マイ・ニューヨーク・ダイアリーのレビュー・感想・評価
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穏やかな気持ちに浸れるウェルメイドな一作
ウェルメイドで、力まず、穏やかな気持ちにさせてくれる作品だ。作家志望のヒロインが日々の糧を得るためにニューヨークの出版エージェンシーに勤務する。そんな夢のような就職斡旋があるのかと目を疑いたくもなるが、少なくとも本作は自叙伝が原作。電話でサリンジャーと言葉を交わしたり、彼宛てのファンレターに目を通す任務を仰せつかるのも、これらは基本、事実に基づいている。すなわち主人公は、仕事の一環とはいえ、読者からサリンジャーへ向けて放たれた思いの丈を覗き見てしまうわけで、作家志望の人間にとってこれほど言葉が力強く躍動する瞬間と出会う機会もそうはないだろう。作家志望の彼女がサリンジャーではなく、むしろ読者の言葉に心を揺さぶられるというのが興味深い。なおかつ、長きにわたる人生の浮き沈みを経てきた女上司との絆も目が離せないところ。シガニー・ウィーヴァーがちょうどいい重石となって、映画に彩りを与えてくれている。
伝説の作家と編集者
1990年代のアメリカの出版業界にタイムトリップできて面白かった。
実話小説に基づいているとのことだが、ストレスのたまる仕事とはいえ、アメリカ文学界の大巨匠に関われた主人公は相当な強運の持ち主だ。さらに、自分の知識を生かして巨匠の役に立つことができ、また、巨匠からも励ましの言葉を得られるなんて。だから、巨匠はファンレターを一切受け取らなかったけれども本当は温かい人なんだということを伝えたかったのかも。
俳優陣については、敏腕出版エージェント役のシガニー・ウィーバーさんははまり役だった。そして、主人公の女優さん。上背はあるのにとても痩せていてバレエができてキュートでオードリー・ヘップバーンを思わせた。調べてみたらニューヨークシティバレエ団にいたとのことで納得。さらに知的な感じはアン・ハサウェイっぽくもあって、ノスタルジックなファッションもとても似合っていた。最後に、セクシーだけどクズの作家の卵くんもはまっていた。BBCの「大いなる遺産」の主人公を演った人だった。久しぶりに見たけどやっぱりカッコよかった〜。^^
思ってたストーリーと違って全体的に穏やかだった
プラダを着た悪魔が好きで期待して観ると「あれ?なんだったの?」という感じ。
フイルムの質感や、レトロな家具や風情ある街並み、ヒロインのドレスはとっても魅力的で素敵だけど、
特に強いメッセージは感じなかった。
音楽も独特なものが多く、このシーンは何を意味してるんだろう?と思ったり、観る人の想像力や持ち合わせている文芸的な知識の深さによって、この作品の印象は大きく変わると思った。
文学的であり、物語の進め方にミュージカル的な要素を持ってきた。
「プラダを着た悪魔」と設定が近いところにある。
が、決定的に違うのは、プラダはお洒落なコメディで
こちらは文学的要素が入った成長物語です。
若者の夢は大きく広いが、
時に揺れ動き、志しを失うこともある。
実際に経験した原作者の揺れ動きを
一風変わった演出で問いかけてくる。
現実的ではないところは音楽的に処理し
現実的なところは落ち着いたカメラワークで見せた。
鑑賞後は何だかフワッとした気持ちになる。
凄い、とはいえないが、良い映画だと思う。
「ライ麦畑…」を読んでいると
入り込みやすい物語です。
※
ヒロインを演じた女優が魅力的だった…
タイトルが気に入らない。内容をうまく表していると思わないし、やはりサリンジャーの名前は入れてほしかった。著者の自叙伝ということで、劇的な展開が起こるわけではないが、現実的な話だなと思う。仕事は言われた通りにやるのではなく、自分なりにこなす。お叱りを受けても、頑なに突っ走るのではなく、信念を感じさせる対処の仕方。上司や恋人との関係も自然体で、流されて生きている感じはない。そんなジョアンナを演じたマーガレットがとってもキュートだった。彼女の存在感がこの映画をより好ましいものにしていると思った。傑作ではないが、観終わった後清々しい気持ちにさせてくれる愛すべき一作。
孔雀
主人公に共感出来ない部分も多く、こちらから見ると短絡的な行動が多く何だかなぁと。ライ麦畑は頑張って読んだがよさが全く分からなかった。サリンジャー氏自体には興味があるが、彼女をどうして気に入ったのかよく分からないまま。同棲相手も最低だが、前の男との仲をうやむやにそんな男とすぐ付き合っちゃう彼女もなかなか。そんな彼女に皆んな優しい。
