生きる LIVINGのレビュー・感想・評価
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芯が変わらない見事なリメイク
わりとまんまリメイクに見えるくらい、芯の部分は変えず、英国での出来事に見事に翻案されていました。
公務員がルーティンワークに埋没し、縦割りと先送りと事なかれな官僚主義の中で「生ける屍(Mr.ゾンビ)」と言われた課長が、医師の余命宣告を受けて、自分の生き方・働き方を見つめ直す話。
黒澤明監督の『生きる』オリジナルでは、「ゴンドラの唄」を志村喬が歌っていました。
♪いのち短し 恋せよ乙女~♪
舞台が英国になった本作では、スコットランド民謡「ナナカマドの木」になっていました。
主人公の妻が、スコットランド人だったことを明らかにしていたので、おそらく妻との思い出を抱きつつ、死後に妻に再会したときに誇れるほどの仕事をやり遂げた満足感を表現してるのかなと。
また、オリジナルでは課長の葬式で、部下や関係者がまた課長の亡くなる寸前の行動や動機を疑って、責任逃れの言い訳を繰り返し、課長の手柄を自分たちのものにしていたのが、酔ううちに課長を褒めたたえ、その仕事のやり方や遺志を引き継ぐと誓ったものですが。
本作では、帰りの汽車の中で酔わずにさらっと結論に至るあたりが、英国紳士らしいというか。
その見苦しく長めの葬式のシーンが、比較して短い分、オリジナルより短くまとまっていたことはよかった。
オリジナルは日本人のダメな部分をえぐり、官僚主義の徹底した批判を籠める表現だったんだなと、再認識するのに役立ちました。
カズオ・イシグロの翻案も、ビル・ナイの演技も素晴らしく、本作はかなりの傑作だと言えるのですが、観たらオリジナルの方を観返したくなりました。
140分オーバーで、なかなかハードルが高いですけどね>オリジナル
映画は万国共通である
黒沢明監督の「生きる」は若い頃、名画座で拝見し、その後テレビでも鑑賞しました。何度か放映されていたテレビの黒沢監督作品特集でも、確か「七人の侍」と一位二位を争うほどの名作として取り上げられていたような記憶があります。ただ、現代劇である「生きる」が、海外でリメークされた事実には少し驚きを禁じ得ませんでした。
で、WIKIで調べたところ、海外でもオールタイムベスト100などに選ばれることもあるようで割と受け入れられているのだなぁということを今回初めて知り、なるほどと納得した次第です。最近は「男はつらいよ」がフランスで人気との記事も読んだりして、やはり人間の感情を描く映画は万国共通なのかなと思ったりします。
前置きが長くなりましたが、感想を要約すると、①黒沢作品の物語を忠実になぞっているが時間がかなり短縮化されコンパクトにまとまっている。②作品としては良い意味でも悪い意味でも別物である。③古き良き英国の英国紳士の美しさが、彩度を落とした美しい映像でよく再現されている。でしょうか。
②に関して言うと、例えば、志村喬の前半の少し情けない様子は、ビル・ナイにはありませんし、余命いくばくもない初老の志村喬が、ただでさえ大きな目を剥き出しにして、「生きる」とは一体何なのか?と娘に問い詰める迫力は、紳士としてのビル・ナイの魅力的な礼儀正しさに中和され、減殺されていました。最後旧弊を打破すると誓った同僚達がたどる道を描くシーンにおいては、黒沢作品にあったユーモアは、本作品では、ビル・ナイの英雄的行動を明確にする事実としてのみ機能しているように思えました。
