すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価
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違和感と戦うための大きな希望
本作品は
①分かりやすさ(飲み込みやすさ):
前半が楽しいロードムービーで、後半は感動ストーリーという構成
②数々の深刻な違和感:
地震が防げる設定、ダイジンの扱い、共感が難しいすずめの動機付け、などなど
を同居させている。これは、私は監督の意図したものだと思う。つまり、この物語を映画館で体験した私たちは、その鑑賞後に「深刻な違和感」と戦わないといけない物語になっている。①で多くの人たちにリーチし、②という呪いを植え付ける。それも、どの違和感と戦わなければならないのか、については、ひとそれぞれの人生経験によって、戦うべき違和感が違っている。それが、考察動画の多さ、賛否両論の激しさ、否定派の否定度合いの強さに表れていると思う。でもこの「深刻な違和感」を多くの人の心にインストールできたこと自体が、この作品の凄さの本質だと思う。そしてもちろん我々は、本作品に呪われるだけではない。大きな希望も渡される。
あの震災に対して、私たちは「災害とはそういうものだと納得する感覚」と「強烈な違和感を感じ続け、納得しない感覚」の両方を抱え続けているのだと思う。後者の感覚は考えないようにしている場合も多いだろうけど、感覚自体が無い人なんて日本人の中にはいないのではないかと思う。でも震災に対する強烈な違和感に対して、「分かりやすい悪者」を作り出すような安易な方法ではなく、私たちの中でちゃんとした落としどころを付ける必要があるはずだ。「納得が一番困難であるはずの震災孤児」であるすずめだって、(私たちにも腹落ちする)ちゃんとした落としどころを見つけたのだから、私たちにできないはずはない。そういう「私たちそれぞれの、あの震災の戸締まり」ができるかもしれない、という可能性について大きな希望をくれる映画だったのかなと思いました。すくなくとも私は、そういう希望をもらいました。
前に進むその意思を詰めた映画
新海誠作品が好きなのですが。
前作は本田翼が世界を壊したので、今回はそう言う事がなく先ず安心しました。
だがヒットする作品では無い。
今作、ヒットする作品を作ってはいなさそう…
ストーリーは良かった。現世、常世、ミミズ、要石、廃墟。ジブリ風なイメージを再び取り入れた作品。現実的なリアルな映像とSF映像の混ざりに混ざり、どちらも存在する不思議な世界観となっている。椅子が飛ぶのはコメディーだよね。暗い物語だからコメディー要素も入れてるって事??新海さーん。どうしちゃったよ。
ソウタ役の人の声が聞いてて辛かった。初めは耐えられたが耳元で大音量で喋ってるみたいに圧が強く声から優しさとか無いから最後にかけてのソウタ君への感情移入は不可能でした。
ソウタ役の方がキャラクターに対してクールなのか熱血なのか女々しいのかイメージの纏まりが無く、つまるところ下手でした。
ですが声優初挑戦との事。これからもっと成長してほしいですね。
ソウタ君の家からスズメが出発する所のBGMの入りかた変なタイミングでかかり始める。
今作の特徴としては、最初からピークを持ってきて観客の心を飽きさせないのは良いんですが、緩いシーンなどでも忙しく描かれていたので一辺倒になりがちだなぁと。
RADの曲や映像美は素晴しいものの、今回は引き立て役でもメインでもなく。良くも悪くも心には響きませんでした。
観る人によって抱く感情はマチマチなのかもなぁ
ポッカリ生まれた空白の3時間弱、映画館が近くにある、丁度みられる作品は?お、あったぞ!そんな感じで観たこちらの作品。
まあ映像は流石新海誠さんのテイスト、美しいですねー!引き込まれます。