シガニーウィバーがとても良かったので星⭐️一つプラスくらい。
ざっくりしすぎていてぼやけている
作家を目指した主人公が、成長していく話。
なんでしょうが、どうも抽象的で。
サリンジャーをあえて映さず、言葉だけでいく箇所は。
いいなあと思うけど。
主人公の周りの人たちの話や、サリンジャーへの手紙を書いた人たちが。
いまいちピンとこなかった。
誰もが夢を実現できる訳じゃ無い
サリンジャー関連Peopleものです。真偽の程は定かじゃねーよ、なフィクションなんだろうし、かなり生々しさを避けてキレイな話にしました!な雰囲気じゃありますが、これは好き。
テンポは良いし、編集もソツが無いし、音楽も良い感じだし、画もきれいだし、共感を呼ぶキャラクターと、ちょっとだけヒールなキャラクターの作り方にも技巧を感じるし、物語りもそこそこに染みるし。
そうなんですよ。クオリティには何の問題も無いんです。ソツなくまとまりも良いんです。でもインパクトは無いと言う。
そもそも、肩の力を抜いて、ゆっくりと物語りを楽しむ、ココロに余裕のある方には、ちょうど良い佳作。ワタクシ、本日、多少ココロに余裕を欠いた状態だったので、少しだけ突っかかってみました。
客観的に言うと。
良かった。そこそこ。
等身大に描かれた主人公にただただ好印象
こういう成長物語って、とかく視聴後に背中を押されるような教示的な傑作も多くて、
もちろんそういう作品も大好きでたまに見返したくなる。
けどこれは、駆け出しの若手が揺れ動きながら一歩ずつ仕事もプライベートも歩む物語。
それでいいじゃない?
思えば自分の若手時代だって、あとから言えばあれがターニングポイントだったとか、あの努力が報われたとかあるけど、
その時の本人からすれば、答えのない手探り状態でもがくしかなかった…
そんな気持ちを思い出させてくれた感じ。
お金ないなりにニューヨーカーの矜持を感じさせる、ひてすら可愛い服の数々、街並み、、、
私の年代からあえて言えば、主人公をゆるく応援し続ける2時間の、癒し系映画でした。
なんだか棚ぼた感が満載なんだよなぁ
原題は 「マイ セイリング イヤーズ」
言うなれば風に吹かれるヨットのごとく、風次第であっちいったりこっちいったり。舵を切るスキルも、進むべき航路すら見えてないヒヨッコ時代のお話・・・ってことなのかな?私は英語苦手です、はい。
きっと自分探しストーリーなのでしょうが、なんだろな。あまり自我に目覚めてる感じしないんですよね。やったらできちゃった!みたいな。結構ラッキーが続いてなんとかなってしまった感じ。いらんことやっても、大きな問題にも糧になっているようにも見えないし、じゃぁ成功たいけんにおいて、自分らしく何かをやり遂げたんでしたっけ・・・・?それもピンとこない・・・・。
だからジョアンナ、、、棚ボタ人生やん!みたいな(笑)なんだか、風の具合が奇跡的によくって無事ゴールできましたとさ!って感じですね。
自叙伝
ジョアンナ・ラコフの自叙伝を映像化したもの。
サリンジャーファンなので観ました。私の持つサリンジャー像を棄損するのではないかと警戒していましたが、それはなかったので安心しました。
全体的にナルシシズムというか自己愛の横溢したお話でしたねえ。
主演のマーガレット・クアリー。筋肉ばった脚だなと思ったら、バレエをやってたんですね(終盤で開陳される)。道理で。
どれも中途半端なのに心に響いてしまった
「ライ麦畑でつかまえて」ってものすごく影響力のある小説だと思う。色んな物語で話題に上がるし、影響を受けたって人も何人もいる。周りにもいたいた。20代のときにライ麦好きなやつらの熱さにほだされて読んでみたが、全く共感できず失望した思い出がある。いや、10代のときに読んでいたら違ったのかも?なんて思ったが、そうじゃないのだろう。単純に自分には合わなかったってことだ。でも、この影響力はなんだ?と思ってしまう。何十年も若者たちに影響を与え続けるなんて、そんな小説は日本にない気がする。
「ライ麦畑で〜」は相当昔に出版された本だと思っていた(実際最初の出版は1951年!)から、本作の舞台が1995年だとわかって驚いた。主人公ジョアンナが勤めた出版エージェンシーでサリンジャーと関わるって話なのだが、出版後40年以上もたっているのに作者にあんな熱い手紙を送ろうとする人があんなに多いってことも驚いた。みんな熱意がすごい!
