クラウディ・マウンテンのレビュー・感想・評価
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山体崩壊
中国南西部雲南省のカルスト台地、脆弱な山々に囲まれた街には16万人が住む。
そんな街を突然襲う大規模な地盤崩壊、2時間で近隣の山が崩壊し街は土石流で壊滅の危機。
折しも中国鉄道が山腹に10年がかりでトンネルを掘削中、地質技師のホン・イージョウ(チュー・イーロン)が脇の山を爆破し土石流を食い止めるバリケードづくりに命がけの活躍。それを支える疎遠だった父親、同僚で恋人のルー・シャオジンなどの不屈の救助活動の模様を添えている。ディザスター映画としてはハリウッド張りのVFX、避難するエキストラの数も半端ないから見ごたえ十分。
街の下の洞窟は山々に続き、崩落事故に巻き込まれたバスの乗客の脱出劇が大半を占める。正直、こんな脆弱な地盤のところに人が住むこと自体が大問題。
2時間の長尺、救助に当たる父親と息子イージョウの母親の死をめぐる確執などを絡ませるからちょっと中だるみ、そして和解と協調で試練を乗り越えるドラマ仕立て。
犠牲となった父親を称える記念碑、線路は続くよどこまでもと未開の地をも切り拓く鉄道マンの苦労をねぎらうエンドロール。大災害に立ち向かうヒーロー・アクション映画として国民を勇気づけようとする国威高揚映画の雰囲気は中華製ならではの匂いもします・・。
経済を選ぶか16万の人命を選ぶか…中国にとっては悩ましい決断だ!!
『アルピニスト』や『神々の山嶺』、ウィル・スミスのドキュメンタリー『ウェルカム・トゥ・アース あなたの知らない地球』など、アニメやドキュメンタリーを含め、ここ1か月間で、やたら山に登る映画を観ている気がする今日このごろ……またも山に登る映画だ。 CGは日本の特撮ヒーロー番組レベルではあるし、大半は地味な人間ドラマシーンでつないでいるが、ディザスター・パニックとしては、抑えるところは抑えている。 母の死後、わだかまりがあったままだった父と息子が和解するくだりも、感動ポイントではあるし、デジタルに頼らない昔ながらの職人気質親父が活躍して人を助け出すというのも、ステレオタイプではあるが見応えもある。 10年かけて作ったトンネルを自ら爆破し、人命を救う選択に迫られ、少しゴネるキャラクターもいるが、基本的に企業のトップは人命を優先させようとする。労働者にとっても、これまでの10年間が水の泡になってしまうだけに、人命がかかっているとはいえ、簡単には決断できない、この緊迫感の中、映画の尺をフルに使って決断を下すのかと思いきや、意外とあっさりと人命を優先させる方を選ぶ。 ディザスターというのが前提にあるだけに、人間ドラマはさほど求めないし、うるさく言うつもりもない。しかし、なぜだろうか……物語としては、そうなるのは当たり前のような展開だが、舞台が中国ともなると違和感が残ってしまう。 労働者の人命を消費し、捨て駒のように使ってきた中国が、経済よりも人命を優先するという物語になっている時点で、プロパガンダ臭いのだが、清々しいほどに英雄的決断をするというのもあからさま過ぎてしまう。 権力者が英雄的な行いをすると全てプロパガンダとして観てしまうのも悪いクセなのかもしれないが、エンドロールで労働者たちのニュース映像が流れから……確信に変わってしまう。 所々ワザとらしい演出があるものの、皮肉なことに作品自体は良くできている。
この手の映画が好きなんだから仕方ない
ここ4〜5年くらい?(もっと前から?)、中国資本によるアクション映画が増えている。どれもCGがすごくて迫力はあるが、脚本がやや浅いという傾向がある(という個人的印象)。そしておらが国の素晴らしさをアピールしまくるというパターンも。 本作もまさにそんな映画だった。献身的に人助けに奔走する人たちをひたすら描く。それなりに緊迫感があるはずなのに、でも眠気を感じてしまった。ということで、正当な評価にはなっていないかもしれない。 それでも気持ちがあまり乗らなかったってことではある。なんで観たんだ?って話なんだけど、本来この手のディザスタームービーが好きなんだからしょうがない。こんなときもある。