ただし、3.11が根底にあるこちらの作品は観ている人々の生い立ちや年齢、経験によりかなりバラツキが出るのではないかと感じました。
3.11をあまり経験していない世代や地域に暮らしていた方がみれば映像美と主なキャストのライトなテイストに、素直に「素敵な作品に巡り合えた!」と思うでしょうし、大きなショックや悲しい対円をした方にとっては命の重みとか人との繋がりがズシンときて、重く切ない思いが生まれるかもしれませんね。
かく言う私はなんだか命や魂のことを考えてしまい「川っぺりムコリッタ」や「護られなかった者たちへ」が頭に浮かんできてしまい、複雑な思いを抱えながらも、善き人たちの連続登場に感涙する、何とも言えず観終えた次第です。
それにしても、ダイジン、扱いが可哀そう。やっぱり人間様が一番偉いのかよ!なんて思っちゃったりもしてしまいました。
満足度は高いが、付きまとう違和感
鑑賞中の満足度はなかなかに高かったです。いつもながら映像が素晴らしい。特に「田舎の夜道を車で運転する」際の暗さの演出がリアルで、今回ロードムービー風に作るにあたって、「単に綺麗なだけじゃない風景描写」に力を入れてきたな~って思いました。「常世」と呼ばれる草原の風景は新海作品ではお馴染みの場所で、過去作を通じて何度か登場しています。監督の心象風景を象徴する世界で、届かない過去への憧憬や喪失感と言ったものを伺わせる美術でしたね。ちょっと「CLANNAD」(Key・ビジュアルアーツ/2007)の幻想世界っぽさもあり、これも素敵でした。
映像に圧倒され、最後まで飽きる事なく見れてしまう本作ですが、一方でこれまでの新海作品の中では一番、登場人物に感情移入し辛かった印象が残ります。鈴芽は「戸締り」をするために日本列島を横断していく訳ですが、地域ごとに「戸締り」してはまた次のエリアへとさくさく進むので、映画というよりはゲーム的だなと思いました。その過程で鈴芽自身の内面描写がほとんどないため、どういった衝動がこの子を突き動かしているのかが、いまいち分かりづらい。監督の過去作では、その衝動の中心には恋愛感情があったと思うのですが、本作では鈴芽と草太がお互いが惹かれ合う理由・描写に乏しい(ほぼ椅子だし)。理由もなく恋に落ちるならば、もっと草太さんを色気のある男性に描かないと駄目かもです。神木君が演じた芹澤の方がよほど血肉が通っていてキャラが立っていたかと。大臣と呼ばれる猫の事で指摘する人が多いのは、そこだけが痛みや苦み、消化しきれない何かを観客の心に残すからではないでしょうか。鈴芽や草太の内面描写が薄いぶん、余計にそれが目立つのでしょう。もっとも、余韻を残す事だけが映画の使命ではないので、エンタメとしてはよくできているし、全体の評価は悪くないです。
描きたい恋愛の形があって、そこからストーリーを考えていた新海映画は、徐々に全体の枠組みを最初にきめて、その中で動かしやすいキャラクターをはめ込んでいく手法に変わってきた印象があります。メジャー監督としてそれは正しい選択なのかも知れませんが、少し寂しくはあります。もっとも、胸を刺すような純度の高い童貞マインドは作家性の塊であるがゆえに、想像の余地がなく押し付けがましいと言った一面もあるでしょう。その意味で、描写の薄い鈴芽たちの内面を自分の中で補完していく楽しみが残されているというのは、逆に本作の長所だと言えるかも知れません。
新海さんの映画脚本には、常にぽっかりと大きな穴が開いていると思うのですが、その穴はとても甘美で、覗いた者に自分が見たい世界を見せるための鏡になっています。そこに何かを見たと感じた人は高く評価し、何もないと感じた人には厳しく評価される・・極端に好き嫌いが分かれるのが、新海誠批評の常態であるように思います。その意味で私の感想も含め、人の評価はアテにはなりません。ぜひご自身で体感してください。一見の価値は間違いなくありますよ。(12/2 加筆修正)
詰めの甘さもあるけど、全体としては良作
