「未熟さに学ぶ。」カモン カモン Wataru Kumazawaさんの映画レビュー(感想・評価)
未熟さに学ぶ。
久しぶりに感想を書き留めておきたい作品に出会いました。
ストーリーに起伏はあまりなく、モノクロなので視覚的に退屈に感じる人もいると思いますが、役者の技術と比喩的表現が精巧で、高い評価も頷ける作品でした。
最初は、ジェシーが家庭環境によって問題を抱えていて、それをジョニーが変えていく、もしくは不思議なジェシーの中に煌めきを見出すような作品だと思ってみていました。
しかし、お母さんの言葉に合ったように、すでに一人の人間としてジェシーが描かれており、誠実にジョニーが向き合うことで、子供と大人ではなく二人の人間の物語として描かれていたように思います。
子供たちへの未来についてのインタビューが、作中の一つ大きな核を担っていますが、どれも一人の人間としての未熟ながらに、立派な一人の人間の言葉として表現されており、一つのテーマに感じます。
ストーリーについては、ジェシーと、ジョニーは似た者同士で、お互いに成長、見方によれば補完し合っていく話だと僕は見て思いました。
特に二人が似ていたのは、感情を表に出さずに間接的に何かを伝えようとするところ。音楽や録音、音が一つのメタファーになってたような気もします。
その部分にジェシーの成熟さが見られましたが
やはり、ジェシーにはたくさんの未熟さがあり、そこに子供の面白さがあり、学ぶべきことがジョニーにはたくさんあったのだと解釈しています。
音。というのも一つ大きなテーマだったように思います。ジェシーのお父さんは音楽関係者でしたし、ジョニーも録音機を持ってラジオの制作をしていました。ジェシーも録音が好き。そんな音がこの映画で何を比喩しているのか、いろんな観点から語れそうですね。映像がモノクロなのも頷けます。