「"日常"に勝るドラマ無し!! 耳の聴こえない女性プロボクサーがままならない日常のノイズに怯えながらそれでも下町の空の下で日々の積み重ねを生きる人生応援映画」ケイコ 目を澄ませて O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)
"日常"に勝るドラマ無し!! 耳の聴こえない女性プロボクサーがままならない日常のノイズに怯えながらそれでも下町の空の下で日々の積み重ねを生きる人生応援映画
Filmarks試写会にて鑑賞。
"耳の聞こえない女性プロボクサー"というプロットから大仰な物語を想像するが,本作はあくまで事件性の無い日常を描くその圧倒的な情報量と迫力!
敢えて16mmフイルムで撮られた荒川の下町の景色は清貧で,際立った環境音は快い音楽のよう…
ケイコの等身大の不安、煩悶、焦燥、そして安らぎに自然と思いが寄せられる。
日常に勝る物語無し!
主人公の人物像からして、ともすれば"耳が聞こえないことによって生まれる苦悩と感動のドラマ"を想像してしまいますが、そこは独特の話運びと映像センスを持ち合わせた三宅監督らしく、劇的な出来事ではなく起伏の乏しい日常の積み重ねを、明光風靡な景色ではなく下町の何気ない片隅を、敢えてデジタルではなくしかも情報量の少ない16㎜フィルムで撮影した"日々の一回性"を大事にした稀有な作品に仕上がっています。
主人公の持つハンディキャップを強調はせず、本来であれば最大の盛り上げ場でカタルシスとなるべきボクシングの試合もあくまで日常と対等かそれ以下ぐらいの比重で語られております。
作品内容とは対照的に作品が観る者に投げ掛けるメッセージはアンチドラマツルギーとも言える挑戦的なものとなっており、"面白さ"の前提条件を根底から覆すような作りです。
>本来であれば最大の盛り上げ場でカタルシスとなるべきボクシングの試合もあくまで日常と対等かそれ以下ぐらいの比重で語られております。
なるほどー。そう言われてみればまさに。新たな視点をありがとう。
見事に劇映画だけど、ドキュメンタリーになってましたよね。^ ^
小河恵子になった、というか、
小河恵子に憑依された岸井ゆきのの
日常を撮ったドキュメンタリー?
凄かったです。f^_^;