しかしながら、本作には、③があります。そう。この作品は、どにかく美しい。
黒沢作品にあったぎらぎらした対照の妙は、古きよき紳士の国英国の気風の中で中和され、遙か昔の美しい記憶として昇華されているように思いました。
そして、表現や背景や文化は異なりますが、やはり核は同じものだと思います。それは多分「お金や地位や名誉など見返りを求めず、誰かの役に立つなにものかを創りだすこと」それが「生きる」ことの本質的な意味だという主張です。
世の中は新年度。スタートラインに立って見る作品としてはとても良い作品だと思いました。
思うに、現代的ではない価値観
先に前提的なことから。まず、私はオリジナルである黒澤監督の『生きる』は未見です。
次に今作を観ながら感じていたのは、前半は正直イラっとすることもあります。ただ、後半は目頭が熱くなる展開になっています。
ということで、トータルとしては決して低い評価をつける要素はありません。それはやはりビル・ナイの滋味深い味わいの演技が大きいことは言うまでもありません。彼の長いキャリアにおいて、今回のウィリアムズのような物静かなキャラクターもハマり役ですが、結構コメディ寄りのキャラクターを演じている印象も強かったりするし、時にゾンビ役やヴァンパイア役など悪ノリを真顔でやる素敵な英国人俳優の一人だと思います。
そして観賞し終わり、いつも帰り道はレビューを書くために映画を反芻しながら歩くのですが、今回は黒澤監督作品のリメイクということで「今、この作品がリメイクされる意味(意義)」を考えてみました。結果、正直この作品って若者には響かないばかりか、むしろ「年輩」と言われる年代以上に向けた懐古主義で、何なら自慰的とすら感じてしまうことも否めず、ちょっと複雑な思いを隠し切れません。敢えて言うならば、リメイクにあたってこれを現代に置き換えず1950年代にすることによって、作品への感動が成立するのだろうとすら思います。ただ、これは映画の作品性そのものを否定するわけでなく、むしろ(50代の)自分への戒めであることは理解ください。決して嫌いではないんです。でも、正直「キレイゴト」にも感じてしまって。
そもそも、この作品の推進力であり、自分が老い先短いことを知るウィリアムズを変えるのは「若者たち」です。
余命の生き方に迷い、反動的に自暴な言動に走りかけるウィリアムズを目覚めさせるマーガレットは、本当に眩しい存在です。清々しいほど物おじしない態度と、はつらつとしてチャーミングな彼女に「甘える」ウィリアムズ。オジサンである私も十分気持ちは解ります。が、正直、「打ち明け話」はやりすぎですし、それを聞かされた方の身になっていないことに、観ていてハラハラ、イライラします。
そしてまた、社会人になりたてでウィリアムズと僅か1日しか働いていないピーターの達観ぶりに、なんなら、そんなわけなかろうと思いつつ、結局、彼のこの作品における価値観は「こうあるべきという理想」としての存在などだろうと思います。
ウィリアムズが「最期」にかけた仕事は、そもそも彼ほどの経験と立場があれば元から出来たはずで、今どきの価値観ならむしろ、それまでやってこなかったことの方が罪深いと思われて当たり前です。彼が見て見ぬふりをした陳情は山ほど存在したはずで、最期に身を呈して行った事業一つを伝説のように扱うことに、いささか欺瞞を感じるてしまったり。。
いや、いい映画だと思いますよ。でも、私も若者に嫌われたくないし、彼ら目線で考えることもせざるを得ないので、ちょっと厳しめに書いてみました。悪しからず。。
素晴らしい!
