「オトナはわかってくれない。。。」カモン カモン Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
オトナはわかってくれない。。。
妹の一人息子(甥)との、短い共同生活を
描くモノクロ・ドキュメンタリータッチの人間ドラマ。
妹の夫(義弟)が単身赴任先で心を病み、妹は急遽、
面倒を見るために家を後にすることに。
家に残す9歳の息子の世話を兄に託す。
・妹の夫→オーケストラの一員
・妹→著述家あるいは小説家
・妹の子→空想や会話を楽しむ理屈っぽい男子
・兄(主人公)→全米の子どもたちをインタビューして回る硬派なラジオ番組の制作に携わる
ということで、全員、カネの心配は皆無。
決してそれが作品で強調されはしないのだが、
庶民的感覚からは離れた世界が、作中ずっと
背景にあった。
『未来はどうなると思う?』
『もし、君が、君の両親の親になったら何を教える?』
など、単純ながらも、かなり深いインタビューに答える様々な子どもたちが次々とフィーチャーされる。
併せて、場面の切り替わりには、(おそらく実在の)
童話や著作の一節が、いくつか字幕つきで紹介される。
それらの一つひとつが、強烈に比喩的かつ哲学的で
途中からアタマが一杯になる。
特にインタビューに回答する全米各地の子どもたちの
答えがどれも、(良い意味で)すごすぎて、
映画を見ている自分の表情から、徐々に笑いが
なくなるのを自覚できた。
主人公の9歳になる甥っ子も、ごたぶんにもれず、
子供なりに色々なことを見聞きし、評価し、
行動し、要求することを繰り返す。
主人公はペースを乱しながらも、
甥っ子、あるいは甥っ子を通じて妹との
関係を再構築していく。
モノクロ画面が、映画の硬質さを如実に表し、
表情や会話への集中を余儀なくされる。
興味深い映画だったが、見たあとは
どっと疲れた。
録画して、ところどころ、止めたり戻したりしながら
セリフを味わいたい作品だと思った。