「君の名は」が大好きだった私。
「天気の子」は、ちょっと期待していたものと違いました。
そして、今回。
「すずめの戸締まり」は、けっこう楽しめました。
「天気の子」は、大ヒットした前作の成功体験に縛られていた気がするのです。
そういう意味では、「君の名は」監督の次回作に私が求めていたのは、今作のような方向性だったのかも知れません。
ただ… 映画館ジャックと揶揄されるほどの上映体制を敷いている割には、ライトな仕上がりという印象かな。
また、世界観やキャラ設定が確立しきっていない感じも否めない。
「え?なんで?」とか「そういうキャラなんだとしたら、あの行動はおかしくない?」というハテナが残りました。
とはいえ、全体としては楽しみましたし、私の理解が追いついていないだけなのかも知れません。
もう1回観たら、感想が変わるかも。
あとは、震災の取り扱いについて。
いろいろ指摘されているのは小耳に挟んでいたので、
どうかなとは思っていたんですけど…
特段、ショッキングなシーンがあるとかではないんですね。
でも、幼い日のすずめが母親を探すシーンは、地味に被災者の心を抉るのではないかとは思いました。
私のように、関東で被災して「東北の惨状は報道で見ただけ」の人間でも、感情を乱暴に揺さぶられた感覚がありました。
これについては、監督の責任を追及すべきとは思いませんけどね。シーンとしては普通のものだし、ストーリーに必要なものですから。他にやりようがないと思う。
現実の震災が悲惨すぎたが故に、必要以上に聴衆を揺さぶっているだけかと思います。
これは今年一番の良作。
まさかあそこでそうたが死ぬなんて…
本当は生きてすずめと幸せになって欲しかったんですが、これもすずめが辛いことを乗り越え、人間として成長する糧になったと考えて受け入れようと思います。
"日常"の大切さを感じれた作品
"日常"
人々が生活する上で大切なこと。そんなものを体感させられた映画でした。
◯君の名は、天気の子、すずめの戸締まり どれが良いか?
気になるかと思いますが自分はすずめの戸締まりは今までで一番良かった作品だと感じた。一方で物語の深さを感じるのは天気の子。誰でも分かりやすく親しみやすいのは君の名は。と感じました。それぞれの良さがある。
◯美術面
さすがは新海誠の映画。本当に綺麗な作画でした。声優さんもキャラクターと相性がバッチリでした。
◯内容面
前回作よりもより物語に矛盾性がなく一貫したメッセージが伝わってきた。物語の構成も素晴らしく主人公の心情がよく伝わり感情移入できる作品であった。
人よっては強引すぎる物語と評価する方もいますが全国を回り地域の人たちに助けられながら扉を締める旅は素敵ではないか。深く物語に対してツッコミを入れずにただ身を寄せてみると良い。
地震という映画では少し扱いにくいものではあると思うがすずめの戸締まりでは災害の悲惨さを伝えるわけでは全くなく、もっと自分たちに身近にある大切なことを見た人に伝えてくれた。
◯総合評価
前回作、天気の子では少しだけ酷評をさせて頂きました。しかし今回の作品は今年で見た映画の中で1番感動しました。出てくる登場人物の想いや考え。考えるだけ心にくるものがありました。また物語の構成がとても良かった。
映画を見た人に新海誠は何を伝えたいか。過去の新海誠の作品の中でも身近なものである日常。そして扉。人間が誰かに いってらっしゃい。 この言葉を告げる。当たり前の風景は大切であることを忘れてしまう。その当たり前を思い出させてくれる映画だと感じました。
鑑賞するか悩んでいる人はぜひ見て欲しい。震災を扱う部分もありますがそこを監督は伝えたいわけではない。もっと深くそして強くメッセージを出してます。明日を生きるための新しい自分が見つかるかもしれません。
設定の甘いストーリーを一般視聴者が好きそうなネタで目一杯脚色した絵の綺麗なアニメ映画。
