夏へのトンネル、さよならの出口のレビュー・感想・評価
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切なくも心地よい余韻を残す良作
ある田舎町でまことしやかにささやかれる都市伝説「ウラシマトンネル」。
欲しいものが手に入る代わりに失うものもあるという噂が。
そのトンネルを偶然にも見つけた塔野カオルは都会からの風変わりな転校生 花城あんずと共にウラシマトンネルを探索する。それぞれの手に入れたいもののために――
2人の「共同戦線」という微妙な関係が彼らの抱く願いが明かされるにつれ徐々に変化していく展開に心惹かれる。
ウラシマトンネルの秘密と2人の物語の結末はスクリーンで確かめて欲しい。
王道のボーイミーツガールですが、設定的にはアレレ。でも好きな作品です。
ライトノベル原作のアニメ映画。SF、夏、青春の三代噺って感じですかね。ボーイミーツガールの王道で、少しだけビルドゥングスロマンの形態でもあります。普通に面白い話なのですが、全般的に陰鬱な雰囲気なので、ヒットはしないだろうな〜。
キャラデザとか美術背景とか綺麗ですね。主人公とヒロインが手を取り合うのが象徴的な場面で出てくるのですが、その構図の取り方とか上手いな〜。トンネルの奥へ進むのは常に下手から上手で「過去に向かって」の意味で、トンネルから出るのが上手から下手へ向かうので「未来へ進む」という映像ルールがよくわかりますね。
オーソドックスな三幕構成になっているのですが、ヒロインにとってはちゃんと三幕になっているのですが、主人公の男の子の方が上手くハマっていないような、、、う〜ん、原作を読んで考えます。
声優は、、、、まあ、アニメにとって声優なんてたいしたマテリアルではないんだよ、って見本ですね。セリフなんて下手でもなんとかなります。
いろいろ以下で文句付けますが、全般的には気に入っています!陳腐だけど、こういう根暗系のボーイミーツガールってオタク向けには必要でしょ!
以下はネタバレになります。
SF設定としては、所謂「ウラシマ効果」が設定ネタですね。でも、SF好きとしては、そのほかに色々な設定がありすぎて、やや説得力に欠いた印象。失ったものが手に入るって設定、それが「願いが叶う」と誤認される設定、メールが届いたり届かなかったりの設定。
だいたい、共同戦線と称して色々と実験するけど、肝心な「どうすれば願いが叶うのか」って部分が検証されていないじゃん!で、電話やメールの実験ばかりで、結局、それも「届くはずのないメールが届いた」って、なんじゃ!って感じ。
でもSF警察的にはアウトでも、設定レスキューをするとこうなる。結局、二人は「願いを叶えたくてトンネルに入るのではない」ってこと。二人は「理不尽な今から逃げたい」からトンネルに入る。つまり、今の時間を早回しするトンネルだけに意味があり、願いなり、失ったものが手に入る設定は、どーでもいい、ってことです。
主人公は父親が後妻を連れてくることで、もう今の世界には自分の居場所はないと絶望している。ヒロインは漫画を認めてもらえない今の世界に絶望していたが、自分を認めてくれる主人公に出会い、今の世界に生きようか迷っている。
で、この話のエグいのは、主人公をトンネルに「逝かせた」ヒロインは、追いかけることなく、今の世界に生きて漫画家として成功してしまう、って点。セリフでは「一緒に行きたかった」言いながら、後を追ってトンネルには入らなかった。
これって「心中もの」で考えると、片方だけ生き残るってことですよね。単行本を出版して燃え尽きたヒロインは、改めてその罪悪感に苛まれ、またあのトンネルに戻る。そこには入口で捨てられた主人公の携帯電話だけが残っていた、、、
というビターエンドで終わらせれば「設定厨」としては満足なのですが、さすがにこのプロットでは没ですな、あまりに凄惨な終わり方ですわな。
最後主人公がこの世界に戻ってくる動機が弱いですよね。元々は「1万年後に三人で戻ろう」って言っていたのだから、戻るなら妹も一緒に戻るべきですよね。で、シスコンとショタ(まあ、13歳下の高校生ですが)でハーレムエンドでいいじゃん!
