ツユクサのレビュー・感想・評価
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豪華な素材の寄せ集め
味のある粒揃いの役者たち、子を亡くし独り暮らす中年女性という主役の設定、海辺の街、隕石の欠片との遭遇、影のある初老の交通整備員との出会い、狂言回しとしての子役の存在などなど、気を引く素材がたっぷり。その維ぎ合わせで95分が終わった。監督/脚本家が言いたいことを子役の口を使って言わせている印象が強く残った。
オトナの止まり木
惜しい
SFロマンティックコメディ
予告編をほぼ毎日観ていてずっと楽しみにしてた。
何しろ好きな役者さんばかり。松重さんと江口さんは最近忙しすぎやしないか心配ではありますが。
会話のテンポや間合いが素晴らしく、ベテランならではの安定感。
それぞれが傷ついた過去があって、どっか臆病なところがあったり、変なベクトルの頑張りを見せたり愛すべき滑稽さ。
その大人たちを繋ぐ航平くんが良い。一人称が僕だったり俺だったり、天真爛漫そうに見えて繊細な感じが良い。
どこかで観た子だなと思ったら、『梅切らぬバカ』の隣家の男の子だったか。
それにしても小林聡美さんと松重さんの身長差すごいな。
『余命10年』で坂口健太郎くんでさえ小さく見えたくらいだからなぁ。
上映時間も長くないし、気負わず楽しく観れる映画だった。
張り詰めた心を溶きほぐすような作品
小林聡美と松重豊のラブストーリーが、こんなにいじらしいなんて
アラフィフのフミちゃんは、気の合う同僚達やその息子コウヘイと楽しく過ごしながらも癒えることのない過去の傷を抱えている
そんな中フミちゃんが、車を運転中に隕石に激突するアクシデントにあった日から、毎日に小さな変化が起こり始める
海沿いの小さな町で暮らす登場人物達の日常を、ショートストーリーを切り貼りしたような構成の、なんでもない生活風景、会話で描かれていく、その一コマ一コマの中を流れていく役者達がみんな良い!
小林聡美、平岩紙、江口のりこが、それぞれの境遇の違いからくる悩みとその受け入れ方を、リアリティをもたせながらも、人生の一場面とばかりにさらりと演じているのがさすが
そして、なにより小林聡美演じるフミちゃんと、松重豊演じるゴロウのラブストーリーがこんなにいじらしいなんて!
互いに癒えない傷を持ち、自分が幸せになることに後ろめたさを感じてしまう2人が、ぎこちなく距離を縮める様に、やきもきしてしまう(しかし、松重さんがゴロウて、ワザトか笑)
ラスト近くのフミちゃんとコウヘイのシーンは、彼女がたくさんの変化を通じて自分のために生き直す決意をしたスタートに感じて、泣きそうになった
芸達者な役者さん達の、熱くない演技合戦も最後まで楽しかった
特に、ラジオ体操のベンガルはズルいし、それを受ける江口のりこに吹いた
明るさの裏にある痛みや悩みも描きながらも、それでも前向きに生きる人々の希望にスポットを当て、人は何度でも生き直せる、そう思わせてくれる映画でした
映画レビューではないんですが。
芙美と同年代なんだな。自分がそういう年代に達したせいか、最近好んでこういう映画を観るようになった。思うのは、意外に早く死は身近な存在になったなという感じ。人生をどう生きるかは誰でも考えると思うが、最近はそこに「残りの」人生という修飾語が付くようになってきた。この映画の登場人物の多くは、大きな喪失感を抱えて生きている。描かれていないが、断酒会の人達や工場長や航平のお父さんやマスターや、もしかしたら吾郎の奥さんだって。極論すれば、これを読んでくれている全ての人が容易くない人生を歩んできている(でしょう?)。人に歴史ありとはよく言ったもんだなと思う。そう言った思いを抱えながら、いや抱えているからこそその人にしかできない生き方とは何か。最近は老人を主役に据えた映画が、国内外を問わず随分増えた感がありますが、今後は映画界全体にとっても主要なテーマになっていくのではないかと映画を観ながら考えてました。
それぞれ
小林聡美さん
名人劇場
もう少し踏み込んでほしかった
予告編での期待が高すぎたか、鑑賞後はため息が出てしまった。
アルコールに走るきっかけはあったかもしれないが深みにはまる心情のひだが見えないし、なぜ禁を破り飲んだのか。
何故東京の歯科を訪ねるのか?
どれもが消化不良で、内容の薄さを演者さんの良いイメージに救われているような気がしてならなかった。
ほんわかして良かった
命みじかし恋せよ乙女‼️❓
キャストが素晴らしい
ほとんど見かけなくなったツユクサ
なんだかホッとするものがあった
小林聡美の演じた五十嵐芙美さんが、大林宣彦監督の映画「転校生」の斉藤一美とタブって見えた。三つ子の魂百まで。女は歳を重ねても乙女のままなのだ。
芙美さんは古臭い価値観から抜け出せないでいる。子供は親の言うことを聞かなければならない。義理の親でも親は親。尊敬して大切にしなければならない。昭和と呼ばれそうな価値観だ。
そんな価値観が息子を死に追いやったことを、芙美さんは未だに理解していない。だから友達の息子の航平の話すことを理解しようとせず、一方的に偉そうに説教をする。映画だから航平は芙美さんのことを嫌いにならないが、現実なら愛想を尽かしていたはずだ。
主題歌は昭和に大ヒットした中山千夏の「あなたの心に」である。中山千夏は歌手活動の後に国会議員になったり、たくさん本を書いたりしている。何冊か読んだ記憶がある。内容は殆ど忘れてしまったが、その中のひとつに、恋とは性欲のことだと看破している文章があった。誰もが明言を避けている真実を堂々とストレートに書いているところに感心した。改めて歌を聞いて感動した。やっぱり昭和の歌手の歌は、聞いていて心地がいい。
本作品で芙美さんが成長するわけではない。さすがに50歳のおばさんに成長はあり得ない。しかし松重豊の吾郎さんに逢って、芙美さんは乙女に戻る。キスをして男の舌で口の中を舐め回されれば、心も溶けてしまう。
芙美さんといい、吾郎さんといい、子供の心のままの大人である。東京で居場所をなくして流れ着いた伊豆の町で出逢い、そして忘れていた恋心に目覚める。そう、本作品は恋愛映画なのだ。優しい大人同士の優しい恋愛である。なんだかホッとするものがあった。
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