設定の甘いストーリーを一般視聴者が好きそうなネタで目一杯脚色した絵の綺麗なアニメ映画。
地震をネタに使っているので、地震にトラウマがある方、緊急地震速報の音が嫌いな人には厳しい映画だと思います。
映像と音楽は素晴らしいです。スタッフやクリエイター、声優さんは素晴らしい仕事をしていると感じました。新海誠さんのファンの方は楽しく見られる映画だと思います。以下ファンの方はお読みになりませんよう、ご注意ください。
ほとんどの映画は作った人の一生懸命さや純粋なコンセプトを感じて演技や描写の甘さがあっても「良い映画!」と思うタイプですが、この映画は久しぶりに大きな違和感を感じながら映画館を後にしました。
資料なども読んで、違和感の中身を分解して考えました。
結果、東日本大震災や災害をネタとして扱っており、さらにはハッピーエンドに持ち込んでいることに違和感があるのだと思います。実際の災害はこんなに甘い、魔法のようなものではなく、当事者の方の中では一生解決しないものだと思います。が、本作では無理やり謎の主人公との恋愛ハッピーエンドストーリーで解決されてしまいます。とにかく地震や災害の描写や扱いが軽く、視聴者が感動できそうな「ネタ」として災害が扱われていることに大きな違和感を覚えたのだと思います。無理やりハッピーエンドにされている映画。ハッピーエンドにしないと怒られてしまうのか、ハッピーエンドにしないと売れないのか。
そもそもリアルの災害と結びつける必要が全くなく、日本古来の神様の怒りを全国を回って封じていくファンタジーで十分だったのではと思いました。軽々しく実際の災害を持ってきて感動を呼ぼうとしていることに嫌悪感があります。例えばジブリ映画ではメッセージを上手にファンタジーで包んで、大人になってからメッセージに気づく、そうかもしれないと気づくストーリーの深さがありますが、本作は全部丸見えです。
さらに、詰め込みすぎで結局何が言いたいのかよくわからない。もしかしたらメッセージ性はなくて、ただ好きそうなものと感動しそうなものを並べた映画なのでは?とさえ思ってしまいます。災害か、ラブストーリーか、家族愛か。どれかひとつで良かったのでは。結局全部扱いが軽いので、感情移入できませんでした。冒頭30分くらいで意識が現実に戻ってきてしまいました。
猫好きとしては、猫の扱いも軽くて違和感があります。この人猫好きじゃないな、という感じがしました。猫の必要性も無い。神様を宿す、描写するならまだ狐の方が向いているのでは?猫はウケるから描きましたよね?という感じがしました。せめてもう少し猫っぽくしてほしかった。
女子高生、制服、普通と違う家族、イケメン、猫、廃墟、旅、神様、神話、声優、主題歌。狙った感がスケスケです。透けないようにしてほしかった。さらに地震ネタで無理やり感動させようとしてくる感じ。すべて設定が甘くて背景が薄い。この人の映画はもう自分からは見ることはないと思いました。
とはいうものの、これだけ一大プロモーションをかけられたらこんなレビューを実際に口にできることは無いと思います、村八分か老害になるでしょう。最近の漫画も同じ傾向を感じます。流行りそうなものをネタにストーリーを後付け。こうしてどんどん薄いものが好きな世の中になっていくのかもしれません。二倍速で見るのは必然なのかもしれませんね。
素晴らしかったです。
運命の赤い糸トリロジー最終作…と、言いたい。
新海誠の最高傑作という触れ込みは偽りではなかった。
『君の名は。』は男の子と女の子の両方の視点、『天気の子』は男の子の視点、本作は女の子の視点で描かれている。
過去2作は中盤からスペクタクルへと変調したが、本作はのっけからスペクタクルが展開し、度肝を抜かれる。
イケメン青年と偶然出会った女子高生が、恋心を徐々に膨らませながら、退っ引きならない事態に巻き込まれていく。
