「ハリウッドのB級映画よりもずっといい」ウェイ・ダウン 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッドのB級映画よりもずっといい
政府というのは腹立たしい存在である。国家公務員の中には自分が国民のためではなく国家のために働いていると勘違いしている人間がいて、国民から国家を守るような行動を取る。または国民の財産を奪おうとする。役人が、国民が主権の民主主義を忘れて、国家が主権の国家主義に舵を取ってしまったら、その国は暗黒の国になる。ブラック企業と同じで、ブラック国家だ。
残念なことに、世界の国々は大抵がブラック国家である。日本も例外ではない。ディスクロージャー(情報開示)が基本の公文書でさえ、黒塗りで公開する。文字通りのブラック国家だ。国民から国家を守ろうとする役人の姿勢の典型である。
本作品は、そういう役人たちによって奪われた財宝を取り返す話で、アメリカ映画みたいな政府のエージェントみたいな主人公と違って、反体制、反権力という意味でかなり痛快だ。エンタテインメントだから深い世界観はないが、ハラハラするし、どんでん返しもある。稀代の天才的頭脳の持ち主であるトムをリクルートするやり方も面白い。スペイン映画はハリウッドのB級映画よりもずっといい。
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