「今までにない岸井ゆきのが見られるが、主人公の心情がよく分からない」ケイコ 目を澄ませて tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
今までにない岸井ゆきのが見られるが、主人公の心情がよく分からない
始終、不機嫌な顔をして、怒りを溜め込んでいるかのようなヒロイン像は、確かに、今までの岸井ゆきののイメージからかけ離れたものであり、まさに、新境地と言えるだろう。
だが、その怒りなり、不満なりの理由や原因がよく分からない。
手話でも筆談でもいいから、彼女に、もう少し、自分の心情を語らせてもよかったのではないか?
日記の内容から、ようやく、彼女が、ジムの閉鎖に心を痛めていることが分かるのだが、どうして、それほどジムやその会長に愛情を寄せているのかが、これ又、よく分からない。
彼女が、あのジムで、ボクシングを始めることになった経緯を、回想シーンでもよいので描いてくれていたら、もう少し、その無念さを実感できたのではないだろうか?
何よりも、この映画のポイントとなる「耳が聞こえない」という設定そのものが、ストーリーやボクシングの試合等に、うまく活かされているとは思えない。
作り手が、この映画でやりたかったことが、今一つ伝わってこない「歯がゆさ」が残った。
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