「全身の感覚を研ぎ澄まして対戦相手に立ち向かったケイコ。他人に対しても向き合っていけば、これからも世界は開けて行く。そのステップのお話です。」ケイコ 目を澄ませて もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
全身の感覚を研ぎ澄まして対戦相手に立ち向かったケイコ。他人に対しても向き合っていけば、これからも世界は開けて行く。そのステップのお話です。
岸井ゆきのさん目当てでの鑑賞です。 ^-^;
これまで観た作品での存在感がとても強烈で
今回はどんな一面が観られるのやら と
期待度が上がっての鑑賞です。
主人公はケイコ。 耳が聴こえない。
耳が聴こえないが、ボクシングをやっている。
健康のためとか美容のためとか ではなく
試合に出て勝ちたいと、練習している。
ボクサーの耳が聴こえないということ。
ハンデにならないのかと言えば、そんなハズが無い。
ゴングの音が 聴こえない。
レフェリーの声も 聴こえない。
セコンドの指示も 届かない。
それでも、試合に勝ちたいと
ボクシングに打ち込む女性を描いた
実話ベースのお話です。
◇
終始、他人との関わりをなるべく避けようとする
頑なな面があるのと同時に、
所属するジムの会長さん(三浦友和)に寄せる
信頼の眼差しに愛おしさを感じました。
その会長の体調が芳しくなくジムを畳むことに。
このジムでの最後の試合に勝って
会長への餞にしたい とケイコに励むケイコ。
”防御を忘れるな” のコトバを胸に
ラストの試合に臨むケイコなのだが
試合中のに足を踏まれるアクシデントが あらら…
こうなると、セコンドの指示が聴こえないのって
ものすごいハンデ。 ですねぇ。。
さて試合の行方は… というお話です。
鍛えられたボディーに加え
耳の聴こえない人の演技が秀逸。
岸井ゆきの無くして作れない作品だなぁ と
感じさせる作品でした。
観て良かった。 満足です。
◇記憶に残った言葉
「我慢は大事」
そう自分に言い聞かせてきたハズなのに…
今のジムでの最後の試合。
試合中に足を踏まれて転倒。
予期せぬ出来事に頭に血が上る。 そして
我を忘れた結果は… KO負け。 あちゃ
試合も終わり、ジムも片づいて
何するともなく、ロードワークの土手の下。
「試合をありがとうございました」
突然声をかけられる。先日の対戦相手だ。
負けた試合が脳裏をよぎる。 苦い…
相手が去った後の表情がすごい。
喜怒哀楽 ならぬ 怒怒哀哀
足を踏んできた相手への怒りなのか それとも
頭に血が上り我を忘れた自分への怒りなのか…。
今度は良く抑えたね。成長。
我慢は大事。 教訓教訓。
◇あれこれ
■ミット打ち
タイミングが合ってきて
リズムが揃いスピードが上がると
和太鼓の連弾を聞いているようで、ハイな感覚になりました。
独特な心地よさを感じます。
■BGMの無い世界?
そういえばこの作品、BGMが無かった気が。
周囲から聞こえてくる生活音と環境音の世界。
ケイコの内面の表現だとしたら、音は全く無いハズ…。
どんな意図があったのか、気になってます。
(BGMあったのなら、的外れです…)
◇ 最後に
どちらかというと「天然系」の役が多いイメージが
あった岸井ゆきのさんなのですが
この作品では、演技の「奥行の深さ」を感じました。
すごい役者さんだと思います。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。