劇場公開日 2022年9月9日

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「原作をベースにしつつも、映画として完成されたいい作品」夏へのトンネル、さよならの出口 スクラさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5原作をベースにしつつも、映画として完成されたいい作品

2022年10月14日
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幸せ

原作は小説、既に漫画化もされている『夏へのトンネル、さよならの出口』のアニメ映画。
漫画を読んだときは、あんまりストーリーに共感できなかったけど、今回の映画を観たら、主人公のとった行動の背景とか感情がアニメならではの映像と演出ですんなりと心に入ってきた。

余計なものをそぎ落として、83分という短い時間に物語が一番伝えたかったことを凝縮させていたから心に響いたんだと思う。
映画版だとちゃんと「さよならの出口」がタイトル回収されていて、他の媒体でこの作品を見ていない人にもしっかりと伝わってくる内容だった。

以下、少し下げてネタバレありで感想書いています。

漫画版だとコマ割りの描き方のせいか「さよならの出口」って部分があまり伝わってこなくて、なんかぱっとしない作品を読んだなと思ってたんだけど、映画版はここがしっかり描かれていた。
死んでしまった妹への未練・死なせてしまった後悔と「さよなら」して、
未来へと続く出口に主人公は向かったってのが伝わってきた。

作中では不思議な「ウラシマトンネル」は失ったものを取り戻せるトンネルと主人公たちは理解しているけど、失ったものではなく、「未練や心残りがあるもの」が出てくるトンネルなんじゃないかな。
ストーリー後半で主人公が自ら捨てた携帯電話が手元に戻ってきて、
「失くしたんじゃなくて、捨てたんだ!」って言うシーンがある。
捨てたとしても、未練が残っていたから、手元に現れたのかなと考察。

漫画版だと丁寧に書かれていた花城とクラスメートの話が無くなっていて、
クラスメートがただの嫌な子になってしまっていたのは、残念だったかな。
ここらへんは時間の都合上、しょうがないよね…。

スクラ