リコリス・ピザのレビュー・感想・評価
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好きでもないが、嫌いでもない。
映像、音楽、キャスティング、その醸し出す雰囲気。
どれもが、なかなかのクオリティだと感じたのですが、
肝心のストーリーが、いまいちいいと感じませんでした。
主役の二人は個性的でいいと思うのですが、
感情移入できないな、こういう設定では。
でも、不思議な魅力を持った作品だと思います。
トムウェイツ、年とったねえw
ホームビデオ
時間とお金は有限。
選択をまちがえると、こんな気持ちになるのだと教えてくれる映画です。
業界では高い評価を得ているようですが、どの評論家・映画人が高評価を与えたのか、公表してもらいたいものです。今後、見る映画を選ぶのに、とても参考になるはずです。
134分、貴重な経験でした。
「ウォーターベッド」と「ピンボール」に代表される70年代を舞台に描かれるちょっと変わった恋愛劇。って“形容”するのにこれ程困る映画も珍しい。もしかしてこれが褒め言葉?
①相変わらず長いポール・トーマス・アンダーソン映画。
『ブギー・ナイト』は70年代ポルノ映画界が背景なので面白かったけど、『マグノリア』は悪くなかったけどロバート・アルトマンにはまだ叶わないな、と思ったし、『ファントム・スレッド』も良くできた映画だけれども一回観たらもういいわ、という感じ。今まで観たこの監督の作品では唯一『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のみダニエル・デュ・ルイスの神演技と共に凄い映画だと思っている。
②で、この映画。基本は歳の離れた男女(15歳の男の子と自称25歳の女性とだが、それが何か?という感じだし)が紆余曲折の末結ばれるという話だが、はっきり言ってどうでもいい話(私にとっては)。
ちょっといびつな男女のラブコメディ
時代背景(1970年代)も含めてなんか懐かしい青春ラブコメディ。PTAとしてはお気楽な方に入るかな。クスリと笑えるセリフが多い、切れのある脚本で楽しめました。
あまりに似ているから本当の姉妹かと思ったら、思った通り姉妹でバンドを組んでいるミュージシャンだったのね。
ぽっちゃりのモテ男ゲイリー君、フィリップ・シーモア・ホフマンの息子なんだね。いいじゃん。
ポップでキュートでイカしてる
全体的に街並みと音楽とテンポがとてもポップで見ていて楽しい。
最初は立場や関係性がよくわからなかったが、個性的なキャラクターが活躍しているのを観ているだけでも楽しい。また、主人公とヒロインの年齢がアンバランスなのが珍しい。
ただ、大きな波はなく、恋愛映画ではあるので、ちょっと退屈はしてしまった。
2023年劇場鑑賞13本目
ストーリーがどこに向かうかわからない。 何かどんでん返しがあるのか...
ストーリーがどこに向かうかわからない。
何かどんでん返しがあるのか?と思いきや、何も起こらないといえば起こらない。
しかし、なぜか心地よい余韻が残るのは何故なのかー
クール
大人が作った社会の中で、ゲイリーは欲しい物なんてないけど、手に入れる方法だけはしっかり心得ている。いつだって自分か世界の中心だから。
年上のアラナは既に自分が世界の中心じゃないことを知っているから、少し諦めながら自分の居場所を探している。
そんなあの頃のちょっとさえない二人の物語を、PTAは最高にクールな手法で描いてくれた。
鑑賞者に対して、感情や共感、懐かしさを押し付けない。「一生懸命作った映画を見届けてくれませんか」と言わんばかりの謙虚さに監督の映画愛を感じた。
逮捕されたゲイリーを乗せたパトカーを全力疾走で追いかけるアラナ。
ホールデンのバイクから落っこちたアラナのもとに全力疾走で駆け寄るゲイリー。
いくら駆け引きしたって、いざとなったら相手のために走り出しちゃうのが恋だよね。
同性愛者がカミングアウトするには、まだまだ階段を登らなきゃならない時代。彼の家の前に聳え立つ階段の先が少し明るかったのが印象的。
