「さがし物はなんですか」夏へのトンネル、さよならの出口 ますぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
さがし物はなんですか
高校生の男女の青春ものとか
ターゲットじゃないんじゃないのと
思いましたが
本作の製作スタジオCLAPが
前に作った「映画大好きポンポさん」が
大変良かったのもあり観賞
でどうだったか
非常に良かった
今時長々した作品が多い中
90分ない尺でサックリ見やすかったし
その中でちゃんと勝負出来て
いたと思います
山奥にあるとあるトンネルに
入るとなんでも欲しいものが
手に入るけど100年を取る
「ウラシマトンネル」なるものがある
そんな噂がある田舎
そんな地域のやる気のない高校生
塔野カオルはある日土砂降りの
通学路の駅で封筒を大事そうに抱えた
少女花城あんずに出会い
傘を貸してあげるところから
交流が始まります
するとあんずは都会からの
転校生である事がわかりますが
誰ともなれ合おうとしません
そんなある日妹が亡くなって
以来酒浸りになった父に絡まれ
逃げ出すように家を飛び出すと
とある山奥の茂みにトンネルを発見
進んでいくと妹のサンダル
飼っていたインコなどと出会い
トンネルを引き返すと
数分いただけなのに1週間が
経過しており家や学校では
家出したことになっていました
その後トンネルに再び行ってみると
あんずも迷い込んでおり
(ここがちょっと唐突だったかな)
噂にあったウラシマトンネルであろう
という事で
妹を取り戻したいカオルと
欲しいものがあるあんずは
共同戦線を結び仲良くなります
どのくらい・どこから時間が
経過するのかとか
連絡は取り合えるのか
(やや年代が2005年あたりで
ガラケーとメールを使っている)
出口はあるのかとか二人で
様々な検証を行い
外から中へメールは送れないが
逆は(遅延するが)できることなどがわかります
3連休に108秒だけ行って帰ってくる
作戦を立て二人は実行します
すると二人の前に漫画の原稿が
飛んできてあんずが必死に
それをかき集めます
カオルもそれを手伝って
やや遅延してトンネルを出ますが
遅くなったのであんずの家に
泊めてもらうとそこで
あんずが漫画を描いている
事を初めて知ります
あんずは漫画家の祖父が
大好きだったが全く売れず
両親が忌み嫌った事で
自分も漫画家になりたいと
言ったとたんに書いていた漫画を
破られ田舎に追いやられて
しまったようです
つまりあんずが欲しかったのは
ちゃんと作品が世に残せる
ほどの「才能」だったのです
それは今でも漫画を描いている
ものの持ち込みに行く自信がない
事も理由だったのでした
カオルがその漫画を見せてもらうと
非常にいい出来であり
カオルはそこで彼女の才能を
確信します
ここでトンネルに入る目的が
過去に戻る事のカオルと
才能を欲する未来の事である
あんずの差がハッキリしますが
あんずはカオルの一途さや
やさしさに徐々に惹かれていきます
その後この世界を捨てて
いつ戻れるかわからない
トンネルの奥へ突き進む日を
妹の命日だった8月2日に定め
準備を進めますが
父に再婚相手を紹介されるなど
決意が混乱してしまいます
するとそこへあんずから
会いたいとメールが来ます
やり残したことがないようにと
あんずが雑誌社に漫画を持ち込んだら
才能を見込まれて担当が付いてしまった
事をカオルに打ち明けます
そしてトンネルに入る決行の日
あんずは決意してカオルを家へ
呼びに行くともう出ていったと
父から聞きます
あわててトンネルに向かうともう
カオルは入っていました
するとメールが入り
あんずが才能をもう持ち合わせていること
このトンネルが欲しいものではなく
なくしたものが見つかるところであること
だからあんずは入る必要がないこと
がつづられており
あんずは自分の気持ちが
伝えられなかった事で泣き崩れます
カオルは奥へ奥へと進んでいきもう
現世では何年も経っているであろう時に
ついに扉を見つけると幼少時代に戻り
妹がジュースを持って入ってきます
カブトムシを取るつもりで木から落ちて
死んでしまった妹がカブトムシを持って
現れたのです
するとその場に途中で捨てたはずの
あんずとのメールも消したガラケーが
現れそのメール欄を開けると
トンネルに入ってからのあんずが
漫画家として活躍していることを
あんずが事あるごとに一方的に
メールしていたのでした
それが見つかった「なくしたもの」
だったと気が付いたカオルは
妹に背中から励まされ
来た道を走って戻ります
返せなかった傘も錆びかけて
カオルを待ちながら
8年経ち漫画家としてスランプに
陥ってしまったあんずは
最初に出会った駅で思い出して
大泣きしますがそこでガラケーに
メール受信が入りそこには「大好きだ」
とだけ・・
とまあいい話じゃないですか
設定やプロットはとりわけ
新しいわけではありませんが
その上で過去にこだわるカオルと
未来に不安を覚えるあんずという
二人の関係性は面白かった
演出でも引き込んできて最後まで
見ごたえがありました
そんなに客は入ってなかったけど
もったいないです
おすすめしたいです