すずめの戸締まりのレビュー・感想・評価
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すずめの恋心
最近の(世界的な評価によってインバウンドにも貢献するようになった程の) 日本のアニメ業界を 映画で牽引する細田守氏と この新海誠氏。
赤塚不二夫や手塚治虫そして藤子不二雄あたりのアニメイメージで育った者としては甚だ恥ずかしくもこの二人がごっちゃになってた頃があった。
彼らの作品が数重なるようになった今
ありがたい事に彼らそれぞれの個性が顕著になり
私のような者でも それが見分けられるようになってきた。(やっとですが)
村上春樹氏の かえるくん〜は私の大好きな短編小説で、
ストーリーの土台がそれであるという前知識はあったので、この事については「もう知ってます」といったスタンスで見られたのは良かった事だった。
実は この美しくも壮大なアニメ画ではあるが
このたび乗ったJALの機内で見た。
最近の飛行機の液晶画面は大ぶりなiPadくらいの大きさがあって画像も鮮明で 10年くらい昔の「ストーリーはわかるけど」程度の物とは大違いではあるのだけれど この丁寧なアニメーションは映画館で見たい 見なくては という気持ちにはさせられた。
東日本大震災は、私にとって 非常に恐怖を実感する災害であった。
知人友人身内の誰も犠牲者はいない私でも あの日 あの年の不自由さと またいつ起こるとも知れない恐怖に慄く日々の記憶は体に染み込んでいる。
でも随分 薄れたかもなあ。
ソウタさんが 唱えるのが神教の祝詞(のりと)であるところから この話の根底にある 日本列島の在り方 みたいな事へのこだわりも見えて 地震大国日本への ある意味リスペクト(?という言い方は変だとしても) そういう意気込みも感じる程の重みはあった。
震災で母を亡くしたすずめと 姉を亡くしその子を育てる事で喪失を埋めてきたであろう若い叔母。
慈しみは朝食にも弁当にも溢れる程に
そして 高校生の女の子が居なくなったとした時に飛び出して東京まで来てしまう気持ちにも。
それらの決して軽くない気持ちを
心のどこかで申し訳なく そして重く感じていたすずめ。
叔母は もちろんしたくてしてるんだけれども でもあんたを引き取って 私は嫁にも行かず と 深層心理を吐露させてしまう場面では、そんな事言うのは私じゃないと我に返るとともに すずめが 「あなた誰」 と自分の叔母でない事を指摘する。
このあたりの 人の心の描き方に 新海誠氏のひととなり を垣間見る気がして心地よい。
そう言った何もかもを包み込み
それで敢えて このストーリーの主題は すずめが椅子に対する、あ いえ ソウタに対する 恋心なのだと
ラストシーンの始まり部分での叔母さんの言葉によって
気づくのである。
まあ、、、一つ言うなら
東北生まれの女性が大人になって移住した宮崎の方言を
喋る必要性は全くわからないと言うのは ありました。
新海映画の真髄をひしひしと、かつ、力強く感じ、個々の生涯を担い想う作品
レビューと感想です。
ストーリーもグラフィックも綺麗で非常に良くできた作品であると感じた。自分が鑑賞した時の心境にもよるが、とても共感深く感動した。草太が要石として人柱になるなか、クライマックスでその草太に代わり、前要石のダイジンが要石に戻るシーンにおいて、ストーリーとして草太が人に戻り、現世に帰還することに感動があるが、やはりダイジンが自分を犠牲にしてでも、またすずめのためにでも、要石としての役目を全うした点において、この映画最大の悲しみを涙とともに味わった。
かつては多くの人に祀られていたダイジンも、数100年の歴史の中で徐々に忘れ去られていき、そんな中声をかけてくれた、そして孤独から解放してくれた鈴芽に嫌われてしまったことはとてもショックであろう。しかし、そんな中、好きな鈴芽は好きな草太のために自分を犠牲にしてでも要石になろうと決意したことに影響を受け、ダイジンが本来の役職に戻ろうと決意したシーン、鈴芽の手で元に戻してほしいというセリフは、ダイジンの覚悟と、好きな鈴芽への甘えであると感じると、ダイジンの赤子ながらも孤独に耐え、役目をまっとうしてきた忘れ去られていた期間の心情を思うことができるのかもしれない。これからは新たな閉じ師たちの歴史と共に、要石も祀られ、人々の信仰とともに孤独から解放されてほしいと感じた。
