ツユクサのレビュー・感想・評価
全86件中、81~86件目を表示
忘れることはできないが、前に進むことはできる
心の傷を負った人が、再生していく物語といえば、大事件を解決したり、厳しい試練を乗り越えたりと、ドラマチックな展開が多いが、『つゆくさ』では隕石にぶつかる程度のアクシデントしか起きない。
この作品に登場する人たちの喪失感を埋めていくプロセスは、身近な人たちが行なっている過程にとても近い。傷がカサブタで覆われ、何かの拍子にカサブタがはがれる。劇的な何かが起きるわけではない。
だからこそ、共感できる部分がいっぱいある。仕事に集中したり、気の合う人とおしゃべりをしたり、行きつけの店でくつろいだり。そんな物語を小林聡美、江口のりこ、松重豊らの演技達者が、コミカルに演じる。彼らの過去はさらりと触れられるが、そう簡単に癒えるような出来事でもない。忘れることもできないが、前に進むことはできる。そんな事を思う作品でございました。
普通に恋ができる…それ自体が奇跡に思えてきます
絶対に忘れることのできない喪失と後悔。
それでも、普通の仕事があって、普通の暮らしをしていれば、少しずつ薄れていく…。
薄れていく、という言葉はそれ自体にややネガティブな印象が伴いますが、決して悪いことではありません。
残された人だって生きていかなくてはならないのだから、少しでも幸せなほうがいいに決まってます。本人だけでなく、周囲で暮らしている人たちだって、声の掛け方にも気を使うような辛い精神状態の人が身近にいるのは、どうしても息が詰まる訳でなるべく少ないほうがいいと思います。
ルーティン・ライフって大事ですね。
仕事でも家庭でも、一定の役割があって、ささやかながらも自分なりの使命感と自負が持てる規則正しい生活ができる、ということ。
芙美が航平と友達付き合いをしているのは、見ようによってはボランティア。世間的にそれほど立派なことでなくてもいいから、ルーティン・ライフの中にそういうことが加わって忙しくなるのは、亡くなった人に対して、自分が生き残っていることに負い目を感じる時間も減っていき、心も穏やかになっていくはずです。
生きているんだから、恋くらいしたっていいんだよ。
※ウクライナやコロナ禍だけではなく、以前からあったアフリカの内戦や飢餓、ミャンマーや香港やタリバンその他色々な形での圧政に苦しむ人たち。
今、世界人口は約80億人ですが、普通に恋ができる環境で生きていける人は一体どのくらいいるのでしょうか。
『ツユクサ』
オンライン試写会にて鑑賞。
海辺の小さな町でのクスッと笑える日常と人間模様、出会いと別れ、新たな恋の芽生え。
切なくもほっこりと心温まる作品でした。
なんと言ってもあの停電の演出、最高でした!
もういい年だからと諦めてしまう事が多いけど、幸せになる為の一歩を踏み出す勇気をもらえた映画でした。
出演者を見て、好きなタイプの邦画かもと思っておりましたが、当たりでした。
やはりこの手の出演陣はいい味を出してくるなと、つくづく感じてしまいました。
(オンライン先行試写会なので)ネタバレなしです。
今年109本目(合計383本目/今月(2022年4月度)19本目)。
前々から興味があって、ツユクサのアカウントをフォローしてメールアドレスを登録したら当選しました。
当然のごとく「ネタバレは禁止」ということなので軽くいきます。
テアトル梅田やシネリーブル梅田等でよく予告編が流れていたのですが、「東京テアトル系列」みたいです(2022年だと、「私は一体なにと戦っているのか」(?)だったかも、この系列)。
この映画とテイストはやや似ているかな…という印象です。
地球に住んでいる人に(小さい)隕石がぶつかるという天文学的な経験をした主人公(この映画の主人公は誰に取るかは微妙ですが、五十嵐芙美さんでしょうね)や、彼女を取り巻く知り合いと話が進んでいきます。
ところが彼女は諸般の事情で一人暮らしであり、それには過去の問題がありました。あるとき、その一人暮らしで住んでいる町に引っ越してきた人がいて、その人と奇跡的な出会いをするのですが…。
※ (参考) ツユクサにも色々な種類がありますが、江戸時代に入ると友禅などの絵具として用いられています(青色の色紙として)。
全般的にほのぼのと進む日本映画の特徴そのままで、アクションシーンもなければ目を見張るようなシーンもない(恋愛シーンもないわけではないが、ごくごく最小限)、平坦に過ぎるというのはあるのかもしれませんが(それで引いても減点0.1程度に過ぎない)、東京テアトル系列さんの映画はこの傾向があり、そういう映画だということを認識した上で見に行く限り、そこまでの減点要素ではないと思います(どう解しても4.9にしかならず、四捨五入で
5.0まで切り上げています)。
邦画の“大好き”が全部詰まった映画
花の名前を教えてもらうと、その花を見る度にその人の事を思い出すそうな。
行き止まりに思えた道も、よく見回すと別の横道に繋がっている曲がり角だった。
そんな人生の2ターン目の戸惑いや喜びが、心にスッと入ってくる。
見事な脚本。素晴らしい演技。真摯な演出。
邦画の大好きなところを全部集めたような映画でした。
航平くんの元気な語り口が、映画のトーンを一段明るくしています。
てっきり、子供の目線から主人公の芙美を観察しているのかと思いましたが、ガッツリ物語の中に入り込んでます。
まさか初恋のくだりが、こんな風に影響してくるとは!
それで言うと、まさかインコがこんな風に影響してくるとは!笑
主人公の芙美を中心にはしていますが、芙美を取り巻く人々のドラマも描かれます。
最小限で無駄のない脚本が本当に素晴らしい。
そして、その最小限のエピソードの見えない部分…氷山の下に隠れている部分を最大限に膨らませて見せてくれる名優たち。
小林聡美さん、松重豊さん、平岩紙さん、江口のりこさん、渋川清彦さん。
ちょっとしたニュアンスに込められたユーモアとペーソスがたまりません。
子供の頃、50歳っておばあちゃんだと思っていました。
でも、人生100年の時代では折り返し地点にすぎない。
人生のどん底から少しずつ動き出した心が潤っていく。距離が縮まるトキメキや、誰かと寄り添う心地よさ。
いい歳の大人でもキュンキュンしちゃうんだなぁ。これが。
航平君と対に描かれる、人生2ターン目の初恋。
靴下を脱ぎ捨てるシーンに胸が詰まって泣けました。
とっても好き
オンライン試写会にて。
もう全てのキャラが魅力的!素晴らしい脚本&演技で、とても好きなタイプの作品でした。好きな落語家さん達の出演も嬉しい!舞台となる港町の雰囲気も素敵で、のどかで美しい西伊豆に行きたくなりました。
全86件中、81~86件目を表示