「バンドが続く秘訣とは」a-ha THE MOVIE regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
バンドが続く秘訣とは
本作公開前、ネット上のニュース等で「a-haは『Take on me』の一発屋バンド」みたいな扱いをチラホラみたが、世間一般ではそんなイメージだったのかと意外。やっぱり『Take on me』が他の映画やドラマの劇伴に使われる頻度が多いのと、スケッチを活用したあのPVのインパクトが強すぎたのだろうか。
ミュージシャン、特にバンドのドキュメンタリーではメンバー間の友情と確執が焦点になりがちだが、本作もその影はちらつく。3人が揃ってインタビューを受けていないのは、個人個人の本音を聞き出すためという監督の意図からだが、やはり一度解散を経験しているだけあって、過去の葛藤や軋轢を冷静に振り返っている。ポップアイドルの顔として取り上げられる居心地の悪さなど、人気が出過ぎた故の弊害を吐露するあたりは“ミュージシャンあるある”だろう。
衝突するからこそいい曲が生まれる、葛藤を抱えるからこそいい詞が書けるというのは、『ザ・ビートルズ:Get Back』でも証明されている。「a-haが続いているのは友情ではなく絆」というモートンの言葉もまた、“バンドあるある”なのかもしれない。
当然ながら彼らの楽曲が劇伴として使われているが、今でもa-haを聴く者としては、観ながらついつい口ずさんだり(声は出してないけど)、リズムに合わせて無意識に体が動きそうになってしまった。『Take on me』のPVを意識した演出も良い。
余談だが、劇場にはリアルタイムでa-haを追っかけていたと思しき女性客がチラホラいたのも特徴的。
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