マイ・ブロークン・マリコのレビュー・感想・評価
全268件中、221~240件目を表示
大丈夫
二度目の「大丈夫に見えますよ」が良いんですよね。
シイノの未来に対して言っている様な感じで。
シイノは変わらない日常に戻っていくのだけど、それでも日常が少し違って見える様になったんじゃないかな。
そして、手紙って受け手の状況も大事なんだなと気付かされました。
同じ手紙でも、読むタイミングで内容が違って感じるかも。
最後のシーン、手紙の内容は観ている人には分かりません。
だけど私は思ったの、この手紙を遺骨との逃避行の前に読んだとしたら、あの笑顔は溢れなかったかもしれないと。
この旅を通して成長した彼女だからこそ、あの手紙をしっかり受け止められたんじゃないかと思うのです。
綺麗な記憶が残るっていうのは、嫌な部分の記憶が薄れるだけじゃなく、人の成長が記憶を綺麗にしていのかもしれませんね。
壊れたマリコを救いたくなる作品
福岡市では上映箇所が少ない「マイ・ブロークン・マリコ」キノシネマ天神で鑑賞してきました。85席のゆったり会場でしっかり観てきました。
原作を読んだことも無いので、「ブロークン・マリコとは?」疑問を持っての鑑賞でした。冒頭に近いシーンで芽郁ちゃんが包丁を持ち遺骨を奪う時の長めのセリフ、後半の奈緒さんが腕を骨折した状況での笑い泣き感のある表情に、ブロークンが溢れていて、2人の女優魂にやられた感じでした。やばい状況の表現に違和感なく、演技力の自然さにまたまたやられました。(実は奈緒さんもスゴイ)
ブロークンが世の中に蔓延しないことを切に願い、大事な人を大切にしたいと思う一本でした。芽郁ちゃんの次回作「母性」にも期待します。
遺骨持った人がいたらどうしよう
タイトルどおり、マリコはぶっ壊れてた。
虐待されてたりDV受けてたりする人は、自分が悪いから、自分のせいでと洗脳状態にされている。
マリコも同様、何も悪いことしてないのに。だから呼ばれたらホイホイ行って、怪我をする。そりゃシイちゃんも鼻血損。
尾美さんは昔から大好きな役者さん、今回は一つも擁護できないクズ父を好演。
永野芽郁さんは、この映画のためにタバコを覚えたそうで、いい具合にやさぐれてた。ちょっとがなり過ぎかなとも思ったけど。
大切な人を亡くしたら、いろいろ後悔が残る。シイちゃんの「死んでちゃ分かんねぇだろ」のセリフは、まさにその通り。すごく悔しくて寂しくて、グチャグチャのシイちゃんにグッときた。
地元で撮影された映画、見慣れた駅のバス停に永野芽郁が降り立った、これは事件だ。なんか嬉しい。
だけど、そのバスは海には着きませんよ。
半分ホラー
大丈夫そうに見えます
大好きな永野芽郁が小汚い役をやるなんて聞いたら、興味が湧かないわけがありません。しかも、予告はたまらなく面白そうだし、尺短いし、監督は「浜の朝日の嘘つきどもと」のタナダユキ監督だし、楽しみ要素満載。割と期待していたのですが、想像以上にパンチが強く、いつの間にかノックアウトされていました。面白すぎるぞ、この映画...。
とりあえず語らせてくれ、この女優について。
「君は月夜に光り輝く」「そして、バトンは渡された」では観客の心を揺さぶる名演技を、そして「仮面病棟」「地獄の花園」では新境地をみせ、女優としてのスキルを確実にレベルアップさせてきた永野芽郁。
そして本作では、死んだ友人の遺骨を親族から奪い去り、共に旅に出るというかなり変わったシイノという役を演じています。これが、ヤバい。清純派女優は捨ててきたよう。酒を飲み、タバコを吸い、生意気で、下品で、口が悪い。今までの永野芽郁からは考えられないキャラクター設定なのにも関わらず、彼女はこのシイノという役を熱演。なんかもう、憑依。これまで、どんな感じだっけ...と過去作の演技を思い出せなくなるほど、とんでもないものを披露。まじ、二重人格なんじゃないかってくらい人が違う。でも何故か、この役は永野芽郁にしか出来ないと思うほど、めちゃくちゃハマっている。心奪われるどころか、全身全て持ってかれそうなくらいでした。ちょっと、この女優大好き過ぎる。。。
そもそも、この85分という非常に短い間の中で、ここまでマリコ(奈緒)とシイノというキャラクターの人物像がしっかりと描かれ、魅力が溢れ出ているのに、衝撃を受けたよね。なんでこんなに感情移入出来てしまうのだろう。そして、なんでこんなにも愛おしいキャラクターなのだろう。雑で適当で汚いけど、真っ直ぐでひたむきで正直で、なにより友達思いなシイノの性格に、自分でもビックリするくらい心打たれました。こんな友人が欲しい。こんな友人のそばで生きていたい。
演技、キャラクター設定、と来て、次に最高なところは疾走感。走って、走って、追いかける。テンポの良さも異常だし、話の展開にも無駄がない。主人公の駆け抜ける姿を見ていると、画面越しに冬の冷たい風が感じられるほどなんだけど、決して中身が無いわけではなく、それどころかどのシーンも印象に残るくらい、ワンカットごとのこだわりがすごい。短くて、テンポよくて、濃厚。こんな最高なことあります??
