「偽りのない映画作り」ケイコ 目を澄ませて 大吉さんの映画レビュー(感想・評価)
偽りのない映画作り
劇伴音楽が全くなし。
画面から聞こえてくるのは、電車の音、車の音、パンチング・ボールを叩く音、ミットを打つ音、弟が奏でるギターの音、携帯の着信音、周りの人の会話、自らに話しかけられる言葉、、、、、。
そのすべてがケイコには聴こえない。
淡々と丁寧に描かれる、そして終盤の試合。
セコンドの指示、レフェリーの呼びかけ、カウント、ゴングの音。そのすべてもケイコには聴こえない。
聴こえない者にとってボクシングをするということがいかに大変なことか。
そして、全部聞こえている岸井ゆきのにとって聴こえない主人公を演じることがいかに大変なことか。
会長役の三浦友和も、トレーナー役の三浦誠己も、ボクシングジムの会長とトレーナーにしか見えない。
偽りのない人たちの、偽りのない人生が、偽りなく演じられ、偽りなくスクリーンに映し出せされる。
こうして真面目に作られた作品が高く評価されるのは嬉しい。
会長の妻役の仙道敦子がケイコの日記を読むシーン。
この美しい声での朗読を聞かせるために、久々にひっぱり出されたのだろうか。
昨年公開されたメーテレ制作の作品、すべて良い作品だった。もっと宣伝すれば良いのに。
(朝夕の情報番組もメーテレばっかり見てるけど、ほとんど自局制作のことに触れないなぁ)
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