また、なぜ宮崎から東京に向けて順々に後ろ戸が開いていくのかを考えてみると、東京の要石が抜け、また草太が要石でなくなったことも考えると、西と東の要石が抜けている状態でなければ要石を挿すことが、できないのではないかと感じた。このように考察の幅が広がる点やストーリーと描写の広大さという点において、また、大神など日本神話や古典文学などにインスパイアされている点、新海映画の真髄を感じることができる。
時代は場所と共に移り変わり、過去に繁栄したところは現在衰退し、現在繁栄しているところでも未来では衰退しているかもしれない。そんな繁栄と衰退を繰り返し時代が巡り、衰退により忘れられてしまう存在もある。この作品ではそこで後ろ戸が開いてしまい、人々の想いを込めて神様にお返しすることで、忘れられた存在として出なく、人々の心と共にあり続けることができている。私たちが生きる今は、そんな人々の心と共に、繁栄し、衰退を繰り返し、隣り合わせの死に対し、生として抗い続けているのだと感じた。今一刻でも生きながられたいと言う祝詞のように、愛するもののために、また、何かのためにでも、死の恐怖に抗い、生き続けることこそが、災いや時代の移り変わりに対して生き続けることであると感じる。
実際の東日本大震災当時、震災は昼間に起きたことから、多くの人が劇中のように「いってきます」、「いってらっしゃい」を最後に被災した。「ただいま」、「おかえり」を言うことが叶わなかった人たちがおり、移り行く時代、忘れられてしまった存在を描くこの作品において、震災から10年以上経過した現在、この作品のを「おかえり」、「ただいま」で締めくくることに、監督の、映画としての、忘れてはならない、時代の移り変わりのメッセージを強く感じられた。鈴芽の目に映し出された常世のように、被災された方々の記憶には痛々しく、また強々と残る震災ではあるが、実際に被災しなかった人たちの記憶からは忘れられてしまっている。そんな中、鈴芽という被災した主人公と、時代の移り変わりを作品で示し、時代の繁栄衰退と記憶のあり方を強く示していたと感じる。
また、ダイジンやサダイジンのように、陰陽のようにダイジンは行く先々で福をもたらし、サダイジンは暴露を行うことで、鈴芽と環さんの関係も良くなり、結果的に福をもたらすという、神様として、直接的な描写でなく、間接的に神様を示している。監督の専攻でもある国文学を、日本神話を用いて映画に融合させ、神様と、自然と、災いと、私たち人間が時代に適応し生き抗うメッセージを作品として、強く感じるものであった。加えて鈴芽が決意し、草太の家から御茶ノ水駅に向けて歩き向かうシーンのように、描写を斜めにして移すことで、坂道を登っていくような描き方をしており、このようなさりげない表現が多く作品に取り込まれており印象的であった。
新海映画の真髄をひしひしと、かつ、力強く感じ、個々の生涯を担い想う作品であった。
2023/5/19 TOHOシネマズ新宿にて(戸締り上映)
2023/9/26 TOHOシネマズ新宿にて(おかえり上映)
2023/9/28 109シネマズ二子玉川にて(おかえり上映)
2023/9/29 109シネマズ二子玉川にて(おかえり上映)
宿命の物語
鑑賞後、私は「宿命の物語」と云うワードが頭に浮かびました。
私はこの作品を見終えた時にダイジンを主人公に据えていた事に気が付く。
この作品は猫好きの新海誠監督による猫リスペクトの映画に思えた。
また今作は「魔女の宅急便」のオマージュが多々あるのも面白い。
以下、良かった点と悪かった点。
【良かった点】
〇圧倒的映像美
新海誠作品の代名詞ともなっている現実にはない光源を利用した圧倒的映像美は健在で本作も素晴らしかったです。
また毎度の事ながら日本文学の美しさを情景として表現する新海誠監督に脱帽です。
ふと空を見上げて青空を泳ぐ雲、切なさを覚える夕暮れ、涙を流したくなる星々輝く夜空...
