カモン カモンのレビュー・感想・評価
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やっかいな、大切な、贈り物
最近監督の名前あまり覚えないので観ていて「20センチュリーウーマン」に似ている、と思ったらマイクミルズというのはまさにその人だった。
何を思ったかというと、ロケーションや美術、空撮、衣装などのセンスはいい、役者も自然で、脚本も自然となるようなシチュエーション中心にしてドラマっぽくなるのを排除してる。だけどもうちょっとドラマ的膨らみもあっていいんじゃないか、と思うくらいにフラットな数珠繋ぎで話が進むのが似ている。小津とかロメールとかホンサンスとかとも違う。
とても質の良い空間ぎ繋がってゆくのだけど初見では乗りづらい。ただ、少年が異様なくらいにかわいくて、大人びて、うん、モンスターに思える。いい意味で。知的な大人の男からすると、最も手に負えない生き物としての存在感が異様。いい子でも悪い子でも、ましてや自分の子供の頃というサンプルも相手にならない、けれどどこかで通じ合ったりもする、脚本で書かれててもその正体がわからないものが映画に映っていた、と思う。
と、思ってまとまりに入った振り返りのナレーションでボロボロ泣けてくるのだから映画はわからない。なんでもない、なんとも説明のつかない時間が確実に存在したのだと、そういうのに弱い。
すごく退屈な抽象的作品。つまらない・・「ジョーカー」の180度反対の作品。「子供の主張」にウンザリ。
ホアキン・フェニックスが「ジョーカー」のために
痩せ細って、役作りに徹したことで星⭐️1つ追加・でも本来なら星一つの
超つまらない、説教くさい「芸術作品」
若干、昔のNHK【今のNHKじゃ無いよ】教育テレビ臭がしてきてたまらない。
苦痛すぎて、眠ることすらままならない、名画座的な「芸術作品」。
ニューオリンズ=ジャズ的な能天気さは良いけれども
モノクロである意味がわからないし、中年男と甥っ子のロードムービー
にしては「珍妙さに欠ける」芸術作品。
娯楽として映画見ているワシとしては耐えられない。
行ったことないけど「ルーブル美術館」とか「大英博物館」連れてかれたら
多分同じ感じだろう。
何度時計見たことか・・・つまらないのだから仕方ない。
もうチコっと「珍道中→距離を縮める」が有ればイイのだけれども
双方の感情の起伏を欠く「日常の描写」作品。
イヤイヤ映画はエンタメなんだから描写にアクセント・・と言っても
「芸術志向」の制作陣と俳優には届かないでしょうね。
この作品の前に見た「マリー・ミー」の娯楽性、サービス心がまるで感じられない。
多分、観客の半分以上は「ジョーカー」で名を上げたホアキン・フェニックスだから・・
で観たと思うけど・・・残念。
子供は無邪気が一番だよ・・・
そもそもね、確かに子供は可愛いい。自分と血のつながりあるなら尚更だ。
自分の子供なら目に入れても痛くは無いよ。
でも、今更「ラジオ📻」なんて時代遅れだし、散髪屋さんとドライブする人以外
は聴く人激減してるでしょ・・んな状況で
「子供の主張」なんて聞きたく無いよ。主張は「最低限の経験則」に基づくから
意味があるのだよ。「自分自身であることがスーパーパワー」なんて生意気な主張は聞きたく無いよ。
大学生ぐらいの人生の経験則有れば別だけど・・・
ジョニーとミニ・ジョニー
仕事でオークランドに滞在し病んでいる旦那の面倒をみに行く妹の子を預かることになった独身男と:9歳の甥っ子君の話。
母親に沢山愛情注がれて育ち賢いけれどちょっと個性的な趣味を持つ甥っ子ジェシー。
ジョニーもジェシーを可愛がり親身になるけれど、ジェシーのいたずらや奇行に翻弄されて越声を荒げてしまったり…。
決して仲が悪いわけではないけれど、妹とわだかまりを持つ伯父さんと、賢過ぎて自分を閉じ込める甥っ子の二人が微笑ましくはあるけれど少し哀しげで、周りの協力を得つつ心を通わせていくストーリーは、少しマッタリテンポではあるけれど、なかなか面白かった。
ただ、二人とも抱いている感性や感情が、自分には無いものが多く、解るような解らないような…とちょっと理解するには難しさも感じた。