そこでアラナは自分の中の愛を自覚する。
ラストの、二人が全力疾走で出会う場所は映画館のチケット売場。シネフィルらしい直球をバシンと受け取りました。
それから、ゲイリーが慣れない煙草をふかすシーンにグッときた。お父さん(フィリップシーモアホフマン)の、おっさんの色気のある所作が垣間見えた。
Jewish nose
haimというガールズトリオをyoutube動画で知っていた。
エロス資産を活用したあざといPV群をいくつか見たことがある。
見た目も楽曲もキャッチーだがハーモニーを削いだWilson Phillipsという感じ。
無駄にエロい姉妹──という印象だった。
その末っ子Alana Haimが、役名もAlanaで出ている。
じぶんがhaimから選ぶならブルネットのDanielleか大柄なEsteを選ぶだろう。
が、ポールトーマスアンダーソンはいちばん小さいアラナを選んだ。
慧眼だった。
アラナ・ハイムに惹かれる映画。
洋化したけれど対称を欠いた浅田真央──みたいな顔立ち。
垢抜けず、歯並み矯正もしておらず、しみそばかすも隠さない。
英語wikiの「Jewish nose」(ユダヤ鼻)にはバーブラ・ストライサンドとアラナ・ハイムの写真がある。
見本になるほど典型的なのだろう。
映画の中でも“very Jewish nose!”と言われていた。
民族をアイデンティファイする鉤鼻。
普通で自然でオーラも見えない。
なのに、なぜかすごくそそる。
なぜかすごく懐かしい。
さすがポールトーマスアンダーソンだった。
もともとアラナ・ハイムを念頭にあて書きされた脚本だそうだ。
レトロなので回顧録のような気がしたが伝聞などを継ぎ合わせたオリジナルストーリーとのこと。
重い、どっしりした映画をつくるポールトーマスアンダーソンだが、リコリス・ピザは軽快でノスタルジック。
語り口もエピカルでなく、ざっくりの羅列になっていた。
──
大きくなりすぎた子役ゲイリーと撮影アシスタントのアラナ。
ふたりが近づいたり離れたりしながら色物から色物へ商魂たくましく泳いでいく──という話。
はっきり言ってかれらが何をしているのかさっぱり解らなかったw。
それでも映画には説得力があった。
監督の盟友で夭逝したフィリップシーモアホフマンの息子がゲイリー役。
ふたりのういういしさがいちばんの見どころだったが、おそらく、この映画でもっともこだわっていたのは、ラブアンドピースな時代性を反映したアラナの緩すぎる服装だったと思う。きょうびB地区が立っているのはhaimのPVか、エロス資産利用のTiktokerくらいなもんだろう。けっきょく監督の発想のスタート地点もhaimのPVだった──のではなかろうか。
live and let live(お互い邪魔せずやっていく)
シスターフッド・ムービー『ラストナイト・イン・ソーホー』のインタビューで監督エドガー・ライトはこんなことを語っていた。
「この映画は、バラ色のレンズで過去を振り返ることへの反論です。完璧な10年なんてありません。どんな形であれ、“古き良き時代”があるという考えは誤りであり、これまで見てきたように危険なものです。過去を夢見て過度にノスタルジックになることは、現代からの後退であり、現代に対処できていないのかもしれません」
PTAの最新作はこのライトの発言に対するさらなる反論といってもよい内容になっている。
25歳の年上女性と15歳の年下男性とのつかずはなれずな関係を描いたラブストーリーは、70年代LAはサンフェルナンド・バレー(PTAの地元)への甘きオマージュに満ちているからだ。ジョン・ピータース(ブラッドリー・クーパー)やジョエル・ワックス(ベニー・サフディ)の実在人物と、実在の人物(ウィリアム・ホールデン、サム・ペキンパー)をモチーフにした架空登場人物のエピソードが虚実ないまぜに語られている。
