「この映画の主人公はだれか?」夏へのトンネル、さよならの出口 かっぱさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画の主人公はだれか?
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この映画、男子高校生の塔野カオルと、女子高校生花城あんずの二人の物語なのはわかる。では、どっちが主人公なのかという話。
塔野カオルは、最終的にはあのトンネルでつかみかけたものを置いて出てきちゃうので、最終的にトンネルでは、なにも得ていないのね。
一方、花城あんずも何も得ていないのだけど、彼女は最後に、欲しかったものを手に入れているのよ。
やりがいのある仕事、確固とした社会的地位。そして、支えてくれる男性。
花城あんずは、すべてを手に入れている。
あの物語では、クラスに溶け込めない、(本人の自覚はないにせよ)才能はある少女が、成功と理解ある彼君を手に入れる物語なのよ。
もし、これを男女反転した物語にしたと考えてみよう。
25歳になって、ある程度の社会的評価も得た大人の塔野の前に、17歳の姿の花城があらわれて、あなたが好きだと告白するわけですよ。
では、別の話をしよう。
仕事も財産も失った30歳のエンジニアの男が、紆余曲折の末、社会的地位も財産もとりもどす。その彼の前に、かつて11歳で自分を慕ってくれた少女が21歳の美しい女性としてあらわれて、あなたが好きだと告白するわけですよ。
さて、この30歳の男と、21歳で現れる美しい女性、どっちが主人公だと思います?
ということで、この「夏へのトンネル」は、クラスから浮いている女性が、自らの才能をもって、成功と自信と、そして25歳にして愛してくれる相手を手に入れる物語だとおもうのね。
どうかしら?
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