原題のc’mon(come on)にはいろいろ意味がありますが、この作品では前向きに励ますためにつかわれているようです
原題は「c’mon c'mon」で c'monはcome onの短縮形です。
come onにはいろいろ意味があって、「こっちにきて」というのが一番なじみがありますが、前向きに励ますためにも使われるようです。
ストーリーは、急に甥っ子を預かることになった叔父と甥っ子の関係を描いたもの。
中年独身インタビュアーである叔父と情緒不安定な甥が色々な出来事を通して信頼関係を築く物語というとわかりやすいのですが、多分この説明は一面的な見かたなんだろうと思います。
「ジョーカー」でオスカー取ったホアキンフェニックスをインタビュアーという役柄で使う必要はないので。
ホアキンフェニックスが多くの子供たちにインタビューし、将来について語らせています。
「予想したことは起きない、予想しないことが起きる。だから前向きに」、といったようなことを誰かが語ります。これがこの話の肝でしょうかねえ。
予想したことは起きないということで、自分が想像していた映画の結末は、
・モノクロ
・甥っ子が録音機器を扱う
・叔父が途中で倒れる
ということから、子供だった甥っ子が大人になって困難に立ち向かう際に昔録音した叔父さんの言葉を聞き返して自分を励ます話かと予想しました(←大外れです)
出演した俳優さんの演技は上手ですが、話の盛り上がりには欠けるかなあ。
ウディ・ノーマン君の演技力に驚いてばかり
昨日見た『パリ13区』と同じく、モノクローム映像なんだけど、ドキュメンタリータッチのせいか、怒涛のように眠気が襲ってくる。ジェシー役のウディ・ノーマン君の恐ろしい演技力に感心しながらもウトウトしてしまう。
ジョニーの甥っ子であるジェシーは、繊細で感受性がものすごく鋭い。観察力や洞察力も並外れているため母親の嘘や叔父さんの言い訳なんか簡単に見破ってしまう。それでいて甘えん坊で、ワガママなところは普通の少年と変わらない。自分だったら、こんな甥っ子を半日預かっただけで、ギブアップ。
ジェシーのパーソナリティが、ウディ・ノーマン少年の気質そのものとしか感じられない。彼の演技でそれを実現していたとしたら驚異的としか言えない。ラストでの自然な演技も末恐ろしい。
正直なところ、私には分からない映画でした。
夫の病気のため、急遽妹の息子を預かることとなった独身中年男と9歳の甥との共同生活を描いた映画。
主人公やその妹も、また甥も心の奥底にこだわりや悩みを抱えている。しかし、それを表に出すことはなく日々生活を送っていたが、子供と同居することで、解きほぐれていくという物語だと思うが、私には理解できなかった。
悩みや苦悩があっても、人生を先へ先へ(カモン カモン)と進めて行け。これがテーマか?
自分の9歳の頃を思い出すと、この甥のように小邪魔ってもいなかった。ちょっと例外的な子供に思える。
主人公がインタビューする子供達の「未来」に対するコメントが、悲観的なものが多いのに少し驚く。また、大人達をしっかりした目で見ているなと感心した。
なぜ、白黒映画にしたのか。その理由が正直わかりません。
街をハイアングルから撮る映像や高層ビル群を遠方から撮る映像がよくでてきます。人が住んで生活している場所だと表わしているのでしょうか。
とにかく、観て後悔した映画でした。
【声を聞く映画】
突如甥っ子の世話を任された叔父は、その声や話に耳を傾け心を通わす。劇中で紹介される子ども達の未来へのリアルな声に、自然と思いが巡る。ホアキンと子役の名演にジワリ多幸感が広がる一本。
◆トリビア
〇ミルズ監督は「人生はビギナーズ」で自分の父親、「20センチュリー・ウーマン」で自分の母親を描いた。本作は、自身の子育て中に発想を得た。
〇ホアキン扮するジョニーの衣装の大部分は監督の私物。
〇監督は、是枝裕和監督の作品「ワンダフルライフ」が好き。
〇本作はオバマ元米大統領が選ぶベストムービーに選ばれた。
○全編モノクロの意図は、“ドキュメンタリー性を盛り込んだ寓話”を表現するため。
