「弟(アイバー・モンタギュー)はその筋の大物だったとは!」オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体 リオさんの映画レビュー(感想・評価)
弟(アイバー・モンタギュー)はその筋の大物だったとは!
もともと第一大戦~第二次大戦前後の歴史ものは大好物だが、この作品って作戦そのものの巧妙さを楽しむというより、この作戦を取り巻く人間ドラマを楽しむってことかな、というのが個人的見解。
作戦そのものは至ってシンプル。偽の侵攻作戦の情報を持った(偽の)高級将校の死体を、ナチスのスパイに見つかりそうな中立国スペインの海岸に流してナチスを騙す。 以上。
この偽の情報を、どのようにもっともらしく見せるか、そのディテール作りの過程で起こる人間ドラマが正にこの映画の見どころかなと。
ちょっとややこしいのは、スペインの将校がドイツの二重スパイと見せかけてイギリスの三重スパイだというところと、ドイツの反ヒトラー派の情報将校が、この情報を偽物と理解しながらあえて正しい情報として国に報告したというところ。( イギリス軍御用達のクラブのバーテンが、実は反ヒトラー派のドイツのスパイだったという設定もちょっと複雑か。)
それから言わずもがな、コリン・ファースの演技はやはり格別ですね。戦時体制下のプラトニックなラブロマンスも個人的には悪くないなと。
あと、主人公のユーエン・モンタギュー少佐の弟(アイバー・モンタギュー)が共産主義に傾倒していたくだりについて、Wikipediaの「ヴェノナ文書」のページを見るに、彼はGRU(旧ソ連軍参謀本部情報総局)のスパイでコードネームはIntelligentsiaとNobility、ロンドン映画協会の設立者、国際卓球連盟創設者、初期のヒッチコック映画のプロデューサー等々の様々な肩書を持つそうな。 何と!(映画も卓球も後に共産主義を拡散するための媒体になったであろうことは想像に難くないが、この辺の史実はイギリスでは常識なのでしょうか?) ということは、当時弟の アイバー・モンタギュー(ソ連)経由でも本作戦の欺瞞情報をドイツに流していた、あるいは反ヒトラー派に働きかけていた可能性も!?と想像が膨らみます。
今や「ヴェノナ文書」が公開になって、そもそもルーズエベルト政権自体がコミンテルンの巣窟で、それら共産主義者のスパイが対日参戦の黒幕だったことが明るみとなっており、またチャーチルも米国の参戦を渇望していたわけで、太平洋戦争の開戦経緯が最大の欺瞞だよなぁと改めて考えてしまった。