映画には登場しないものの、映画タイトルの『リコリス・ピザ』は、サンフェルナンド・バレーにあった実在のレコードショップ・チェーンからいただいているそうで、LPレコードの隠語にもなっているらしい。若くして商売上手なゲイリーと運転上手?なアラナは、恋人同士というよりはビジネス上の良きパートナーといった感じで、そんな2人がレコード針とレコード盤のようにくっついたり離れたりを繰り返す物語なのである。
何せ10歳の年の差がある2人、ティーンの子役としてのキャリアをもっているゲイリーと付き合うなんて現実的に考えればどうかしている、とアラナ自身疑問に感じている。よってサンフェルナンド・バレーをよなよな徘徊している有名人にすり寄ってちゃんとした生活?を送りたいとも願う、(現実と夢の間を行き来する)ちょっと精神不安定気味な女子なのだ。このあたり、年に似合わず地に足がしっかり着いているゲイリーとは非常に対照的に描かれており、ある意味年齢差を利用した反フェミニズム的ストーリーになっているのである。
ウォーターベッドにレンタサイクル、ピンボールマシン専門のゲームセンター....まだまだ子供のお遊びのような幼稚なビジネスだけど、夢があっていいじゃない。社会で既に成功をおさめているピータースのようなダラちんマウント男とは違って、僕は君のことをこんなに純粋に愛しているんだよ。(仲違いしていたジョンへの和解を呼びかけた楽曲ともいわれる)ポール・マッカートニー&ウィングスの“Let Me Roll It”にのって、離れ離れになっていたゲイリーとアラナはラストにめでたく結ばれる。
過度にノスタルジックになって何が悪い。現代からの後退?バカいってんじゃねぇよ。パンデミックでむやみやたらな接触が憚られる時代だからこそ、つかずはなれずの(007のボンドのように走ってばかりの)ベタなラブ・ストーリーが逆に必要なのさ、フェミニズムで男女の対立煽ってどうすんねん。そんなPTAのマスク越しの声が聞こえてきそうな1本なのです。
ちょっとビターだけど、ハッピーでノスタルジックな天才の素顔に、皆恋をする
ハリウッドの映画監督で50代はまだまだ中堅と言った所か。
しかし、ポール・トーマス・アンダーソン(以下PTA)にはベテランの風格がある。『ブギーナイツ』『マグノリア』の頃から“若き巨匠”と呼ばれてたっけ。
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』からのシリアス劇で、“若き”ではなく名実と共に名匠の地位を確固に。世界三大映画祭での受賞やアカデミー賞での複数回のノミネートは、この天才の才能を示す一例に過ぎない。
その非凡さを表すのは、言うまでもなく外れナシの作品群。
常に一癖ある作品を発表し続け、近年は深淵なシリアス劇続き、待望の新作は何と! 少年少女の青春ラブストーリー。
PTA作品としては異色のジャンル。
でも、そうでもない。70年代が舞台で、生まれ故郷のLAサンフェルナンド・バレーを描く。
ユーモアやノスタルジックさも漂わせ、初期の『ブギーナイツ』『マグノリア』『パンチドランク・ラブ』を彷彿。
異色ジャンルではなく、原点回帰のPTA作品。
とは言っても、この鬼才が平凡なボーイ・ミーツ・ガールを撮る訳がない。やはり一癖あり。
映画やTVドラマで子役としても活躍している15歳の高校生男子、ゲイリー。
彼が一目惚れしたのは、たまたま学校に写真アシスタントとして来ていたアラナ。25歳。
この10歳の歳の差の恋の行方が、見る者をやきもき、いじらしく、胸かきむしる。
ゲイリーはお喋りでナンパ。会って早々、“運命”なんて言ったりして。それでも何とか食事に漕ぎ着ける。
しかし、アラナの反応は素っ気ない。年下には興味ない感じ。
アラナが興味を持ったのは、ゲイリーの仕事の芸能の世界やもっと大人地味た子役。
ゲイリーは他人のフリして電話。すると、自分と話す時は素っ気ないのに、ウキウキ声。ショックを受ける…。
アラナは別の男子を自宅の夕食に招くが、とある揉め事に…。
もう子役って歳でもなく、かと言って大人でもない。これからも役者やっていっても見通しは無い。
