「共同戦線」夏へのトンネル、さよならの出口 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
共同戦線
大傑作「映画大好きポンポさん」を手がけたCLAPの最新作。期待値はかなり高めで、80分程度という短い時間なのも個人的にグッドで、朝イチで行きました。入場者プレゼントは小説でした。
期待しすぎたかなーとは思いましたが、ラインは超えてこなかったなぁという印象です。決して悪い作品ではないですし、この部分良いな〜というのは随所に見られたのですが、どこかモヤモヤっとしました。
良かった点
・CLAPの美麗なアニメーション
ポンポさんではカラフルで元気な感じが伝わるアニメーションでしたが、今作は打って変わって背景の美しさが際立つアニメーションになっていました。田舎町が舞台というのもあり、自然の美しさが全面的に押し出されていました。新海監督や細田守監督とはまた違う、どこかしっとりした感じの美しさがそこにはありました。キャラデザもオーソドックスですが、物語の軸を邪魔せず、それでいて覚えやすいデザインだったのも好印象です。あんずのキャラデザめちゃ好きです。
・短めのボーイミーツガール
尺の短さもありますが展開はとんとん拍子で進むので、2人が出会う→秘密を共有する→徐々に親交を深めていく→大きな計画を実行しようとする→1人が先走ってしまう→追いかける→待ち侘びる→2人が再開するという展開です。特段驚きは無いですが、こうやって恋に落ちていくんだろうな〜、青春って良いな〜と思いながら観るのに丁度良いバランスでした。設定が割と複雑なので、そこに色々と追いついていなかった感じはしましたが、そこは後述します。
微妙だった点
・設定と尺が噛み合っていない
ウラシマトンネルというある境界線を超えると高速で時間が経ってしまうという設定は面白く、文字で読む分には想像力が掻き立てられると思うのですが、その時間制限を攻略していく流れがかなり雑で、時間の流れのシビアさと尺があってないように思えました。設定だけで言えばワンアイデアで終わってしまい、複雑さに拍車をかけているように思えました。
・声優陣のモヤモヤ感
本職の声優陣は流石としか言いようがなく、前田佳織里さんや戸谷菊之助さんなどの主役を張れる方々がモブを演じているのもまた凄いですし、小山力也さんのクソ親父っぷりも最高でした。飯豊まりえさんはかなり良かったと思います。泣きのシーンだけ微妙でしたが、あんずのキャラには合っていましたし、最初の無感情な感じからの後半の起伏の激しい感じから幅広くて良かったです。鈴鹿央士さんは…本人がチラチラ見えていたのが惜しかったです。超絶下手って程ではないんですが、せめてもう少し上手い人を使って欲しかったなと思いました。ポンポさんではその素人っぽさがハマってはいましたが、心情をより強く描く今作にはその新鮮さはミスマッチのように思えました。
光る部分はありつつも、思ったほどではなかったというのが最終印象です。最後の捲っていったラストシーンもモヤモヤ〜としました。CLAPの新しい作品にまた期待します。
鑑賞日 9/9
鑑賞時間 9:00〜10:30
座席 H-8