誰しもが空や山が見せる幻想的な美しさに想いを馳せるはずです。
実写映画では現実では勝る物は無いと思いますが、アニメーションだとまた現実とは似て非なる情景となり、感動が増します。
この映像美にはカメラワークも含んでおり、すずめを軸にした背景の移動や反転が素晴らしかった。
如何にこの美しい世界を映像に出来るかと言う強い気概を覚えた。
〇飽きさせないテンポの切り替え
観客を飽きさせないスピーディーな場面の切り替えは評価したいです。
多少強引で合ってもテンポが良く、中弛みを感じさせない。
〇ロードムービー
多くの映画ファンなら好きであろうシチュエーション...それがロードムービー。
突然始まったすずめと草太の旅。
その過程でその土地で自分の日常を生きる人と出会い、別れを繰り返す。
王道ではありますが、人の温もりだったり、自身のルーツを知り精神的成長を果たす過程は見ていて気持ちが良かったです。
○登場人物
個人的に芹澤君が大好きでした。
物語の清涼剤として和みました。
○ダイジン
最初に書いた通り、ダイジンに感情移入して観賞していました。
宮城県には猫を神として祀る猫神社があると聞きます。
ダイジンは元は人間なのか、変わらず猫だったのか分かりませんが、ある日厄災を鎮める要石となる。
そこから何百年と孤独だった。
時を重ねて神と到りはしたが、始まりは平凡な存在だったはず。
ダイジンからしたら理不尽であり不条理だと思います。
だからこそ自分を要石と云う役割から解放してくれたすずめを好きになった。
だからこそすずめの戸締まりをサポートしてくれたのでしょう。
最後、すずめの為に再び要石になる選択をしたダイジン。
あのロードムービーにはダイジンも含まれており、ダイジンもまた自由な身となり現実を楽しんで旅を出来たのでしょう。
こう考えると本作はダイジンの宿命の物語に思えました。
日本を数百年に渡り厄災から守り、自分を救ってくれた一人の少女の為に奮闘したダイジンこそ本作の主人公でしょう。
〇メッセージ
本作は言うまでもないですが、根底に東日本大震災があります。
終盤、宮城にてあの日を生きていた人々の日常を垣間見るシーン...そこには多くの「いってらっしゃい」があり、多くの「お帰りなさい」が失われた。
だからこそラスト、すずめの「お帰りなさい」には様々な想いが凝縮されている。
あれから11年。
まだ11年か、もう11年か...それは人によって感覚は異なるでしょう。
すずめの戸締まりが描いた「いってらっしゃい」と「お帰りなさい」は御伽噺です。
しかし映画くらい救いがあってもいいじゃないかと思いたい。
○再会
初期の新海誠作品と言えば、再会が叶わなかった結末が多い。
しかし「言の葉の庭」から希望の持てる終わりが描かれて来た。
本作も2人の再会で幕を降ろす。
それに否定意見もあるかと思いますが、私は肯定。
上記に書いたようにこれは「いってらっしゃい」と「お帰りなさい」の物語。
どちらかが欠けてはいけない。
2人の再会はとても意味のあるものだ。
【悪かった点】
〇ベースとなる日本神話が分かりにくい
新海誠監督の独自の解釈もあるのでしょうが、ベースとなった神話・民俗学が分かりにくく、要石が何故二つあるのかだったり、ダイジン・サダイジンの行動原理に首を傾げる部分も。
厄災がミミズの形をしている理由や天岩戸伝説に基づく設定など知識のない観客を置いてけぼりにしてしまった。
○登場人物に感情移入し辛い
時間の関係上、詰め込み過ぎてすずめの心の変化に着いて行けない人も多くいるかと思います。
現地で出会った人々と打ち解ける過程が短すぎる。
「秒速5センチメートル」や「言の葉の庭」のような丁寧さを感じられなかった。
○ラストのパラドクス
すずめが幼少時代の自分に出会い、椅子を渡すシーンは唐突にも感じた。
○距離が...
新海誠監督と言えば軸となる2人の距離感を描く事に定評があります。
しかし前作「天気の子」と同じく、すずめと草太の距離感にもどかしさも絶望も感じられませんでした。
総評として私は大好きな映画です。
しかしこの作品は星5とまではいかない。
それなのに星5を付けました。
映画とは疑問を与えて、思考する機会を与えてくれます。
好きな映画と出会った時、何故好きなのか考える。
同時に嫌いな映画と出会った時、何故嫌いなのか考える。
映画とは例外なく総合芸術として私達に多くの知識、教養を与えてくれる...
本作は疑問に思うシーンも多々ありましたが、それも含めて多くの思考プロセスを頂きました。
それだけで私は星5に値する作品だと思います。
最後に...