最初、イケメン青年は石川五右ェ門に似ているようにも見え、「またつまらぬものを斬ったか…」とでも言うのかと思いきや、「近くに廃墟はないか…」と女子高生に尋ねるのだった。
彼女が巻き込まれた旅はいつしか自分探しへと転換していき、過去と現在、夢と現を交錯させながら忘れていた自分の過去に出会うと共に、人類を救うという…とてつもない物語。
親代わりの叔母との関係も見つめ直し、遂に主人公は幼い頃の自分自身に熱いメッセージを伝えるに至る。
これにアニメーションならではの壮大なアクションが加わるのだ。
こんな物語をどうしたら産み出せるのだろうか。
新海誠は神事・神話への関心が強いようだが、本作は明確に「神」と呼ぶものが現れる。この神は絶対神ではなく、八百万(ヤオヨロズ)の神的なものだった。
「ミミズ」と呼ばれる震災のメタファーには『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』の影響を感じずにはいられない。
この「ミミズ」を封じ込めている「要石」のダイジンは猫の姿を借りて人間界を走り回る。ダイジンに三本脚の椅子に姿を変えられた「閉じ師」の草太(ソウタ)が猫を追う。それを更に追いかけるのが主人公の鈴芽(スズメ)なのだが、「ミミズ」は人には見えないのに猫や椅子は人にも見えるところが面白い。
猫はともかく、走る三本脚の椅子を人が目撃するということは、超自然現象を人が認知することになる。
ならば、鈴芽と椅子(草太)の人類救済の戦いも人々は認知することになるのだろうか。
否、かろうじて、鈴芽の叔母・環と草太の友人・芹澤が扉や大きな黒猫サダイジンを目撃するだけだ。
結局、人々は何も知らぬまま平穏な日々を送り続けるのだった。
女子高生と椅子が猫を追う不思議な追跡劇は、宮崎から愛媛、神戸、東京へと展開し、遂には東北を目指す。ロードムービーらしく各地で出会いがあって、笑わせたりほのぼのとさせるサイドストーリーは卒がない。
そして、壮絶なまでの神の領域の戦いに突入していく展開は淀みがない。
鈴芽は記憶の闇を清算することができたのか、環との絆は深まったのか、草太との間に将来はあるのか、、、、
新海誠の映画は後日譚で再会が描かれる。
不可思議な出来事から始まって、大スペクタクルが展開し、大団円を向かえてのち、若者の未来への希望が垣間見えてジ・エンド。
今の日本映画界において、これほどに映画らしい映画を見せてくれる監督が居るだろうか。
『君の名は。』から本作までを「運命の赤い糸サーガ」と見れば、本作は正に集大成的な存在感をもってひとまず終局したと言えるだろう。
さてさて、天才は次にどんな物語で若者にエールを送ってくれるのだろうか。はたまた、若者ではなく親世代か壮年世代へのメッセージを展開してくれるかもしれない。何にしろ、次回作への期待は増すばかりだ。
最大公約数的に良く出来ている
いやいやよくできてると思いますよ。
まず映像効果。光の表現が素晴らしい。そして実写を模したレンズのボケ効果。冒頭数分でこれらを遺憾なく活かした出会いのシークエンスからのタイトル。まずは百点。
まだ震災モチーフなの?とか展開に無理がある、とか言いたくなるのは分かるけど、それこそが新海誠の作家性ってもんでしょう。
「この世界と引き換えにしてもあの人に会いたいんだ!」という前作から、成長してるのか小さくなってるのかは分からないですが、物語的に最大公約数的な解をうまく提示して見せたことは確かかなと…
むしろ細田守作品との類似性と相違点に何を見出すか、かなと思います…(実世界を旅していくあたりとか)
ただねぇ…染谷将太と神木隆之介はどうだろうか…キャラにあってなくない…?主役の二人、特に原菜乃華はめっちゃ良かったのに…
これから起こること
本作は地震に焦点を当て描いていました。
個人の考えですが、
劇中に登場する「ミミズ」というのは過去の災害によって被害を受けた人の負の思いというのが中心になって構成されていると思います。
