「オランダ・アムステルダムの博物館「アンネ・フランクの家」にて展示さ...」アンネ・フランクと旅する日記 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
オランダ・アムステルダムの博物館「アンネ・フランクの家」にて展示さ...
オランダ・アムステルダムの博物館「アンネ・フランクの家」にて展示されている「アンネの日記」の原本。
嵐の朝、展示ケースのガラスが割れたことで、館長はアンネの部屋の机の上で展示することにした。
不思議なことに、日記を宛てたアンネの空想上の友だちキティが日記の中から飛び出し、現代の世の中に現れてしまった。
キティは、21世紀だとは思わず、アンネの姿を探すが、当然にして、アンネはいない・・・
というところからはじまる物語で、実態を持ったキティが現代の世でアンネを探す物語と、日記に書かれた第二次大戦中のアンネとその家族の物語が時空を超えて絡み合っていきます。
有名な『アンネの日記』だけれど読んだことがなく、1959年につくられたジョージ・スティーヴンス監督、ミリー・パーキンス主演の映画『アンネの日記』も恥ずかしながら未見です。
なので、本作の第二次大戦中のエピソードで日記の内容を知りました。
第二次大戦中のエピソードは、戦闘シーンなどは少なく、アンネの父が経営する会社ビルの隠れ部屋で複数の家族が息を殺しながら生活する様子が描かれているわけですが、それぞれの家族のキャラクターの描きわけがしっかりしています。
アンネ一家が隠棲生活をするようになった経緯は、子どもたちが強制労働収容所に送られそうになるので身を潜めた、ということで、これは初めて知りました。
また、この大戦中エピソードの中で、なぜユダヤ人が迫害されるのか、というキティに対して、少数民族が迫害されるのは歴史の常で、ロマ(ジプシー)やアルメニア人やその他の民族と列挙していき、それが現代的なテーマへとリンクしていきます。
現代エピソードでは、博物館の来訪者たちから金品をスリ獲って生活をしている移民の少年が登場し、彼がキティを行動を共にします。
映画が進むうちに、アムステルダムに暮らす移民・難民の問題が表面に大きくせり出して来、先に述べたユダヤ人迫害問題と根っこが同じであることを示していきます。
ということで、かなりの社会的テーマを扱っているのですが、絵の魅力があり(たぶん、実際の俳優の動きを元にしたロトスコープではないかと思うのですが)、現代と大戦下を自由に行き来するファンタジックな要素も魅力に富んでおり、大人のみならず、小学校高学年ぐらいの子どもでも楽しめる映画になっていると思います。
ファンタジー要素の中では、アンネの空想の中で登場する、クラーク・ゲイブルら映画スター軍団とナチスドイツ軍との戦闘シーンが、絵的にもかなり面白かったです。
#映画アンネ