「mute」ケイコ 目を澄ませて ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
mute
評価超高めで気になっていましたが、中々空いてる時間が見つからず、タイミングをなんとか狙って鑑賞。結局混んでいました笑
事前の期待値が高すぎたのもあって、思っていたほどではありませんでしたが、映画館で見てこその作品だなと思いました。
まずケイコの周りの音を排除して主観視点の演出にするのではなく、ひたすらに環境音を聞かせるという演出には驚かされました。ミット打ちの際のパンっと鳴る力強い音、川のせせらぎ、車の排気音、小さな息遣い、音楽映画ではないんですが、徹底的に音に拘られて作られているなと思いました。この音が逆転する瞬間、鳥肌立ちまくりでした。
原作の一部を切り取っての映画化は仕方のない事だと思うんですが、ボクサーとしての視点や執念が強く感じれなかったのが惜しかったです。99分の間に詰め込むには濃かったんだと思いますが、ボクシングとはに注目して観に行った身としては少し物足りなかったです。
役者陣はどなたも秀逸で、特に岸井ゆきのさんの鍛えられた肉体に、目で行う演技に一つ一つのパンチにも強い感情が宿っていました。三浦友和さんの優しく見守りつつも、ケイコを大成させようとする様子がとても渋カッコ良かったです。
現実の小笠原恵子さんを原案としてフィクションで描いているので、映画ならではの終わり方をしなければならないのですが、そこもプツッと切れたような終わり方なのは少し残念でした。エンドロールが無音で、ひたすら街並みが流れていくのは好きでしたが。
演出、演技、雰囲気、どれを取っても素晴らしいんですが、ストーリーがうまく飲み込めずにこのくらいの評価に落ち着きました。年間ベストに食い込むか!?とは思いましたが、映画は観終わるまで分かりませんね。
鑑賞日 12/27
鑑賞時間 13:55〜15:45
座席 C-13