先ず黒澤版「生きる」に対するリスペクトを感じた。
同じ時代設定にしたのも良かったし、しっかり英国流に
仕上げられていた。役所内での無責任なやり取り、息子夫婦との
血の通ってないやり取り、あと「ゴンドラの唄」の部分がどうなる?って
思っていたら、ちゃんと考えられていた。その歌、なかなか良かった。
ただ、すこし全体的に綺麗に流れすぎたかな。
本家黒澤版は胃癌の苦しさやオドロオドロしさがあったような気がして…。
人生の最期の輝き
第二次世界大戦後のイギリス、市役所の市民課に勤める方が主人公。
いかにも、というお堅い英国紳士が、ある日突然の余命宣告。
真面目な彼は、息子夫婦にも打ち明けられず、さらには無断欠勤。
気晴らしの方法もわからない彼は、元部下の女性と会い、
いろいろと話を重ね、自分の悩みを告白。
そして、仕事に戻り、これまで淡々とこなしていた仕事から一転、
市民の方の要望を受け止め、必死に動き、その結果・・・
といったストーリー。ありがちといえば、ありがちだが、
人は最期を悟るとこんなに積極的に動けるものなのか、
誰かのために必死に行動を起こせるものなのか、と感動。
最後のブランコは達成感と哀しみと半々かな。。
リメイク版らしいですが、素直に感動しました。
リメイク前の作品も見てみたいところです。
でも・・・先日観た、オットーのほうが笑いもあり、好きです笑
無の心。
黒澤明監督の「生きる」のイギリスリメイク作品。
え~私、黒澤明監督、もちろん名前は存じ上げていますが世代が違うのでこの方の作品全く観たことありません。
「生きる」を観たことある人は作品比較、否定出来ると思うんですが私この作品、作風もわからなくて・・・正直観ていてしんどかったのが率直な感想です。
作品否定はしません!ただ私との相性の問題。人物達のローテンション、しっとり寂しげなBGMがちょっとキツくて。
面白いとも、つまらないとも思えずまさに「無」で観てました。どのくらい無だったかというと座禅組んだら和尚に肩叩かれない位、無だったと思います!!
さらに例えるならボーっとテレビ観ていてヨダレ垂れてるのも気づかないでテレビ観てるくらい無でした。
何かお陰様で心が鍛えられた気分です!
まさにドラゴンボールZで例えるなら精神と時の部屋で1日過ごしたら、1年修行したのと同じって感じです!オッス!
どしゃ降り雨の中に虹を見た!
オスカーを2人取れるなら…
と思う程ビル・ナイの叙情的な演技が頭から離れません
オリジナルを観たのはかなり昔で記憶もおぼろげですが完璧に完成され上品な英国作品に仕上げられている様に頭が下がった
50年前のイギリスが見事に再現され
自身もあの街角で紅茶を飲んでいるかの様に物語に入り込んでいました
物語に寄り添う全ての音楽も素晴らしかった
オリジナルは「ゴンドラの唄」本作はスコットランド民謡と国は違えども国民心情に刺さる名曲だ
毎日同じルーティンで過ごす人の方が確実に多いのが現実である
人生の価値感や目標は人それぞれ違う
ヒーローやヒロインにならなくとも
賛美や賞賛を得る事なくとも
自身に寄り添ってくれた人達に「ふっ」と想い出してもらえたらきっと満更でもない人生だったのかも知れない
ましてや他人に「幸せそうに見えた」と思わせる終幕なんぞ滅多にある物では無い…
きっと彼はブランコの様に人生の漕ぎ方を上手に閉めたのだろう
時間は無くてもやれる事はある!
主人公の気付きは彼の残りわずかな人生を晴れの日にしたはずた!