そこで、事業を展開するゲイリー。ウォーターベッド販売。再会したアラナにも声掛け。
突然、ゲイリーが逮捕。人違いですぐ釈放されるが、茫然自失。
アラナはゲイリーが乗せられたパトカーを走って追い掛けたり、警察署から出てきたゲイリーを本気で心配したり、何だかんだ気に掛かる。
これがきっかけでアラナはゲイリーのウォーターベッド販売を手伝い。
勿論ゲイリーはまたアラナにアプローチするが、例によってアラナの反応は…。電話アポで相手の男性に色っぽい声で話したり、ゲイリーはやきもき。
気があるんだか、無いんだか。相手の反応を見るようにからかってみたり、お互い別の相手にふらふらしたり。そんな態度取ったと思えば、また親密になったり。
どっちやねん?!…と言いたくなるが、素直になれない両人の心情が本当にいじらしい。
でも二人に共通しているのは、精一杯大人地味たり、今の自分からの脱皮。
事業なんかして、大人の男をアピールするゲイリー。何か、スーツに袖を通して、身の丈や格好がまだまだ追い付かない感じ。
そんなゲイリーとは違って、大人の女をアピールするアラナ。
しかしそんなアラナも年上の男性や大人の世界に憧れたり、政治の世界で働いたりする。
ゲイリーの子供っぽさをコケにするが、やってる事は同じ。彼女もまだまだ大人に成り切れない。
二人を取り巻く大人たちが滑稽。
ダンディーな映画俳優は、友人の映画監督と急遽炎のバイク・スタントを披露。
ウォーターベッドの発注で向かった映画プロデューサーは、傲慢破天荒。
アラナがアシスタントとして働く選挙事務所。ある時議員に呼ばれるも、あるゴシップ隠しに利用され…。
大人たちに幻滅。これが、大人の世界か…。
その中で振り回され、右往左往する僕たち、私たち。
オイルショックでウォーターベッド販売に翳りが見え、ゲイリーは性懲りもなく別事業を展開。ピンボールマシン店。
政治の仕事に携わるアラナにしてみれば、子供と一蹴。
相手にイライラしたり、当たったり、喧嘩したり…。
またまた二人はそれぞれ別の道を行く。
嗚呼、本当にいじらしい!
それを体現したのは、フレッシュな主演二人。共に映画や演技デビューで、本当に“フレッシュ”なのだ。
“ハイム”という三姉妹ロックバンド。いつもながら知らぬが、三女のアラナ・ハイムが同名のヒロインを演じる。
ゲイリー役には、クーパー・ホフマン。PTAの常連だった故フィリップ・シーモア・ホフマンの息子。このキャスティングが泣かせる。
ただの親の七光りで選ばれた訳ではあるまい。無論亡き盟友への思いもあるだろうが、しっかりとした演技力。本当に15歳?…と思うくらい、父親譲りのご立派な体型。
二人が瑞々しい好演を魅せてくれる。
ブラッドリー・クーパー、ショーン・ペン、ほんの一瞬だが常連ジョン・C・ライリーも顔を見せ、特にクーパーははっちゃけ演技を披露するが、今回ばっかりはフレッシュな二人をバックアップ。
今後の活躍も期待。
PTA作品としてはこれまでで最もマイルドで見易く受け入れ易いのでは…?
楽曲もいい。
タイトルは食べるピザとは関係ナシ。この地区などで展開していたレコード店の名称だとか。日本で言ったら、タワーレコードみたいな…?
サンフェルナンド・バレーの町並みや雰囲気も、知らぬ場所で生まれてない時代なのに郷愁誘う。
それを最もよく表したラストシークエンス。
親密になったり、喧嘩したりの繰り返し。でもやはり、お互いにとって欠けがえのない存在という事を改めて知る。
映画館の前で(上映しているのは『007』!)、ぶつかる勢いでハグ。
このハッピー感、愛らしさ!
とてもとても『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』や『ザ・マスター』や『ファントム・スレッド』と同じ監督とは思えない。
だからこそ常に見る者を唸らせる非凡さ。
いやそれより、これが天才の素顔なのかもしれない。
どうせならPTAさん、
続編作って二人が(勿論色々すったもんだあって)結ばれるまでを描いてみてはどうでしょう??