中国映画独自の謎展開に注意
今年160本目(合計436本目/今月(2022年6月度)7本目)。 さて、シネマート系列は従来、韓国映画を多く扱っていたのですが、最近は中国映画も必ず1枠は混ざるようになったようです。まぁ別にそれはそれで構わないのでは…と思います。文化圏が近いところの韓国中国の映画を見たい!と思ったらシネマート、という立ち位置は変わらないわけですからね。 まず前提知識として、地学(特に地震一般、地層など)に関する知識はフルに要求してきます(換言すれば、地学の中でも天文以外、といえばわかりやすい?)。「災害映画」というのか「ディスアスター映画」というのか…微妙ですが、そういうたぐいの映画です。 実際にどこの山に行って何が起きて、でそのあと、どうやって脱出したら次の試練がまってうんぬん書き始めるとネタバレなんですよねぇ…。これは結局のところ。 ただ最大の問題は「主人公(救助員)が妙に美化されすぎ」なんですよね。そりゃこういうことが起きたら、命を顧みずに救助した救助員はよいように描かれるのが普通です。ただこの映画、中国映画という事情もあるのか、この部分がちょっと度を超えている感じなんですよね。 結果として「映画が史実に基づく」かどうかもはっきりとせず(最初の謎の説明と、ラストの謎の中国消防(中国警察?)の活動などの流したフィルムからでは不明)、この映画は結局のところまぁよくない言い方にはなってしまうかもしれませんが「中国の当局は「できます」よ」というプロパガンダになってしまっているんじゃないのか…という気がします。 そもそも最初に出てくる「放映許可番号」と表示されるあたりからしてもう、日本・韓国(韓国も多少は違っていても、中国ほどには変わらない)と違う制度で、謎な展開に関してはある程度受け入れるしかないかな…というところです。 ---------------------------------------- (減点0.5) 実際、この映画は「災害映画」ないし「ディスアスター映画」の類と考えられますが、その前提でみようと思うと地学(天文以外)の幅広い知識を持っていることが前提になってしまいます。 さらに字幕はもともと中国語の映画なので字幕はありますが、一部の字幕は抜けている部分があります。「(山脈の山の)「棄損確率90」って何なんでしょう…?」まぁ「壊れる確率は90%ですよ」ってことなのでしょうが、字幕抜けは結構多いです(ただ、日本の常用漢字の中から読めるように配慮されています。 ----------------------------------------
鉄道兵は何でもあり
中国西南部カルスト山岳地域を舞台に、大雨と地殻変動により巻き起こるディザスタームービー。 10年をかけた高速鉄道のトンネル掘削工事が佳境を迎える中、湧水の噴出や近隣の山の崩落が起こり巻き起こっていくストーリー。 トンネル掘削が起因とかいう訳ではなく、トンネル工事もそれに巻き込まれたってことなんですね。 トンネル工事プロジェクト関わる地質学者が主人公というのはとりあえず良しとして、なんだかヤケに出しゃばる半分老害な父親率いるチームの地底脱出ツアーと、機関トンネルプロジェクトの話をみせていく展開だけど、ちょいちょい差し込まれる回想とトラウマとそこに纏わるドラマと…これ要りますか?と思っていたら、そんなドラマがどんどんエスカレート。 山場に向かってどんどんテンポが悪くなっていくし、どんどん白々しくなっていくし。 そんなんだからスリリングさもどんどんなくなってだるかった。 そして…この鉄道兵推しは何?
ど迫力、だけれでも…
街中大陥没に山爆破、オープニングから切れ目ないディザスター展開は娯楽作としては面白い。が、ご都合主義が過ぎるのと根性論精神論、中国万歳な展開に失笑。だから大迫力の割には緊張感皆無。まあ、せっかくだから大画面で見たほうがまる。
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