「ただの変態ではない、SFサイコミステリー!?」女子高生に殺されたい 梅★さんの映画レビュー(感想・評価)
ただの変態ではない、SFサイコミステリー!?
原作未読。
本作は変態のお話ではなく、真面目に心の病気のお話。
シリアルキラー等の犯罪者にありがちな話だが、幼少期に受けた虐待やネグレクト等の経験は人格形成に大きな影響を与え、大人になってもその影響からは逃れることは難しい。
主人公の東山は容姿端麗、頭脳明晰、その上努力を惜しまない勤勉さを併せ持つ。所謂、勝ち組。しかし、全てを台無しにする自分ではどうにもならない欠点があった。出生時のトラウマを放任主義の親により取り返しのつかないレベルまで拗らせてしまう。これさえなければ幸せになれたのになぁ…
東山は人に知られてはいけない自分の願望を叶えるために努力を惜しまない。最初は計画の全体像が分からないので努力の方向性に笑ってしまうが、お話が進み計画が分かってくると自己中心的な考えで多感な時期の女子高生、しかもトラウマにより精神疾患を患う少女に何をやらせようとしているんだろうと怒りすら感じる。いつも犠牲になるのは力を持たない子供達なのだ。
しかし、本作の見所は東山にターゲットにされた女子高生達若手女優の名演にある。本作はツッコミどころが実に多い。進学校なのに学校は荒れているし、保健室に先生はおらず子供達だけで放置していたり、多重人格に未来予知能力、男子顔負けのフィジカル少女と1つの学校に能力者が集まっているのも出来過ぎている。挙げればキリがない程ツッコミどころだらけだが、作品全体のミステリアスな雰囲気と若手女優達の勢いで無理矢理ねじ伏せていく。彼女達の次の出演作が楽しみになる。
終わり方も個人的に結構好きな終わり方だ。心とは何なのか。記憶を取り戻すことは良いことなのか。悪いことなのか。白黒つけず観る側に問いかける。