楽しくて爽快なPTA作品
ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作は、1970年代を徹底的に描こうとする心意気が伝わってくるロマンティック・コメディ映画。
1970年代の西海岸として映る自動車・ファッションなど「よくまぁ、これだけ当時の物を揃えたものだ…」と思ったら、撮影機材なども当時の物にこだわって製作したらしい。
物語は、高校生15歳のゲイリー(クーパー・ホフマン)は俳優として活躍していたところ、アラナという25歳の女性(アラナ・ハイム)が現れて、ゲイリーは惚れる。
しかし、アラナは10歳下のゲイリーを子ども扱いする。そして、ゲイリーもアラナも互いに一緒に行動したりしながらも、他の異性に心揺れたりするのだが……という割と王道っぽい恋愛もの。
とりわけ印象的だったのは、ゲイリーがウォーターベッド展示会場で警官に突然逮捕されて連れていかれて、そのあとゲイリーとアラナが二人ならんで走る場面。
心地よい爽快感。
また、本作では色々な曲が流されるが、ジャック・ホールデン(ショーン・ペン)がアラナをバイクに乗せて走るシーンの後に流れる曲「♪Let Me Roll It」(Paul McCartney & WINGS)が、とても雰囲気良い。
この映画で初めて見たアラナ・ハイムという女優はそれなりに綺麗、クーパー・ホフマンは何とあのフィリップ・シーモア・ホフマンの息子ということで本作を観ながら「やっぱり、似ているなぁ…」と思った。
なお、DVD特典映像として「未使用シーン(削除シーン)」は少し過激な下ネタなどがあったりして、「NGシーン」は撮影現場が楽しくて笑っちゃったりした場面などが面白い。
また、撮影現場を映した写真では「本編映像に映る登場人物以外の俳優全員、スタッフ全員がマスクをしている風景」が写されていて、「コロナ禍での映画撮影は大変。しかも、本作は大勢が集まる場面もあり、さぞ気を使って撮影したのだろうな」と思う。
なかなか楽しくて、観たあとも心地よい素敵で楽しい映画だった。
何でも「はい、出来ます。」
リコリスもピザも出てこないようだが、15歳男と25歳女の恋愛話。
彼らはくっ付くようなくっ付かないような。
騒ぎ立てないコミカルを折々にはさんでいて面白い。
良い点
・2人の才能
・ユニークな脇役たち
・言葉最小限の脇役たち
・逮捕や電話対応など
悪い点
とくになし
その他点
・巨人である
リアリティーのある青春映画
おバカでお下品な青春が描かれていて好感がもてました。
アメリカで青春時代を送るのもけっこう大変そうですね。
それにしても妙にリアリティーがあるなぁ、この映画。
ストーリーがいきいきとしている。物語に血がかよっている。
僕自身の無節操で無軌道な恥ずかしい青春時代を思い出したりもしました。
新鮮な感覚の、風通しの良い作品という印象を受けたけど、迷走するストーリーに戸惑い、後半は「彼らは、いったい何がやりたいんだ?」と少しダレてしまった。
たしかに観るひとが観れば、かなり楽しめる「つう好み」の作品かもしれません。
好感はもてたのだけど、込み上げてくる感動のようなものはありませんでした。
でもいい映画だな、うん。
大好きなドアーズの曲を久しぶりにスクリーンで聴けたし。
タイトルの意味するところは? と、調べてみたら……そりゃ、わからんわ。
トラックのシーンが好き
観た後にじわじわと良かったと思えてくる映画。
トラックのシーンが見たことない映像で好き。
うっかり28と言うところも可愛い。映像と相まって、帰りに誰の曲か検索するぐらい曲がめちゃくちゃ良かった。デヴィッド・ボウイのLife On Mars?
"男ってみんなバカで嫌になっちゃう"
子役として活躍、他にもビジネスをやったり15歳にして絶好調のゲイリーと未だパッとしない人生に不満しかない25歳のアラナが出会い、微妙な距離を保ちながら共にすごしていく話。
ゲイリーは幼くして金稼いでるし周りにチヤホヤされてるから、15歳にしてもうトランプのような風情漂わされた子供おじさん。いくら態度がデカくても子供だから、行動が幼稚で馬鹿。子供だからやっぱダメだと思いきや、出てくる中年男やジジイ、全員バカ全員しょうもない(笑)
でもそうやって男を値踏みして比較してるアラナだって子供で馬鹿。自分はあいつと違ってバカじゃないと思ってる時点でもう子供。自分のことは棚に上げて値踏みする世の女性達よ、ブスブス刺さるよ(笑)