そして彼に携わった若者たちの未来をそっと見守っているだろう
人は死ぬまで生きる…
大病を患った経験がある私は
常に健やかで穏やかで笑顔多き日々を大切に丁寧に過ごしている
そして、その時が来た時にもジタバタしない
そんな毎日を生きて行きたいと…
なので、尚更この作品に心励まされ出会えた事に感謝したい
主人公と同世代の観客の方が多い中
終演後は皆さん、マスクからのぞく瞳が穏やかでしたね
カズオ•イシグロさんの脚色は泣けるほど秀逸でした⭐️
きちんとリスペクト
11月末に特集上映でオリジナルを観たばかりだったので、見比べるにちょうど良かった。
設定を変えつつも、まさかのウサギ残しには少しびっくり。
30分くらい短くなっているから、役所内での狂気じみた許可取りシーンはさらっとスッキリ、またビル・ナイがシュッとした英国紳士だからか、弱々しくはあるものの、悲哀はあまり感じなかった。
実際にはイギリスの役所がどういう所かは分からないけど、たらい回しをそのまま使うなら、どこの国も変わらないのだろうな。最初の数分、駅のシーンだけで、退屈な職場なのは分かった。
お通夜の時の誰の手柄だとかという胸糞な官僚批判は抑えめにしたら、息子夫婦が悪目立ち。
ハリウッドにありがちな魔改造は無く、極力いじらず、アレンジというより現代の観客向けにアジャストした感じ。
全体的に黒澤明へのリスペクトを感じた。
ミス ハリスの存在が大きい
作中のキャラクター2人、主人公ウィリアムズとミス ハリスがとても対照的
ウィリアムズは、老いて痩せ細った体型、灰色の髪、気持ちを表に出さず悲観的に話す、貫禄ある紳士
ミス ハリスは、若く丸い体型、ブロンドの髪、前歯が少し出た赤い唇で楽観的に話す、可愛らしいお嬢さん
ウィリアムズは仕事をサボり、ミス ハリスを食事に誘って映画に行ったりして、生きる活力をもらうが、彼女がウイリアムズにつけたニックネームは「Mr.ゾンビ」
余命宣告を誰にも打ち明けられないが
このお嬢さんには、彼女だけには打ち明ける
正直、このシーンに来るまでは眠たい退屈な映画だった
「生きる」は、主人公が残りの人生をどう生きるかの物語ではなく
存命している人々が亡くなったウィリアムズについて語る物語
ミス ハリスに話してその後何を行い、どんな仕事をして亡くなったのか
さりげなくそういう映画になっている
Mr.ゾンビがたくさんいるはずの日本で生まれた不朽の名作「生きる」
同じ島国でマナーや格式を重んじるイギリスでリメイクされたこと
似ているようでとても対照的な「生きる」と「Living」
残りの人生を生きる、一つの参考映画になればと思う
「どう生きるのか」を穏やかに、軽妙に、真摯に問うて来る、英国だけに。
1953年、ロンドンの役所の市民課の新人ピーターは、職場の同僚の無気力な仕事ぶりを実感していた。子供の為に広場の排水の改善をと言う女性たちの切実な陳情の申請書類を、課長のウィリアムズは保留の棚に置いてしまう。そのウィリアムズはがんの宣告を受けて、死ぬ前に本当に「生きて」みようと試みる……
黒澤明監督の「生きる」は未見で、雰囲気はかなり違うのでしょうが、それでもイギリス映画だからその味わいを再現できるんだろうと思います。映像もおしゃれでした。
自分の人生を充実させられるのは自分自身であり、人生にどう向き合うかなのです。
偉大な業績ではなく、やがて忘れ去られるような小さなことでも、その気持ちは誰かに伝わります。ロウソクの光のような灯火をそっと守って次の人に引き継いでいくような映画です。
今のハリウッド映画には出来ないでしょう。
ちょっと気になったのは字幕で、ミス・ハリスが「課長さん」と呼びかけますが、職場の役職にさん付けはおかしいので、「ウィリアムズさん」の方が良かったです。
<4/25追記>
オリジナル版も観ました。ストーリーはほぼ同じですが、雰囲気はかなり違います。
大きな違いは、日本版では主人公が周りから軽んじられていたが、本作では一目置かれていた事ですが、舞台が変われば改変は当然と思いました。
あとは、辞める女性が、日本版では働くのはお金のため、毎日面白おかしく暮らせればいい、という女性。本作のミス・ハリスはやりがいのある仕事をしたいのに、なかなかうまく行かず悩ましい。だから主人公の気持ちに寄り添えたのかなと思います。
本作では警察官の告白も印象的でした。
小さな公園
オリジナルは観ていませんが、ちょうど何か観ようかと思ったところにジャストであったので鑑賞。爺さん婆さんに囲まれて観ました。
んー可もなく不可もなくって感じでした。人生経験がまだまだ浅い自分にとって、この物語の重みを感じることはできませんでした。