見せたい演出を優先したように思えた為、納得出来ない場面もありました。
しかし繰り返しになりますが、私はこのすずめの戸締まりが大好きです。
「ほしのこえ」、「雲のむこう、約束の空」、「秒速5センチメートル」と云った初期作品が大好きな私のようなファン達から
大衆向けにシフトした「君の名は」以降から疑問を持つ人も多かったはず。
しかし「すずめの戸締まり」には、初期作品のような独創性はなくとも美しき日本文学の普遍性は、変わらずあり続けている。
この日本だからこそ作れた作品に感謝を。
気づいたら5回鑑賞
新海誠作品とのことで、観たかった別作品の映画の合間に軽い気持ちで見に行ってみたら大当たりでした。
世界観は安定の薄暗さがありつつも、シリアスな部分と明るい部分を使い分け、新海誠作品の雰囲気も残しながら、重めのストーリーが苦手な人も見られる良い塩梅に落ち着いていたと思います。
前々作は一般受けに振り切りすぎて元のファンは離れたし、前作は元の作風に寄りすぎたことで伸び悩んだ、と思うので今回は上手いなと思いました。
そして今回、環さんが本当に大好きです。
新海誠作品は好きですが、映像美や世界観が良い反面、今まではキャラに魅力を感じる事が少なかったです。
鑑賞後も友人に環さんの話ばかりするほど環さん沼です。
深津絵里さんの方言が自然で心地良い。
調べてみれば九州出身の方ではないと知り驚きました。
すずめと言い合いになるシーンでは、私自身の過去の嫌な事を思い出してグサグサ刺さったほどに演技が素晴らしいです。
しつこく電話する、すずめを心配して暴走する、長文LINEを送ってくる環さんに、うわ〜面倒くさい親あるあるだわ〜と正直うんざりしつつも、苦悩などもしっかり描かれていたので、可愛らしく魅力あるキャラになったのだと思います。
そう考えると心理面の描写が今回は強化されていたのかもしれません。
最終的には公開初期に2回、環さん特典期間、芹澤特典期間、ラストランで計5回鑑賞していました。
地震アラートが苦手な人を誘えないのが悲しいところでしたが、堂々と好きと言える、人に薦める事のできる作品です。
最初が退屈。映像美。
鑑賞者の解釈次第、かなあ。
前作「天気の子」よりはテンポよく話が進むので面白かった。というのが率直な感想です。「君の名は」と「天気の子」を昇華させたような作りで、個人的には「ひるね姫」への既視感も(勝手に)ありました。
ただ、鑑賞する人のリテラシー(教養と置き換えてもいいですが)次第でどうとでも取れるし、制作者側の意図とかけ離れた感想を抱いたりしちゃうんだろうな、それって映画作品としてどうなんだろうかな、とも感じました。観た人によって感想が違ってくるし、余計な詮索もしてしまうかなあと。また、これも解釈次第ですが、特定の愛国主義者からは相当な反発も食いそうだなあとも。これは考えすぎかな?
・冒頭の鈴芽の記憶?体験シーン?で大凡の流れと結論が読めました。大体、合ってました。なので、鈴芽が草太を一目惚れしたのには理由があるし、多分、そうだろうというのは想像通りでした。ただ、そのまま観たままでは一目惚れしただけで~というのはその通りですね。
・要石(ダイジン)に意思があったらそうなるよなあ。自分にはほぼ永久にそこに留まっていろ、と仕事振られたら全力で逃げる。でも、単純にそういうことで逃げ回っていたわけではなくてちゃんと意味があってのことだったんだということには後々で気付きました。でも、受け手のすずめはそうは思ってもなくて、最後まで意図は分からなかったのかもかなあ。コミュニケーション、説明責任って大事だね。
・岩戸で宮崎では分かる。でも、すずめが震災に会った場所には疑問が残るし、東京から向かう場合、そのルートは取らない。なぜなら、自分がそうだから。なのでラストにはとてつもない違和感があってモヤモヤもしました。ただ、鈴芽が震災に会った場所(遺構的な?)をみて見覚えがあったので想定はできた。(惜しかったw)
・前二作に比べて画力、映像の表現力は落ちた気がする。
・天気の子で感じた柵まくりは感じなかった。
・制作に瀬下寛之さんのクレジットで、妙になにか(笑)を納得してしまう。
予告ティザーで感じた「やっちまった感」はなんだったんだろうというくらいにいい方向に裏切られた思いですが、激賞するほどの作品とは言えないかなあ。
