「パオロ自身の遺言ともとれる美しい映像詩」遺灰は語る エロくそチキン2さんの映画レビュー(感想・評価)
パオロ自身の遺言ともとれる美しい映像詩
思えば1977年のパルムドール作『父 パードレ・パドローネ』が日本で公開された1982年に出会ったタヴィアーニ兄弟。ベルトルッチ、トルナトーレなどとともにフェリーニ亡き後のイタリアを代表する映画監督と言って良いかと。
知らんかったけど、お兄さんのヴィットリオが2018年に亡くなられたということで、これが弟さんパオロの初単独監督作になるのですね。
1934年にノーベル賞授賞式からスタートするドキュメンタリーなイントロ。戦前、戦中、戦後のイタリアの空気を駆け足で伝えた。
34年にノーベル文学賞を受賞し、36年に亡くなった文豪ルイジ・ピランデッロ。彼の遺灰が遺言に従ってローマから故郷シチリアへ運ばれるまでの旅が、美しいモノクロ映像に鮮烈なカラー映像を織り交ぜて描かれた。
ユーモラスで、シニカル。何より美しい映像詩として結実した。いい気分に浸った。
ある意味、遺言とも取れる今作が最後の作品にならないことを祈って🙏
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