「強い女性の代名詞シガニー・ウィーヴァー」マイ・ニューヨーク・ダイアリー bionさんの映画レビュー(感想・評価)
強い女性の代名詞シガニー・ウィーヴァー
新入社員の若い女性と威圧感たっぷりの女性上司。この光景、見たことがある。そうそう、『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイとメリル・ストリープ。同じテイストの作品なのかと思いきや、シガニー・ウィーヴァー演じるマーガレットは、めちゃくちゃ仕事に厳しいけれども理不尽なことは言わない。後になって感謝されるタイプの上司。強い女性の代名詞にもなっているシガニー・ウィーヴァーなんだけど、そうじゃない一面の演じ方も心に響く。
サリンジャーといえば、犯罪者とスノッブの必須アイテム。ご多分に洩れず、スノッブの僕は大学時代に文学青年の友人から内容を聞きかじって、サリンジャー信者を装っていた。あえて、読んでいないジョアンナとはえらい違い。
作品の中にでてくる本物のサリンジャー信者の熱のこもったファンレターには驚く。劇中では、ファンレターを書いた若者が、ジョアンナのイマジナリーフレンドとして登場し、ジョアンナの行動を批判したり、ジョアンナの気持ちを後押ししたりする。
ファンレターを開封して、全文を読み、定型文をタイプライターに打ち込んで返信するという退屈な仕事は、単なるブルシットジョブでないことが物語が進んでいくうちにわかってくる。出版エージェントという日本にはほとんど存在しない業態が垣間見えてとても興味深い。
『ライ麦畑でつかまえて』を10代の気持ちに戻って読みたくなる。そんな作品でございました。
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