○本作には、ラジオジャーナリストのジョニーによるインタビューというドキュメンタリータッチのシーンを通じて、実際に取材した9〜15歳の子供たちの生の声が収録されている。
◆関連作品
○「20センチュリー・ウーマン」('16)
母子愛を描くマイク・ミルズの自伝的作品。本作同様A24製作。プライムビデオ配信中。
○「ジョーカー」('19)
ホアキン・フェニックス主演、アカデミー主演男優賞受賞作品。個人的にはR100指定作品。プライムビデオ配信中。
〇「都会のアリス」(’88)
監督がインスピレーションを受けたという作品。モノクロ映画で、主人公も本作と同じ9歳。U-NEXT配信中。
〇「アマンダと僕」(’18)
姉を亡くした青年と、その姪の絆を描くフランス映画。U-NEXT配信中。
◆概要
【監督・脚本】
「20センチュリー・ウーマン」マイク・ミルズ
【出演】
「ジョーカー」ホアキン・フェニックス(同作でアカデミー主演男優賞受賞)
「フィールド・オブ・ドリームス」ギャビー・ホフマン
ウッディ・ノーマン(本作で英国アカデミー助演男優賞ノミネート)
【原題】「C'mon C'mon」
【公開】2022年4月22日
【上映時間】108分
◆ストーリー
ニューヨークでひとり暮らしをしていたラジオジャーナリストのジョニーは、妹から頼まれて9歳の甥ジェシーの面倒を数日間みることになり、ロサンゼルスの妹の家で甥っ子との共同生活が始まる。好奇心旺盛なジェシーは、疑問に思うことを次々とストレートに投げかけてきてジョニーを困らせるが、その一方でジョニーの仕事や録音機材にも興味を示してくる。それをきっかけに次第に距離を縮めていく2人。仕事のためニューヨークに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めるが……。
◆
◆以下ネタバレ
◆
◆親子愛
早朝爆音オペラに始まり、突如消えては現れ、バスに飛び乗り、大暴走のジェシー。“ゾッとする”ほど、振り回されっぱなしのジョニーも、次第に心が通っていく。二人が初めて手を繋ぐ画の広めなシーンや、空港行きをキャンセルしたレストランでのピザ乾杯も、心が通い合う二人の表現として、さりげなさが絶妙。ラスト、ジェシーが自声を録音した“先へ進むしかない”というセリフは、本作のタイトルでもあり、ジョニーとの別れを惜しむ彼の本音。その声を聞きながら、それに応えるようにジョニーが言った「必ず思い出させてあげる」というセリフは、草むらで二人思い切り叫び合うほど、深まった二人の絆の現れそのものだった。
◆録音機
ジョニーが渡して以来、ずっとジェシーが離さなかった録音機。思えばジェシーはそれを通じて周りの環境に初めて興味を持つようになり、ジョニーの声にも耳を傾けるようになった。二人が心を通わせるキッカケになった録音機はまた前述の通り、実際に収録された子供たちのインタビューのツールとしても使用されており、もはや本作を通してのアイコンだった。それを通じてジョニーが収録した子供たちの声は、一つ一つエンドロールまでじっくり紹介され、見ているこちらも自然と思いが巡らされるようで、はたまたジョニーの目線での“ゾッとする”ジェシーを見ているようでもあった。“子どもの声を聞く”、そしてそこから真理を見る、本作が伝えたいそんなメッセージが詰め込まれていたと思う。
◆ホアキン、ウッディ
「ジョーカー」の怪演から、どんなホアキンの振り幅が見れるのかにも注目だった本作。少しお腹もぽっちゃりとして、体型からすでに役作りが見える。ただ、本作では子役のウッディ・ノーマンの演技の自然さがそれをのんでいた気も。ジョニーに人間の“回復ゾーン”を語る大人びた語り口も良かったし、あの草むらでジョニーの言葉を遮りながら感情を爆発させるのも絶妙で、そこらの子役にはない自然な演技力に光るものがあった。今後注目したい俳優です。
子供たちの本音が…聞こえてくる
一人暮らしから甥っ子との
共同生活がはじまる
一筋縄ではない
いろいろな感情をぶつけてくる
質問されて答えに困ることも
騙せないし嘘もつけない
…本音で話す
偽善な話だと… 薄っぺら ぺら~と
見抜かれる
大人顔負けだけどママが大好き
叔父さんも…好き
二人にとって貴重な時間