「川っぺりムコリッタ」「アイ・アム まきもと」そして本作と、遺骨をテーマにした作品が相次いでいますが、個人的には作品自体の面白さといい、遺骨への向き合い方といい、今作が群を抜いてベスト。あの2作品のような向き合い方もいいなぁと思いましたが、もし自分が死んで遺骨となった時にってことを考えると、話し相手となり、共に旅をし、今までと変わらず友達のように接してくれるという本作のように扱われることが、どれだけ幸せかと。1番リアルだけど、1番夢がある。死んでからもめちゃくちゃ楽しい人生。主人公と全く同じ状況に立たされたら、こんなこと出来るはずがないんだけど、自分が死んだ側ならこんなことしてくれるなんて幸せ以外の何物でもない。
窪田正孝が謎の優しい人ってのもめちゃくちゃ良かったし、永野芽郁が色んな人に毒を吐くのも超スカッとした。いいセリフもたくさん。こんなに笑えて、こんなに泣ける映画、いつぶりだろう。もっとエピソードが欲しかった、もっと見たかったという思いでいっぱいだけれど、これはこれでも大満足。10月2本目にして、最高の作品と出会えました。この衝撃を、ぜひ劇場で。
不思議な感覚に落ちた
役者陣の演技を堪能
2022年劇場鑑賞225本目。
表情の演技に定評のある永野芽郁主演に、自殺した親友を奈緒、名乗るほどのものじゃない人役に窪田正孝がそれぞれシーンを引き締めます。声の演技はちょっとそこまでじゃないのでアニメの声優だと永野芽郁はちょっとあってなっちゃったんですが・・・。この映画は永野芽郁演じるシイちゃんをずっと眺めていられます。喫煙者嫌いだし、この映画のためにわざわざ煙草吸う練習(ニコチンフリーらしいですけど)させられたと思うとそこだけ不憫ですが、後半だんだんそのシーンもなくなっていくことからも意味のない喫煙ではないので許容。
窪田正孝もかっけぇなあ!という感じでしたし、上映時間もちょうどよくダレる間もなく終わっていい作品でした。
この後マリコに近そうな役を「母性」ですぐ見られると思うと感慨深いものがありますね。
俺だって救われますよ、こんなの。
受け止め方次第で世界は変わる
亡くなった親友の遺骨を"強奪"するために窓から飛び降りる衝撃的予告。完成披露試写会で見せた永野芽郁ちゃんの自信も相まって、公開を待ちわびた一作。
何度も手を差し出した親友の予期せぬ死に対する「なぜ」という思い。しかし本作では、その死を「どう」受け止めるかに焦点を当てている。
印象的な場面は、やはりシイノ(芽郁ちゃん)がマリコ(菜緒さん)の遺骨を奪い取るシーン。
最終目的を成し遂げるため、取り繕ってマリコの実家に"侵入"するシイノ。遺骨を前にうなだれる父親に震え上がる。実の娘を虐げ被害者面している彼に対する怒りはもちろん、親友を亡くした悲しみと救えなかった自責、衝動的な行動へ突き動く感情の高ぶりなどを纏わせる、罵倒にも近い捨てゼリフは、まさに心が震える。
沸き上がる感情を詰め込んだ表現力に、涙が零れ落ちたのは久々の感覚だった。そして、あの短時間で威圧感たっぷりの眼光を見せつけた尾美さんも素晴らしかった。
ふたりの絆を深めるラストカットも見所。「なぜ」をあまり知りたくなかった自分は少し安堵。普段のとりとめのない話題だったかもしれないが、それはふたりにしか分からない。シイノ(芽郁ちゃん曰く自分3割)の豊かな表情にも注目だ。
菜緒さんも6月に舞台を観に行った大好きな演者。朗らかで脆さ漂うマリコを好演した。細かい点だが、回想シーンのセリフを映像より先出しする編集も好み。
遺骨を傍らに携えた"二人旅"を終えた現実世界は、何倍も強く健やかだ。亡き親友と共に生きる決意を固める疾走感あるショートトリップを、ぜひ大スクリーンで。
※上映後舞台挨拶つきの観賞。取材なしのリラックスムードでこぼれ話を拝聴できました。
リハに強かった日本製線香花火が、本番では中国製に取って変わられたエピソードが面白かったです。笑
キャッチ・ミー イフ・ユー・キャン
原作は購入、読了していたので
映画化されると聞いて楽しみにしていました。そして本日観賞。
