「研ぎ澄まされた感覚」ケイコ 目を澄ませて ぽてちさんの映画レビュー(感想・評価)
研ぎ澄まされた感覚
実在の元女子プロボクサー・小笠原恵子さんの自伝を基にした作品。岸井ゆきのさんが主人公である生まれつき耳の不自由なボクサーを演じている。
岸井さんとは縁がなくて、名前は知っていても動いている彼女を観た覚えがない。実際、出演リストを眺めても、鑑賞済みのものはほとんどなかった。本作の演技に驚嘆し、ファンになってしまった。
デジタル全盛の時代に16mmで撮影したり、音楽が一切なかったりと意欲的な試みをしているが、肝心のケイコの内面がいまいち伝わってこない。聴こえない=喋れないのはわかるが、彼女は手話もできるし文章も書ける。なにかしら方法はないものか。
……と書いてきて、まさにそれが彼女の状態なのかと気付いた。伝わらない、理解されないもどかしさ。それがこの映画の一番の本質なのかもしれない。
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