余命わずかな主人公が残された人生を楽しむために生きるというお話ですが、派手に大騒ぎというわけではなく、周りの人のために生きたり、自分の生きた証を少しでも残したいと行動したり、と多少(息子には多大)迷惑はかけていますが、その迷惑が観ている側としてはそこまでイライラするものでは無かったのが良かったです。映像もレトロな雰囲気が漂っていて好きですし、背景の装飾や、クレーンゲームの元祖的なものを観れたのはなかなか貴重じゃないかなと思いました。
ただ物語自体にそそられるものが無く、爺ちゃんの珍道中を100分ほど観たなという感じに終わりました。人生経験を重ねて、主人公に近い年齢くらいになってこの作品を観たら感想も変わるのかなとは思いましたが、現時点ではそこまででした。
鑑賞日 4/3
鑑賞時間 11:40〜13:35
座席 G-2
原作を尊重し、イギリス風味を加味して生きることの意味に真摯に迫っている
黒沢明監督作品『生きる』をイギリスでリメイクした作品。原作をほぼ忠実に再現している。普遍的なテーマである生きることの意味に真摯に迫った作品である。苦悩、彷徨しながら、生きることの喜びを知った主人公の姿に、自然に涙が溢れてくる秀作である。
本作の舞台は1953年のロンドン。主人公・市役所市民課課長のウィリアムズ(ビル・ナイ)は、所内でMrゾンビとあだ名され、生きる希望を見失って働いていた。ある日、彼は、医師からガンで余命半年と宣告される。元気なうちに人生を楽しもうと考えた彼は、無断欠勤して、海辺のリゾート地に行き、歓楽街で派手に遊んでみるが、心が満たされることはなかった。ロンドンに戻った彼は、転職した元部下マーガレットと再会する。彼女の快活さに触れ、彼は、生きる喜びを感じずに死ねないと考え、職場復帰し、ある行動を起こす・・・。
余命宣告が彼に命が有限であること気付かせる。今までの生き方を猛省させる。しかし、どうすれば、生きる喜びが得られるか、彼には分からない。色々やっても空回りするだけ。
そんな時、自分の居場所を求めて転職した元部下マーガレット(エイミー・ルー・ウッド)に出会い、彼女の生き方に彼は覚醒する。陳情があった遊び場の造成に心血を注ぐ。完成した遊び場でブランコに乗っている主人公の満ち足りた表情に生きることの喜びが溢れている。名優ビル・ナイの表情、歌唱が心に沁みる。
主人公の葬儀が終わり、職場の仲間達は、主人公の遺志を継ぐことを誓う。しかし、組織に戻った彼らは何も変わらず業務を続けていく。組織に染まっていない新入社員だけが唯一の希望であるという現実的な着地点で物語は終わる。
主人公は行動することで、人生の終わりに、生きる喜び、生き甲斐を感じることができた。
明確な目標を設定し、諦めずにがむしゃらに行動していく。目標達成の充実感が生きる喜びとなり、目標未達成の悔しさが糧となり、次の目標に挑んでいく。それが生きることの醍醐味だろう。
黒澤監督作を変にいじる事なく良作。
題名そのままの黒澤監督の生きるはなんとも切ない映画だった、と思う。ほぼ黒澤版に忠実でイギリス作らしくうまく作られてるなー、と。かつては、お役所仕事、なんて揶揄された言葉だったけれどまさにそうだった。そんな中、余命宣告を受けて仕事の中に生きがいを見つける幸せ。長い人生の中のほんのひとときだと思うけど終わりよければすべてよし、やっぱり雪の中のブランコシーンは美しすぎる。
イギリス版生きる
何年か前に日本版の「生きる」を
観ました。
本筋は同じだけど、LIVINGの方は
1950年代のイギリスの為、空気感が違いました。
ウィリアムズ課長もどこか気品や風格があり、イギリスの街並みは当時の雰囲気が出ており、良かった。
余命を宣告されてから公園整備の案件を
何としてもやり抜こうとする姿勢は日本版と
共通しています。
死ぬ前に何か1つでも世に残ることを、
人に知られないことでも最後に何かしたい、
という気持ちは多くの人が持つはず。
役所ではなく会社で働いていますが。
課長と同じように、年数が経つと新人の頃の前向きさや希望だったりは徐々に薄れていくのを感じます。
自分が携わっている仕事が小さなものでも、取るに足らないものでも誰かの為になっている。腐らず取り組むべきだと、改めて思わせてくれる作品でした。
行き詰まったときは、「あの公園」のように
過去に努力したことを思い出すようにしたい。
ハッピーバースデーtoミイラ
ハッピーバースデーtoミイラ
は、
ミイラはゾンビに変わり、
バースデーソングはなかった。
それ以外は、
旧作とほぼ同じ。
本作の方が、
現代の観客や、
日本人以外の人たちに、
向いている?