「単行本一冊を映画にするって時間的に展開が延ばされてしまう?」と懸念していましたが
上映時間はおよそ90分なので無駄な追加要素はほとんどなく、むしろ原作でアッサリ流された部分のシーンを追加しているのでありがたい。
なにより90分は見やすい。
中身も個人的には満足。
上記にも書いたようにムダな引き延ばしがほとんどなく、イイ原作をちゃんとしっかり映画化してくれた、という感じ。
中身が良いから話題になったのに
映画化するとなると
監督や脚本家が張り切ったりお偉いさんが口挟んだりして中身が変えられる→中身が崩れて駄作になる、なんて事も多いので
今作はその観点からもこれまたありがたい。
演技の面でいうと
特にマリコと中学生時代のトモヨ、
この二人の演技が素晴らしく思えた。
窪田さんは野暮ったい格好しててもイイ男がにじみ出てる。
永野さんのガラ悪い演技珍しすぎて面白い。ちょっと似合わない所も含めて。
全体的に満足しましたが
ただ気になった事がなかったワケではない。
主人公の独り言が多い。
いや、正確に言えば多い事が問題じゃない。
独り言が多い人は家だろうが一人だろうが本当によく喋る。自分もその一人。
ただ独り言にしてはハキハキしすぎている。そこだけ舞台のように感じた。
現代のマイクなら小さい音でも拾ってくれるのでもっと独り言らしくボソボソと、なんなら観客が聞き取れるか微妙なレベルでもいいから声量や滑舌など気にせずに喋ってくれれば更に良かったな、と感じた。
まぁそこ差し引いても全然満足しました。
そ、そ、それ、俳句からは遠過ぎるだすw
今年の邦画のダークホース来た!w
タナダユキ監督が好きなんだと思います。と言うか、直近3作が「浜の朝日の嘘つきどもと」「ロマンスドール」「お父さんと伊藤さん」です。全部好きですもん。4打席連続長打、と言うか4試合連続ゴール、的な当たり感。だから、好きだと思います、じゃなくて好き、大好きw
堪らんなぁ。泥臭い人物設定。熱血でもなく、ニヒルでもなく。隣に住んでそうな女子とか、隣のビルで店を開いてそうな会社とか。男女が不必要にベタベタしないし、上から目線の説教もないし。なんと言っても、歯磨きするしw
いやー、映画の中で、歯磨きしませんよね、皆さん。結構w
要するに、まさに現在、日本のどっかで繰り広げられてる、どっかの誰かさんの物語であるよ、って素直に受け容れてしまえるんです。
でもって、リアルに泥臭くて、綺麗事にも無駄な感動話にもしないって言う。
やっぱり好きw
それと永野芽郁さんですよ。コレは来た。来ました。二皮くらいは剥けた感あり。長回しにたじろぎません。1人で物語を、難なく背負ってます。余裕で背負ってます。ラストシーンなんて、手紙の内容なんかどーでも良くなるくらいに演技だけでココロ持ってかれます。いや、彼女の中学生時代役の女の子も凄く良かったですけど。伊藤沙莉ちゃんを思い浮かべてしまいましたw
そうかぁ。タナダユキ監督作品って、どれも主演女優がめちゃくちゃ良い芝居してるんだ、そう言えば。あー、タナダユキ監督作品が好きな理由は、これかw
自分自身、今、スッキリ腹落ちしましたw
良かった。
とっても。
ワイルド永野芽郁
俳優さんたちの演技力を信じて、説明的描写を割愛した脚本なのだと思います
原作でどう描かれているのか、まったく知らないのですが、この映画では、次のようなことは具体的には描かれていません。
①マリコは児童養護施設に引き取られていないので、父親の虐待は、児童相談所に通報されるような傷が目立つようなやり方はしていないのではないか。つまり、それだけ父親は狡猾さも持ち合わせたモンスターである。(映画の中では、かなりキズやアザが目立っていましたが)
② 回想シーンでは、マリコは学校に普通に通えていたように見える。ということは、虐待の気配を感じながらもご近所や学校は見て見ぬふりをして問題の表面化を避けてきた。
③そのような過酷な境遇にいるマリコを、きっとトモヨだけが無視することなく友達で居続けた(トモヨ自身がマリコ以外の他人とはうまくやっていけなかったのだとしても)。そして結果的には、イジメっ子たちからも守ってきたのではないか。