たくさんの子供たちのインタビュー
さまざまな意見
子供たちの色んな発想
があって大人以上に考えている
家族 友達 孤独 戦争など等… 種々な想い
みんな仲良く幸せに暮らせたら…と
いつの時代も平和な世の中であってほしい
エンドロールでの子供たちのメッセージに★0.5
不思議な、落ち着いて内省したくなる映画
シンプルに、子どものいない伯父と甥っ子のハートフル家族ものの映画なのかな?と思っていましたが、
メインは伯父さんの仕事で録音し続けた、各地の子ども達へのインタビュー内容を紹介していくものでした。多分これは忖度なしに取材を受けた子ども達、若者達のリアルな気持ちと思われ、人生についてどう思うか、大人に思うことは、社会果ては地球で起こることへのそれぞれの考えを沢山伝えてくれました。
テレビのドキュメンタリー番組なら延々と紹介しても良いんでしょうけど、映画とするために、その取材を生業とする主人公を設定し、彼が久しぶりに再会し当初はなかなかに馴染み辛い甥っ子との葛藤や苦悩や子どもと接する覚悟などを表現し、最後は喜びや楽しさに至るドラマに仕立てていました。
この甥っ子がかなりクセのある子どもで、伯父さんと馴染むまではイタズラやワガママな行動に少々イラッとするんですが(汗)
これは当初、何故数日以上(結果的には2週間くらい?)母が離れていなくてはならなかったのか、詳しい理由を話さずにただ「伯父さんとしばらく2人で母さんを待っててね」という感じでいて、
少年に当初は状況をちゃんと納得させることも理由をきちんと話すこともしなかった母親のせいだな、と思いました。
余計なことを無理矢理聞かされることも迷惑ですが、心配かけたくなかったからと言ってたいして事情を説明しないことも迷惑だし、不安になります。
この対処でいいだろう、と勝手に満足するのは親側のエゴ。
そりゃ9歳の少年とはいえ、ストレス溜まるよ。。と共感。また、隠れたりされた伯父さんも大変でした。。
最後のほうでこの映画のタイトルの言葉「カモン!カモン!」を少年が語る場面が来ますが、本当にその通りだな、と。人生の真髄を彼はもうわかっているんだ、と驚きました。
何が起きるか分からない人生ですが、その都度可能な限りベストを尽くし、煉獄さんの言葉とまた重なりますが、打ちのめされてもうずくまっていないで立ち止まらずに進まなきゃ!って思いました。(ひとしきり泣いたり落ち込んだりした後で。)
アクションもハラハラも無い、静かに内省するきっかけとなり得る落ち着いた映画でした。
こまっしゃくれた甥っ子に振り回されながらも冷静に優しい伯父さんであろうとするホアキンにリスペクトしっぱなしの108分
仲のいい妹の息子は9歳。なかなかめんどくさいお年頃。ホアキンおじさんは訳あって独身で子供はいない。この子、アスペルガーっぽい。知能はすごく高い。大人の気持ちや考え方をわかっていて、逆らうもんだから、イラっとしてしまうところをホアキン・フェニックスが堪える表情や行動を見守る108分。字幕(毎度お馴染みの松浦奈美さん)を追いながら、ホアキンを観る濃厚な108分。
認知症の母親とノイローゼの亭主と多感なお年頃の息子の世話で手一杯の妹役の女優さんは嫌みったらしいことは一切言わない中嶋朋子のような感じのしっかりした人。好感度高かったです。彼女と独身の兄役のホアキン・フェニックスの会話もとてもしんどいんだけど、それでいて暖かい。
あったかいんだから~
古い?
セピア色の精緻な映像がノスタルジックで、小さかった頃に接した親戚のおじさんをついつい思い出したり、親戚の子供に手を焼く自分を想像したり。
たくさんの子供のインタビューの言葉にも癒されました。
でも、みんなすごいボキャブラリー豊かなのよ。ジェシーも。
9歳って、バーカとウンコしか言わないんじゃね、フツー。
そう思う気持ちも少しはわかって欲しいな。
録音機器はジェシーの関心を引き付けて、仲良くなるのに絶対一役買っている。とくにモフモフのマイクね。
人の気持ちを穏やかにして、本心を引き出すホアキン・フェニックス。この人がジョーカーと同じ人なんだから感心するのみ。
子役の上手さ
この子サイコパスなの?普通なの?