だからこそ、最後のお互いがお互いに会うために走っていくベタベタなシーン、「やっぱりあなたしかいない!」じゃなくて「今のダサい自分を受け入れよう」って感じがした。いつもならシラケるけど、すごく清々しく見れた。だって今はゲイリーが1番ハマってもいつかもうちょっと成長したら、選挙ボランティアの同僚の方にハマる日が来るかも、、笑
アメリカの70年代の実際の要素が練り込まれてるらしいけど、私はそれより警察から出た2人が走り抜けるシーン、燃料切れになったトラックを傾斜で転がる力だけで運転するアラナ、やたらと失礼なことをタバコを吹かせながら言うけど表情がなんともいえない良さを醸し出す芸能事務所のばあちゃん、、などなど、良いシーンの宝庫だったな。この馬鹿どもをずっと見ていたいと思った。
あとは、海外映画史上1番(言いすぎかも)日本人女性をちゃんと使ってくれてて嬉しかった。女の人に限らず基本日本人の使い方って雑で、英語理解できなくて頭ペコペコ顔ニコニコみたいな。でも今作は、自分の主張を堂々とした態度で英語も理解した上で日本語で話してて(片言じゃないのも大事)、嬉しかった。しかも美人ではなく、山村紅葉をなめらかにした感じのママでそこ
“〇〇好き”のハードルの高さとは
今回は絶対に嫌われる、凄く上から目線の発言になってしまっています。
“〇〇好き”と人は簡単に言ってしまいがちですが、マニアとオタクとかになるとそういう発言に厳しい側面があり、単に好きではなくもう少し深く考察したり独特の感性で捉えられる人の事を“〇〇好き”と認めたくなります。
映画好きも同様で、単一の国・作家・ジャンルだけでなく様々なタイプの作品に対して興味を示さなければマニア、オタク、シネフィルと呼ばれる人達は、内心映画好きと認めていない様な気がします。
そういう意味では、本作は映画好きのリトマス試験紙の様な作品に感じられました。
それだけ映画好きの中には熱烈なファンがいる、映画通に愛されるクセ者監督、ポール・トーマス・アンダーソンの作品であり、まあ私も過去作品は嫌いではなく(爆)、でも大好きと言うにはちょっと気恥しい監督。何故なら、感動はしていないし本当に理解できたかどうかも自信がなく、本作も同様にそんな作品でした。
早い話、にわか映画ファンには敷居の高い、作家性の強い監督であるということです。
何故リトマス試験紙なのか?を、本作でもう少し具体的に列記すると、まず1973年のLA郊外を舞台にしているという時点で、世代ネタやローカルネタが満載であり、この時点でその時代や土地に興味のない人の半分は置いて行かれます。
そして本作、一貫しているのはただ主人公二人の恋の行方となるのですが、その合間に様々なスケッチやエピソードで綴られてはいますが、各々のエピソードにオチは無く、そちらに意識を持っていかれる恐れがあります。
本作の場合、娯楽映画で大衆が喜ぶであろうセオリーは完全に外しているので、ここでも残りの半分は脱落するのでしょうね。
更に追い打ちとして、主人公達が王道の青春・恋愛映画の美男美女でなく、キャラも分かり難いし癖も強いと来ているので、ここでまた残りの半分が消えて行きます(笑・笑)
ここまで来てこの映画をまだ面白い、楽しいと感じられる人は、作家映画独特の感覚に対応出来る人達なのだと思います。
外面がどんなに個性的あっても、その本質を捉えられる能力や感性は、幼少から十代であっても感覚的に理解できる人達と、一生解らないままの人達とに(残酷なまでに)別れてしまいます。
ポール・トーマス・アンダーソンの作品に限らず作家性の強い監督作品を鑑賞する場合は、まずそうした事を念頭に置いた方が賢明だというお話でした。
本作の内容そのものも、今まで述べた「心の奥からの好きとは?」という事とかなりリンクしていた内容の様に思えました。
ふたりの美男美女じゃないビジュアルが良かった。 共感はしないけどあ...
ふたりの美男美女じゃないビジュアルが良かった。
共感はしないけどあどけなさものこってる野心家ゲイリー×色々拗らせアラナの組み合わせの空回りっぷりがとにかく見ていて面白かった。
ベッドに水溜まっていくのを見ている二人、テイルオコックでの鉢合わせ、アラナの覗き見、ベッドで胸触る、ビンタとか色々シュールだったり、面白いカットがたくさん。
キミコさんのいきなり「ウェイトレスなんてどうでもよくなーい?」の日本語炸裂で吹いたw
クーパーの開幕マシンガントークでの脅しっぷりからのガススタライターとか基地っぷりも相当キテる。
70年代のLAの街並みれて嬉しい。この近郊の歴史や文化事情知っていたらもっと楽しめるんだろうなと思った。
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