「なぜか心に残る、でも素材の羅列」やまぶき sayuさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜか心に残る、でも素材の羅列
いまのたいていの日本映画よりもきちんと撮られていて、照明も編集もはっきり意図をもってこの結果が選び取られている。だから個々のシーンは破綻なく見られるし、16ミリの手触りも効いていると思う。ここはちゃんと評価されるべき。
でも登場人物の造形に説得力がなくて、この人はなんでこんなことを突然言い出すのか、と映画の中で何度も何度も思うはめになる。要するに、それなりに魅力的な素材の羅列にすぎないものにとどまっている。
脚本は、「作り手が言わせたいことを俳優に言わせている」式の頭でっかちなせりふが多いが、それが深い思索ではなく単なる箴言の破片みたいなものばかりで、なんだかしゃらくさい。(ただし俳優の演技は、これもたいていの今の日本映画よりまともで、これは監督と俳優との人間関係がしっかりしてるからなんだろう)
構成は、はっきり言ってご都合主義。落石があたってケガしました、大金をひろって事件にまきこまれました、って言われて納得する観客、いるか?
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