2022年劇場鑑賞95本目。
ある事情で甥っ子を預かることになった男の話。全編モノクロです。昔の話でもないしモノクロにする意味あるんかな、と最初思いましたが脳内でこの作品をカラーにしてみましたがモノクロの方がしっくりくる作品でありました。主人公がラジオパーソナリティであることもあり、本来映像すらないラジオの世界、色くらいなくても構わんだろってことかもしれません。(別に作品がラジオドラマというわけではないのですが)
この甥っ子、主人公であるホアキン・フェニックスに「イカれてるのか?」と母親に聞くくらい変な子だなあ、という印象を持ちます。途中途中子供たちへのインタビューが挿入されるのですが、それがリアルな子供たちの声なのか、大人の書いた台本をしゃべっているたけなのかどっちか分からないんですね。よく日本の学生恋愛映画なんかも中学の時に数々の女性と肉体関係を結んで高校になってヒロインに出会い過去に苦しめられる、みたいな設定ありますが、現実の中学生なんてせいぜいちょっと不良が他のクラスの誰々とエッチしたらしい、なんて噂が流れるくらいがせきの山ですよ。そういう大人の描くファンタジーとしての子供なんじゃないのこれ、と子供ながらに真理を突いてすごいなあ、と素直に観れなかった自分です。
子役としての演技的には素晴らしかったと思います。
まるで写真集を一頁一頁めくるよう
マイク・ミルズの新作、ホアキン・フェニックス主演、モノクロ作品ということで見てみた。
まず特筆すべきは、ワンシーン・ワンシーン、まるで写真集を一頁一頁めくるような美しい映像。モノクロで撮影した映像がとにかく美しくて引き込まれる。
ホアキンの腹の出たイケてない中年オヤジ振りはいつもように見事なんだけど、ホアキンを食ってしまったのが、子役のウッディ・ノーマン君。演技とは思えない自然さ。
全体的にとても質の高い作品だけど、残念なのは脚本。物語としての起伏が乏しく、笑えたり泣けたり、映画としてのカタルシスが乏しい。それでもホアキンの突然子供を預けられてしまったオッサンの狼狽振りとか、子供を通して見え隠れする孤独とか、なかなか良い。
独立系やアート系の作品が好きな人には満足できる作品だと思う。
子供ってホント面倒臭い
子育ての経験があると理解度があがるのかなぁ…。
今年112本目(合計386本目/今月(2022年4月度)22本目)。
他の方も書かれている通り、モノクロ映画です。ただ、映画内でスマホを使っていることからもわかる通り、歴史上の(技術的な)事情ではなく、あえてこの表現を選んだのだろうと思います。
他の方も書かれていた通り、かなり哲学チックな内容で、子育ての経験があるかないか(私はありません。独身)でかなり理解度が違ってくるのでは…と思います。
傾向として言えば、今年1月か2月だったかの「フレンチ・ディスパッチ」(分野違いの話題を3話くらいするタイプの映画)に似ていて、名著・名句とされるものが表示されて展開が少しずつ変わるところも似ています。
また、先に述べたほど展開はコロコロ変わらないものの(引用した映画は話題自体が3話とみなせるほどコロコロ変わる)、突然陰謀論の話が出たり数学物理の話を始めたり、かと思えば哲学の話が出たりと妙にマニアックな展開になっています(なお、一般的な理解で足りるように考慮はされています)。
今日は金曜日で1枠だけしか見に行けずこの映画を選びましたが、今週はもう1つ「パリ13区」だったか、こちらもモノクロ映画のようなので混同には注意しましょう(私は日曜日に見に行く予定)。
私には経験がないしなかなか評価も難しいし、扱っている話題自体もかなり多岐にわたる内容でうーん評価は難しいなと思ったものの、扱っている話題個々それぞれは理解が容易で、先に引用した「似た映画」として出した映画が突如「懸垂分詞や分離不定詞」という謎の字幕を出して混乱させたような要素はこちらになかったので、比較考慮してこちらは満点にしてあります。