その手紙の数々に主人公ジョアンナがどんな返事を出したのかって話でなく、彼女が出版エージェントのスタッフとして働くのか、それとも作家として生きていくのかを突きつけられ苦悩し切り拓いていく話だった。そういう意味でサリンジャーがジョアンナにかけた言葉は影響力があったことがわかる。でもむしろ、レストランで紹介してもらった女性作家にかけられた言葉こそ、クリエイターとして生きようとする人たちに刺さるんじゃないかと感じた。逆にあのセリフを聞いてクリエイティブな仕事から身を引く人間がいてもおかしくない。それくらいに本質をついた言葉だった。
映画としては、恋愛ものとして中途半端だし、お仕事ものとしてもその後が気になる中途半端な終わり方だった。ウィキペディアでジョアンナ・ラコフを調べてしまったくらいだ。でも、意外と心に響いてしまった。いい映画だったななんて思ってしまってるんだから厄介なもんだ。
モラトリアム
思春期の気持ちが蘇る。若者はいつだってモラトリアムを満喫して延長したい。なかなか終わりを決められないし、決めたくない。そして何者かになりたいし、なれると思っている。
いまはもう忘れてしまったけどそんな熱い気持ちを思い出させてくれた映画。シガニーウィーバー 演じる編集長のパソコンに頼らずタイプライターを使うとかわたしが若い頃は良くも悪くもそのような自分ルールを持つ恐ろしい上司がいたな。自分はそうなれてないw
ライ麦畑でつかまえて 読み直しはじめた。サリンジャーがハプワースを出版したいと作中で言ってるのも気になった。20年経って読むサリンジャーは私にとってどう変わってるのかいまから楽しみです
マーガレットクアリー がかわいすぎた。
1990年代のサリンジャー
この映画の中に、1996年に「ハプワース16、1924年」を出版しようとしていたサリンジャーが登場している。サリンジャーファンにとって、とても興味深いプロットだ。
熱狂的に好きになるか、意味不明で終わるか、振り幅が大きいサリンジャーだが、この映画の方が安心して楽しめる。
サリンジャーはニューヨークのユダヤ系作家なので、全米で人気があったわけではなく、ライ麦・はスラング多用の言葉遣いで学校図書館には置かれにくい状況だったようです。だから西海岸出身の主人公が、読んだ事ないのはわかる。
日本では単行本の形でサリンジャーが発表した小説は全て読めるが、アメリカでは雑誌に掲載されただけというものもある。
翻訳だから新訳というのも読める。
ファッション、空想的なシーン、音楽、ムーンリバー、職場の人間模様などのディテールがなんだか深く、面白い映画だった。
原作を読みたくなった。
ニューヨークが舞台だけれど、ニューヨークでロケはしているのかな?
本当の主役はシガニー
シガニー・ウィーバーの作品と言っていいと思う。いっそ彼女を主役にしたら、もっと深みのあるかなりいい作品になっただろう。サリンジャーとサリンジャーを読んだこともないジョアンナの関係性より、シガニー・ウィーバー演じる実在したエージェントとサリンジャーの関係性のほうがよほど切実で興味深い。
サリンジャーのネームバリューを利用した映画は近年増えてきたが、今後はよほど質をあげないとサリンジャーの価値は下がってしまうのではないか。そうならないことを切に祈る。
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