その考えを念頭に置いた上で読んでいただけると幸いです。
東日本大震災という多くの被災者が生まれ、数多の遺恨が残ってしまった災害はこの「ミミズ」の力を助長させ、いつかこの世に再び災害を引き起こしてしまうと思います。
南海トラフ地震と言えば多くの人が聞き覚えがあると思います。
もし、この災害が起こり、たくさんの被災者が生まれてしまった時、この映画は大きな支えになると思います。
人との死別を乗り越えることは大変な事であり、
容易に克服することはできません。
しかし、本編中にあったように「いつか必ず朝は来る」
その時は暗闇に思えても、いつか光が指す。
その事を認識させてくれる良い映画だったなと思います。
本筋より芹澤
映画館にて鑑賞しました。
新海誠監督の作品を全て見てきたわけではないですが、自分が見た監督作品の中では一番「アニメ」しているな、と感じました。
自分の中は新海監督にはリアル路線が多いイメージを持っていますが、主人公が閉じ師の手伝いをする経緯などは、悪い意味でアニメだなぁ、と思いました。逆にミミズが地震を引き起こすという設定はいい意味でアニメだな、と感じました。要石だった猫のダイジンの行動原理は自分としてはよく分からなかったです。
新海監督は生活感やその空気を描くのが上手なんだな、と思いました。スマホアプリがストーリーの中で何回も出てくる場面などは、生活が映像の中に落とし込まれているように感じ、こういった監督のセンスは好きだなぁ、と思います。
正直、本筋のストーリー部分よりも、移動している時間のシーンの方が楽しく見れました。この作品の中で芹澤が一番好きなキャラクターですね笑。
また、なぜか不思議とスタジオジブリ感を感じる瞬間がありました。(自分的にはすずめと環が自転車で走るシーンや、ルミさんの車に乗っているシーン。)
新海監督には、一度喜劇的な作品やコメディ作品を作ってみてほしいな、と思いました。
設定は素晴らしかったですが・・・心が・・・
過去と現実と未来に向き合う勇気。
個人的には新海監督の作品で一番良かったです。
感想を言葉にするのはとても難しい。
デリケートなテーマなので人それぞれ様々な気持ちが込み上げてくると思います。
過去と現実と未来、愛や苦しみや感謝に向き合い、前に進んでいく勇気を伝えてくれる内容だった。
ダイジンがすずめに「ありがとう」と言われた時のあのダイジンの表情にものすごく胸を打たれました。
「ありがとう」の一言がどれだけの幸福をもたらすものなのか、、、あの一瞬のシーンがもしかしたら一番響いたかもしれません。
相変わらずの映像美には瞬きも惜しいほどです。
冒頭のタイトルが入るシーンは鳥肌。
ラストのRADWIMPSの曲は作品の全ての意味を包み込み、優しくあたたかく背中をそっと撫でるように仕上げてくれます。
帰りの車でRADWIMPSの曲の歌詞を読んでいたら、改めて泣けました。
今年最後に出会った今年最高の曲です。
もう一度ちゃんとしっかり観ようと思う。
次は絶対IMAXで鑑賞したい。
ナンセンスな設定。リアリティに難点。でも一部感動した!
リアリティの点で難点がいくつもある。
まず、すずめとソウタの出会いに関して...
すれ違い様に、イケメンであるソウタにすずめが心惹かれ、その後、道を尋ねられたことをきっかけに、学校をサボり、ソウタの後を追いかけるという筋立てがなんとも動機の薄い、本来であれば成り立たない設定であるように思える。
すずめは、椅子に変えられたソウタと旅をすることになるが、女子高生がひとりで旅をしていれば、補導員か警察に補導され、すぐに家に帰させられるだろう。
特に知り合ったオバさんは、すずめを飲み屋で働かせるが、未成年である高校生を働かせるという設定に違和感を禁じ得ない。
家出さながらに飛び出した女子高生を働かせていたら、誘拐の嫌疑もかけられるリスクを負うので、警察に引き渡す筈である。
ソウタに関しても...
