「オリジナルをきちんと消化してイギリス的に置き換えた」生きる LIVING かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
オリジナルをきちんと消化してイギリス的に置き換えた
昔見た黒澤明の「生きる」よりだいぶあっさりしてるけど、それなりに良い作品でした。
イギリス映画としてリメイクされたのが良かったと思う。
日本映画でやったらきっと、目も当てられないものになったと思う、椿三十郎の惨劇みたいな。
夜中に、雪の降る中を、なにやら歌いながら完成した公園のブランコを漕いでいるめっちゃ幸せそうなじいさん、という客観的には異様な光景を、巡査が目撃談を語る形で伝えて感動的になるのはオリジナルと一緒だけど、そこに至るまでがあっさりしているので感動もあっさりしていた。
主人公のキャラクターも含めて、オリジナルをきちんと消化してイギリス的に置き換えている。「ゴンドラの唄」を「ナナカマドの歌」にしたのも良い。
雪の中ブランコを揺らすシーンで、BGMがちょっとうるさく違和感があって、「ナナカマドの歌」の曲だけ流す、なら良かったのに、と思った。
オリジナルでは志村喬がとつとつと歌うけど、イギリス版のビル・ナイは歌がうまい。ミスター・ウィリアムズは音楽を嗜むような育ちなのが伺える。
…なんと、このシーンだけで彼らの育ちや人となりがわかるじゃないの!
改めてクロサワの「生きる」はすごい映画と再認識し、そしてイギリス版リメイクの質の高さを感じました。
Mさん
他のレビューにも、いくつも「共感した」をいただき、ありがとうございます!
リメイクは、オリジナルをなぞるのも一興かもですが、監督がオリジナルをきちんと消化し、独自の視点と解釈で置き換えたもののほうがより活きている映画になるんでは、と思いました。
確かに「生きる」より、あっさりしていますね。これは制作した国の違いもあるだろうけど、「今」という時代に作ったことも大きかったように思います。
「ゴンドラの唄」と「ナナカマドの木」に違いも大きかったですね。