、浮いてる男を見つけて、そっちに気を取られたり(笑)、本当に集中力を要する。
あと、ゲームも思考の邪魔をするし…。

黒沢さんの羅生門は、同様な手法で、人間のエゴを炙り出したとされるが、この映画は何を言いたいのだろうか。
きっと、そこがポイントではないのだろう、とても実験的な映画だ。

難解と言われているが、僕は、男と女は、「去年マリエンバートで」死んでいるのだと思う。
男は庭園の高い場所から落ちて、女は夫に撃たれて。
そして、死んだことを当初はお互い理解していない。
男も実は死んだことを理解してなかった。

最後に。女と男は記憶を取り戻し、ホテルを出た。
もしかしたら、二人は一年もの間、約束の日まで、そこにとどまっていたのだろうか。
考えると切ない気もする。

映画研究では重要な位置づけの作品なので、興味のある人は調べてみてください。

4Kリマスターで、ココ・シャネルのドレスは余計きらびやかになりましたが、どのみち、あれ?あれ?みないな、集中力は途切れましたね、僕は。

ワンコ
kossyさんのコメント
2020年2月20日

ワンコさん、コメントありがとうございます。
ワンコさんの仮説はピタリと当てはまりますね~
その後も二人は永遠に同じことを繰り返すと考えると悲しくもありますね…

kossy