劇場公開日 2022年4月22日

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「未来のため、言葉と言葉の間を考えろ」カモン カモン つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0未来のため、言葉と言葉の間を考えろ

2024年8月25日
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鑑賞方法:VOD

この作品は、ジェシーとジョニーの会話、ジェシーとの出来事を録音するジョニー、そしてジョニーが行う子どもたちへのインタビュー、の三層からなる。
ジェシーとのやり取りを大人の言葉で整理すること。ジェシー以外の子どもたちの言葉。これらの間にあることを考え感じ取らなければならない。

例えば子どもが「昨日は部屋で一人で遊んだ」と言ったとする。
それはただの言葉、かもしれない。大人しく一人でいられたことを褒めてほしい、かもしれない。今日は一緒に遊んでほしいというアピール、かもしれない。この「かもしれない」ところを考えるのが大人の役目だ。
取るに足らない会話と頭ごなしに切り捨ててはいけない。
子どもたちはしきりに言う。大人は分かってないと。子どもの気持ちや考えを受け止めようとすらしない。子どもは単なる喋る機械かのように扱う。

どんな大人だって子どもだった時期はある。自分が子どもであったときのことはすっかり忘れてしまったのか?
子どものときは子どもなりに考えてたでしょ?その時の自分の言葉は取るに足らないものだったのか?大人になった今振り返ればそうかもしれない。しかしその時は、それが100%の言葉で、価値のある言葉だったはずだ。

作品のテーマとしては「未来」だろう。
未来を考える。そのために今を考える。子どもの今の言葉を考えることで未来につながるし、客観的に子どもの未来を考えることは自分の未来を考えることにもつながる。
無為に時間を浪費するだけでなく、先へ先へ、紡いでいくために思考を停止してはならない。

傑作とまではいかなくとも、この作品が退屈なんてありえない。むしろ行間がギッチギチで、一瞬たりとも目が離せない。
言葉を言葉のとおりにしか解釈できない人にこそ観てほしい作品だが、そういった人はそもそも分からないだろうし、なんとも歯がゆい。

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つとみ