ハリスさんの奔放さの描写や、
歌は本作の方が現代の観客に馴染みやすいかもしれない。
旧作では登場人物が、
多い分、
設定、セリフ、行動、
それを切り取るアングル等、
微に入り細にわたって、
仕掛けが巧妙だったが、
やり過ぎ感も否めない。
胃がんを背負ったキリスト、
宣告された日から生き始めた。
というセリフも新作にはなかった。
実は説明セリフが多い黒澤明作品。
好みは分かれるかもしれない。
生きようとする死んでいた男ぶりのインパクトは弱いが、
紳士らしい行動の根拠は静かなプライド、
という解釈も可能にしてしまう演出は、
頭を下げて周るカルチャーとは違って英国人らしいテイストで、全体の印象はかなり違うように見えた。
【蛇足】
本作の、
公園造成の必要性→
英国淑女の皆さんと子供達に必要?→
切迫していない→
主人公の都合→
お伽話に近い。
旧作の、
公園造成の必要性→
菅井きん率いるおかあちゃん達→
今すぐ作って!→
切迫している!→
世の為人の為→
リアリズム。
説明セリフとは、
プロットを進行させる、
または、
物語を動かすセリフの事。
不要な状況説明を説明セリフと名付けるとシナリオ作成作業進行上めんどくさい。
観て良かったと思える映画
黒澤明版は観ていませんが、面白そうと思い観ました。
余命宣告から人生を見つめ直し単調な生活から不器用ながら変わろうとする所や最後だからこそ何かをやり遂げようとする所良かったです。
主人公の意志が死で終わりではなく新人の部下に継いで繋がっていく事が主人公が生きた事の証になるかなと思いました。
出てくる人達が皆良い人達で観ていて不快な思いもせずに映画に入り込めました。
余命宣告を息子さん以外には言えるのに最後まで息子さんに言えないのが人間味があり、息子さんを思うと伝えてあげた方良いのではとも感じるし本人の伝えない理由も分かる部分がありなんだかやるせ無い感じになります。
ウィリアムズを演じるビル・ナイさんが素晴らしい役者で、観ていてウィリアムズを好きになりました。
心に響く良い映画を観たなと思える映画でした。
優等生だが薄味な作品
原作未鑑賞ですが、作品単体として、とても惜しい感じがしました。
プロット・役者・美術などはかなり良く雰囲気もありましたが、優等生的にまとまっていて薄味に感じてしまいました。
もっと感動的で重厚な作品にできたと思います。
どこか端折っているのか、他に原因があるのか、もったいない作品でした。
ミスター・ゾンビ
春休みで館内ロビーが親子連れで賑わうなか、劇場内はまさに生きる!世代
時代設定を現代にしなかったのがGOOD!!
黒澤作品のリメイクが殆どビミョー⤵️な出来なのに対し今作は良かったんじゃないでしょうか⁉(黒澤というよりは小津っぽい)
主演のビル・ナイとミス・ハリス役の娘が素晴らしい
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