「スパイとんでも裏話+ラブ+うっすらコメディ」オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体 ニコさんの映画レビュー(感想・評価)
スパイとんでも裏話+ラブ+うっすらコメディ
イギリス軍の「ギリシャ上陸計画」を示唆する文書(偽物)を持たせて地中海に流した死体をドイツ軍に拾わせ、裏をかいてドイツ占領下にあるシチリア島を攻略しようというミッションインポッシブルな実話。007の原作者で実際に海軍諜報部の勤務経験があるイアン・フレミングも、作戦チームの一員として出てくる。フレミングがこの作戦に関わっていたという設定だけは多分架空でしょう。
ちなみに「ミンスミート」とはイギリスの伝統的保存食で、ドライフルーツやりんご、ナッツなどを砂糖やスパイスと一緒にラム酒やブランデーに漬けたもの。子牛や子羊の肉を保存のため加工したのが始まりだとか。身元不明の死体を上級将校のキャラ設定やさまざまな小道具で漬け込む……うーーーんイギリスのセンスを感じるネーミング。
ヒトラー相手の、兵士たちの命を賭けた決死の作戦だが、裏方の話なので話し合いや交渉などテンション抑え目の場面が続く。登場人物も多めで、二重スパイと思われている三重スパイなど出てくるので正直全部は把握出来ず、大筋を追うような見方になった。
溺死した上級将校(架空)という建前で放流する死体のキャラ設定の話し合いが、みんなうきうきしてて何だかとても楽しそうだった。恋人の写真やラブレター、父親からの手紙に婚約指輪の請求書、劇場チケット半券まで作って死体に持たせる。この辺全部史実だそうです。映画での描写はなかったが、実際はこの将校をおっちょこちょいなキャラに見せるため、身分証を再発行のものにしたりというディテールにも凝ったらしい。
身分証のためだろうが、首ぐらぐらの死体を椅子に座らせてどうにか証明写真を撮ろうとしていたのは笑ってしまった。ご遺体で遊んじゃダメですよ。
そんな感じで事前の印象よりなんだか雰囲気がゆるいシーンが散見されたのと、恋愛要素が想定外に多かったので、本作をどういう目で観ていいのか途中でちょっと分からなくなった。プラトニックだけど、妻帯者だし……一瞬だけど、男性同士でそれも唐突に手で……なシーンもあるし……。そういうシーンそのものは別に問題とは思わないが、もっと終始緊張感の漂う、男臭くて辛口なスパイの内幕映画を想像していたので、単純に意外だった。個人的には、そこを少し削って、シチリア島のドンパチと現場の成り行きをもう少し観たかったかな。作戦の結果が現れる部分だし、メリハリが付きそう。
キングスマンのようなアクションは全くないが、英国スパイコリン・ファースを観たい気持ちは満たしてくれる作品。御年61歳、アクションを撮るのは年齢的にちょっと厳しいのかなあ……出来そうならまたやってほしいけど。
コメントありがとうございました😊。ド共感です。ユルイですねっ。寝てしまいました。戦争とはいえ「映画」なので、スピード感、緊迫感大事と思いました。ありがとうございました😭😭。