でなければ、本当に「浦島太郎」エンドにするか。ジュース飲んだだけで帰ってくるから13年で済んだけど、ほんとは妹ともっとイチャイチャ過ごして、帰るはずですよね。なので、戻ってきた頃にはヒロインはお婆ちゃんに。で、乙姫様(妹)に持たされた箱を開けて、、、、めでたし、めでたし。
と、合理的なストーリーを考えれば考えるほど、ボツ、になりますな。きっと、原作はもうちょいマシなストーリーなんだろうと思います、読んでないけど。
綺麗な映画
スッと落ち着く、美術集
かけがえのない夏を謳歌しよう
ボーイミーツガールの名作がまた1本増えました。
エモーショナルなシーンの数々にどっぷり浸りました。
映像が素晴らしいので、良い音響で鑑賞できて本当に良かった。
最近ずるいくらいに良い歌を主題歌に据えてくるアニメが続いてますが(当社比)
オープニングの下校シーンからしてエモーショナル!
丁寧な街並みの描写に「これは良い映画だ!」と心の期待値が上がります。
そして、その期待は最後まで裏切られませんでした。
ぜひ良い音響で見ていただきたい!
エモーショナルな風景と言えば、私にとっては新海誠。
『ほしのこえ』で雨上がりのアスファルトの匂いを感じた衝撃が忘れられません。
その後の長編でお腹いっぱいだったので『君の名は』はスキップしようと思っていたのですが、映画仲間のザッキーくんが、とにかく音が良いので絶対に映画館で見てほしい!と激推しするので仕事帰りに寄りました。
彼を信じて良かった。
良い音響でのオープニングにテンション爆あがりでしたが、『君の名は』のオープニングが本編のキーポイントのダイジェスト版だとすると、本作のオープニングはどんどん風景に引き込まれていく…そこには人物も描かれているのですが、人物を取り巻く日常の世界観にスッと入り込めました。
この後の展開との対比が強調されます。
日常で走るシーンが何度も出てきますが、人物が走っている姿そのものは描かれません。
木の枝から見える月
木の枝から見える太陽!
走っている肩や息遣いから、どんなスピードでどんな思いで走っているのかが伝わります。
ぜひ良い音響で見ていただきたい!
そしてなんといっても声が良い!
鈴鹿央士くんも飯豊まりえちゃんも声の演技が素晴らしい。
微妙な心理が声で伝わってきます。
本当に役にピッタリの良い声で、ずっと二人の声を聴き続けていたくなりました。
とくにまりえちゃんのバシッと切り捨てる物言いに痺れる。
ぜひ良い音響で見ていただきたい。(←しつこくてすみません)
人生を季節にたとえるなら、青春時代は夏!
その後、秋を迎えて冬になる。
秋に囚われることなく夏を謳歌しよう。
追記
ガラケーってあんなに打つのが大変で、あんなにメッセージがブツ切れだったっけ?
スマホに慣れた今から見ると驚きですが、ほんの十数年前なんですよね。
二人に会える気がします。
#あの日の君に会いに行く
恋とジュブナイルSF
アニメーションとして出来はよかった。
『君の名は。』以降顕著な、リアル系の美麗背景に、アニメーションキャラクターという作画も、高い水準。
「いいから早くえっちしちゃえよ、お互い好きなくせに」というイライラ感のひっぱり具合は、正当なジュブナイル(笑)。
ヒロインが主人公の少年を好きになっていく過程を丁寧に描いているのは、かつて少年少女向けSF冒険ものや、ラブストーリーが好きだったおっさんな私には好感ポイント。
ただ、10〜20代にコレはゆっくりすぎて退屈では、と心配になった。
あと、ヒロインが観客に理解されにくいかもな、と。
「やりたいこと」をすでに見つけているために精神的には大人びていて強い態度を取る部分と、褒められたりしたらチョロく恋落ちする部分の幼すぎる表現によって、「性格分離しすぎてないか?」と観客側が戸惑いそうだな、と。
それと、どこかで読んだ(見た)ことのある要素がたくさん入りすぎとか、(たぶん初期作ゆえの未成熟さが出た)原作由来らしき点に不安はありましたが。
まぁ、いろんな意味で一途なヒロインに、どこまで共感できるか(または好きになれるか)次第かな。
ヒロインの声、飯豊まりえさんは上手かった。
繊細な表現に感動
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