劇場公開日 2023年6月23日

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遺灰は語るのレビュー・感想・評価

全22件中、21~22件目を表示

3.5シニョリータ・ピッキ・ピッキ

2023年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

縁起とか権威とかいった実体のよく分からない抽象的なモノを何となく慣習的・無自覚的に受容する一方、作家や芸術家の遺徳を偲ぶとなると途端に非本質的な実体(生家とか愛用の万年筆とか遺灰とか)を有り難がって作品自体の評価を避ける傾向を貴方は持ってるんじゃないですか?と問われているような気がした。
例えば美術展の会場で、説明文ばかり熱心に読んでメモまでしてるのに肝心の作品はチラ見して次へいく,みたいな人は…

腫れ物を運搬するドタバタ道中物だと勝手に思い込んでたら意外にヘビーだった。

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ひろちゃんのカレシ

4.0死ぬこと考えてなかった。でも人間は必ず死ぬ メメント・モリ

2023年6月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

前半はモノクロでピランデッロがノーベル賞を受賞する場面は映画ニュースのよう。死の床にいるピランデッロの独白のシーンはシュール、死ぬときはこんななのかなあと思った。戦後の映像はネオレアリズモの映画を彷彿とさせた。イタリアの映画なんだよ!って監督が伝えてくれるみたい。

そしてピランデッロの遺灰が主人公になるとロードムービーになる。迷信深いイタリア人が飛行機からみんな降りてしまったり(おまじないの手振りが面白かった)、遺灰をしまってある大きな木箱がどこやらに行ってしまったり。そしてやっとシチリアに着いたと思ったら遺灰を入れる棺桶が子ども用の小さいのしかなくて、バルコニーから葬列を見下ろす老若男女に笑いが伝染する。一人の女の子が「棺桶小さいね、こびとさんのお葬式?」と言ったから。笑ってはならない状況なのに、ママ、パパ、おじいさんその他その他へ伝わってバルコニーのみんながおもわず静かに笑ってしまう。お葬式ってそういうことよくあるなあと、普遍的な笑いと可笑しさに暖かみを感じた。子ども用の棺桶しか無かったのは、伝染病で人が沢山死んだから。イタリアは昔からパンデミックの記憶を文学に映画に残す。日本はそうでもないなあ。

シチリアの濃い青の海。そう、美しいすべすべしたモノクロからいきなりカラーになる。そしてピランデッロが死の20日前に書いたという戯曲「釘」が映画として私たちの前に繰り広げられる。シチリアの男の子が父親と移民としてニューヨークに渡りレストランを開く。音楽に合わせて踊るかわいい男の子。

その男の子はピランデッロだろうか?大人たちと一緒に食事をしないで外に出て釘をたまたま見つけたのも喧嘩している二人の女の子を見たのも、全部定めで縁で運命なんだろうか。約束通りに、必ず墓参りに行く、どんなに年とっても。

いつ死んでもおかしくないし何歳まで生きるかもわからないけれど、死を身近に感じた。少し怖い。でも笑ってくれる人がいるかな、忘れないでいてくれる人もいるかな、とちょっと安心する気持ちも生まれた。91歳の監督が作った映画なんだから、身を委ねて見ればいいんだ。音楽もとてもよかった。

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talisman