大学生兼術師(作中にはソウタが家業としている地震を防ぐ職業の名前が出てきたが忘れたので"術師"とする)という設定がしっくりこない。
ソウタはあくまで教師を志す二十代前半の大学生であり、その若造が暗に数十万人の命を救うことになる術師の仕事を兼業しているという。
ナンセンスに思えるのは私だけだろうか。
その他、リアリティに関して以外にもツッコミどころは多々ある。
「母親を震災で亡くし傷を負い、その傷を封印した」というすずめのバックグラウンドが前半かそこらで仄めかされないので、クライマックスのところで突拍子もなく、その事実が出現し面食らった。
(しかし、場面の高揚感に負けて泣いた)
確かに、冒頭で、それらしきシーンが流れたが、冒頭であの映像だけ流されても、なんのことか分からない。
一応は全体を通して、主人公のすずめの成長物語ということは描かれており、成功しているように思えたが、どうも上述した通り、シナリオに粗があり過ぎて、手放しのまま楽しむには至れなかった。
ところどころ退屈でもあった。
駄作とは思わないが、良作とも思えなかった。
普通の作品。
新海誠が投影されすぎなのでは
残念ながら本作は合いませんでした。
映像と音楽は相変わらず素晴らしいと思います。
声優陣も頑張っていました。主役二人は不慣れな仕事をうまくこなせていたと思います。
深津絵里と松本白鴎はさすがの存在感で彼らの芝居を見るためにこの作品を見る価値はあります。
問題は脚本です。
1.主人公の動機付けに違和感あり
どう考えても、草太がイケメンであるからという以外に主人公が物語に巻き込まれる動機が見当たりません。
イケメンでなければわざわざ廃墟に探しに行ったり、東京まで着いて行ったりしないですよね。
主人公の動機の薄っぺらさが作品全体を構造的に薄っぺらくしています。
2.ダイジンの行動原理が不可解
神様でありながら任務を放棄して他人に押し付け、椅子にするという呪いをかける嫌なやつ。
そうかと思えば扉を開けて回っていると見せかけて実は扉の位置を案内しているいいやつだったり。
挙句の果てには結局は元の任務に戻ったりと行動原理が最後まで不明です。
神様は気まぐれという説明で終わらせて良いのでしょうか。
3.謎の懐メロ大会
劇中至る所で懐メロが流れます。それもある特定時期の。物語の構造に不可欠な要素になっているとは思えないのですが。
結局のところ・・・全部新海誠なのだなと思います。
イケメン草太はもちろん新海誠です。
一見誤解されるけど実はいいやつなダイジンは新海誠です。
かっこいいスポーツカーで美人高校生とドライブするおしゃれな芹澤は新海誠です。だから新海誠にとっての懐メロを聞くのです。
全部、新海誠のこうありたいという願望が投影された映画です。
そう思うと、見ていられない感じです。
主人公の成長があったのかどうかよくわかりませんでした。むしろ、環の方が成長していました。映画としてそれはどうなのか。
評価できる部分もあります。
①打倒ジブリの意気込み
ドライブシーンで大音量でルージュの伝言を流したのは宮崎駿に一発かましたかったのだろうと思います。その勇気は評価します。
常世で過去の自分に合うのシーンがそのままハウルの動く城ですが、本家を超えてはいないかな。いきなり服装が変わることに意識が行ってしまいました。
②地震の擬人化
ミミズという擬人化は良かったと思います。
ミミズが扉から這い出て、これが倒れることで地震が起こるという映像を見せたかったのだろうなと思いました。
不気味さがよく出ていたと思います。
映像美や音楽、声優陣の頑張りを評価して星3つとします。
脚本はなんとかならなかったのか・・・
安定の面白さ。
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