クソ先生ども、クソ父兄ども、クソクラスメートども、という感じで。
モンスター父との闘いやマリコを取り巻く悪意や無関心(見て見ぬ振りをすることも含めて)との勝ち目の無い闘い…そういうトモヨの〝無鉄砲〟ともいえるクソ人間どもへの反発心が、読む者、見る者の共感を誘うのだと思います。
これらの描写を映画のストーリーの中ではくどくどと見せない。
この映画は、説明的な描写は敢えて控え目にして、永野芽郁と奈緒という、この作品のキャラクターになり切れる稀有な表現力を持つ女優ふたりにそれらの背景説明まで委ねてしまったのだと思います。
奈緒さんの悲しい笑顔が出てくるたびに泣いてしまうし、永野芽郁さんが、セリフ以上に雄弁な表情や仕草で必死に抗う姿に震えるほど感動してしまいました。
ついでみたいで恐縮ですが、窪田正孝さんの静かで説教臭く無い〝大丈夫〟もとても良いスパイスでした。
あのブラック企業のクソ上司も、ラストのほうの描き方からすると、意外と〝ただのクソではない、実はいい奴〟な感じがして、なかなか良かったけど、あの会社、いったい何を売ってるんだろう?とても気になります。
やっぱり永野芽郁
最初、このシーちゃんは永野芽郁の役かな?と思ったけど、いや永野芽郁じゃなかったらもっと重く暗くなってたろうし、永野芽郁だからずっと観てられたから、やっぱり永野芽郁だ。
タバコ吸う永野芽郁もいいな。
叫ぶ永野芽郁もいいな。
大丈夫に、見えるな。
やっぱり永野芽郁はいいな。
マリコは奈緒以外考えられない。
窪田正孝も良かったし、鬼畜父親が気の弱そうな尾身としのりなのも良かった。
ふたりの子ども時代の女の子たちもすごく良かった。
俳優さんたちがみんなこの人でなければ、って思えるほど好演してるのは、俳優さんたちの演技力は勿論だけど演出の力が大きいんだろう(川っぺりムコリッタの時も思った)。
演出にも演技にもすべてにおいて熱いものが感じられる作品でした。
(それ、とはえらい違い)
確かな手応え
めんどくせぇ 奴♥ ブス美とブス代の26年の一期一会
アメリカン・ニューシネマのエンドマークが出る当たりからこの映画の物語は始まる。
『もういない人に会うには、あなた自身が生きているしかない。』
『くっちゃべってる間にどんどん忘れて行くんだよ。綺麗なあの子しか思い出せなくなる』
死んだ事なんて関係ない26年の彼女達の一期一会だ。
大事なキャラクターや設定を惜しげもなく使って、一期一会の如く描くロードムービー。何も理由が明かされない。
笑ってんだから、良いじやん。
主演二人の代表作でしょうね
永野芽郁、奈緒二人とも代表作ではないだろうか。
シーちゃん(永野)の生い立ちやプライベートへの描写、言及が省かれているのが、変な説明や技巧を見せつけていなくて良い。
時間も短いが、急ぐことのない語り口だし、ラストは見事です。マリコからの最後の手紙を読み、泣き笑うシーちゃん。きっと手紙は、マリコからのいつもの内容だったから。自殺だったのではなく、事故死だったのだろう。それがシーちゃんには(私にも)「救い」だった。
私がほぼ毎年のように訪ねている八戸を撮影地に選んでくれたことに感謝します。
飛び降りる
シイちゃん2回飛びましたね。2回とも飛び降りるシイちゃんがスローモーションでとても美しかった。シイちゃんは心も身体も(骨折で済んだのが)強い人だなあ、と。そして優しい。親からの筆舌に尽くしがたい虐待とDV彼氏のせいでぶっ壊れてしまったマリコに寄り添うには強くならなければいけなかったんだよね。シイちゃん自身もそれで自分を保っていけたのかもしれない。マリコの言った「シイちゃんから生まれたかった」がわかる気がします。マリコ、自分で終わらせた人生にシイちゃんがいてよかった。多くの人にシイちゃんはいないから。最後にようやくシイちゃんの笑顔が見られました。
人が一人死んだことは、多くの人には日常。日常を生きる私たちの宿命でしょうけど。
全268件中、221~240件目を表示