他の方も書かれていましたが、「本来的には」中学生くらいの子(男の子でも女の子でもOK)と来るのがベストなのかもしれませんが、もともと理解が難しい映画ですし、今週からはクレヨンしんちゃん、先週からはコナンとまだまだあるので、「えーこの映画なのぉ?」って言われるかもしれませんね…。
伯父さんと甥っ子の心のふれあいを描く詩的な会話劇。
ジョニーの妹ヴィヴには、精神的な病を抱える夫がおり、ヴィヴは夫の治療のため、病院に付き添わなくてはいけなくなる。
その間、ジョニーは9歳の甥っ子ジェシーの面倒を見ることになるが、ジョニーの仕事の都合で、二人はロサンゼルスからニューヨークヘ向かうことになる。
ラジオ放送の仕事をするジョニーの持つ録音機材で街の音を録音したり、いろいろな場所を訪れるうちに、二人は徐々に打ち解けていくが、ジェシーの行動がジョニーを困らせたり、苛立たせることもあり、ジョニーは疲れ果ててしまう。
そして、ジョニーはジェシーを妹の元へ帰そうとするが、空港へと向かうタクシーの中で、ジェシーはトイレに行きたいと言い出し、トイレに閉じこもってしまう。
ジョニーがラジオ番組のために、子どもたちにインタビューする映像も織り交ぜ、今のアメリカの子どもたちが何を思い、何を求めているかをモノクロ映像で描き出す詩的な会話劇。
ぜひ、劇場でご覧ください!
類型的な子供ではなく
子育て×心療×ジェンダー
伊丹十三がこのおっさんの役をやったら最高だろうな。妹の息子を面倒見なければならなくなり、甥っ子と暮らす。さらに言うとその理由はその元夫が精神的な病が重たくなりケアする必要があり、元妻が家を離れなければならなくなる。おそらく元夫は妻に暴力を振るっていて最後の最後までホアキンが元夫を許さないというか、下げずんで言うのはその証左だろう。
「僕は将来パパみたいになるかな?」「君はパパより自分を理解しているよ」これは読み方によってはなかなかの厳しさだ。僕の叔父さんや菊次郎の夏を思い出す。
これは、アメリカのコミュニケーション独特なのかもしれないが思っていることを口に出しすぎのように思う。ノリで解るだろと思ってしまう。ただ妄想に付き合うか、付き合わないかも問題になるが、そんなの妄想に付き合ってなんぼだろとも思う。ノリの共有はコミュニケーションでとても重要なのだから。母親の死をきっかけに確執ができてしまうのはよくあるよなぁとあるあるな頷き。ただ、甥っ子の相手するのってそんなに難しいですかね。
都会のアリスに影響を受けたと公言しているらしいが、都会のアリスはつい先日、観たけれど退屈なまま終わったので、見終わった感想が同じなのはちゃんと影響を受けているということだろう。
重い…のか?
久しぶりな気がしたホアキン・フェニックス。「ジョーカー」はぶっ飛び過ぎてて(ほんとに同じ人? というくらいの衝撃だったので) 別枠扱いで、「ゴールデンリバー」以来なので、3年ぶりくらい。
全編モノクロで、ほとんどが数人の会話劇。そこに挟まる子供への音声インタビュー多数、という、不思議な構成の作品。個人的には好みだが、途中で飽きる人も多いかも。
内容は、ジャーナリストの中年男ジョニーと、妹ヴィヴから預かった甥っ子のジェシーが、交流を重ねて理解しあっていく物語。なんてことはなさそうな映画だが、これがなかなか深くて重い感触を持った。ヴィヴも含めて、皆それぞれの事情や傷を持っていて、頼りあいながらも、全てをさらけ出しているわけではない。その事情や過去が、会話の中で徐々に明らかになるのだ。
まあ、これだけでは、いかにも普通の映画なのだが、ジョニーとヴィヴとの間で交わされる、子育て経験者でなければ理解できない、どの子供も持つダークサイドについての会話が、なかなかツボを押さえていたり、随所に挿入される子どもへのインタビューへの回答が、「この世の理り」のような哲学的な、芯を突く考えさせられる内容だったりで、ドラマと絡めてズシリと来るところが、何度かあった。
鑑賞後は、3本くらいの映画を一度に観たような感覚で、正直疲れたが、後味は悪くない。落ち着いて、もう一度観たら、また違った感想が湧くかもしれない。
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