既にすずめロスが…
おかえりなさいを言えなかった人への鎮魂歌
宮崎の田舎町に住む高校生の鈴芽。
ある日登校中に「扉を探している」と言う青年と出会う。
気になって後を追いかけた鈴芽が山中で見たのは、人が住まなくなり全体が廃墟になった町。
そしてその中心には古びた扉が……
ひょんなことから青年草太とともに日本中を回ることになる鈴芽。
しかしそれは運命的な旅路であった。
自分がアニメーションが少し苦手な理由に非現実的すぎるファンタジー要素がある。
異世界転生だの魔王だの勇者だの魔法使いだの、あまりに唐突にそういう設定を入れられると全くついていけなくなる。
(まず前提として……自分はアニメには全く詳しくないし、実は『君の名は。』は諸事情により途中まで、『天気の子』も観れていない。ので、ズレていることを言っていたら申し訳ないが、アニメを知らない者の戯言として受け流してほしい。)
新海誠は限りなくリアルなファンタジーだ。
少なくとも最新の長編3本はそんな感じがする(観てないんだけど)。
よく評価されている映像美。
浮世離れした美しさではない。どこか見覚えのある日本の原風景、日本の美しい自然や都会的な街並みがベースにある。
田舎と都会、2つの日本の姿。
上京した者も田舎に残っている者も都会で生まれ育った者も。
誰にとっても入り込みやすい世界観の提供、それこそが何よりも広く大衆の心を掴むのだと思う。
そして今回のテーマは大きく言ってしまえば“地震”。
それも12年前のあの出来事をかなり直接的に扱っている。
20歳前後からそれ以上の日本人の多くがあの日をしっかりと覚えているだろう。
この地震列島に住む我々にとって、日々の暮らしと地震というものは切っても切り離せないものだ。
内容なだけに賛否ある部分が出るのも分かる。
ただ、自分は映画館で観れてよかったと思うし、アニメーション映画としてしっかりと面白いものを観れたという印象だ。
前半は鈴芽のロードムービー。
宮崎から愛媛、兵庫、そして東京。
ここまででも十分お話になるけれど、これは序章に過ぎない。
この不思議な旅は人の優しさに触れる旅であるところが印象的だった。
通して見ると日本国大称賛ムービー。
古き良き日本の文化、街並み、人の温もり。
今では少し懐かしくなってしまった「絆」とか「がんばろう日本」とかのスローガンを思い出す。
廃れつつある日本を守っていくために、スマホに夢中になっている現代人を呼び覚ますように、太古の日本から見守ってきた大地の神々が警告しているのかもしれない。
過去のものにするのではなくしっかり向き合っていく。
ただ、これがなかなか難しい問題で。
自分は直接的な被害者ではないから好きに言えているけれど、当事者にとって見れば向き合うことは何より難しい。
震災遺構を残すべきか残さないべきか。
風化させないためにも人々が生きた証にも残すべきだ。
外野はなんでも言える。
劇中にも建物の上に乗っかった漁船が出てきた。
今作のキーとなる日本各地の廃墟もそうだ。
残すにしろ残さないにしろ、12年経とうが75年経とうが復興は容易なものではない。
町の復興はもちろん、心の復興は更に難しい。
できることはそこにあった人々の想いを感じ取ること。
そうすれば必ず扉は閉まる。
地震を引き起こす存在。この作品ではミミズと呼ばれていた。
禍々しいその存在には霊体ミミズを思い出さずにはいられなくて、白石晃士監督!?と思わず声が出そうになった。
いいね、新海くん!
扉の向こうにはあの世=常世が広がる。
それはただただ美しい。
しかし、同時に危険な場所でもある。
まるで禁断の果実。足を踏み入れた鈴芽はイブなのか?
まあ、これ以上考察はしないけれど、実際ラストで話が冒頭部分に繋がるように、鈴芽と草太は何か運命的なもので結ばれたペアであったことは間違いない。
東京の一幕でのトロッコ問題。
草太1人を取るのか何万人もの人を守るのか。
答えは決まっていたんだと思う。どちらを取ってもそれが正解なんだと思う。
日本国大称賛ムービーと言ったけど、日本人的感覚も取り入れられていると感じた。
扉を越えるためには敷居を跨ぐ。
そこから先は別世界、人の家へ行くときも敷居を跨いだら靴を脱いでその世界へお邪魔する。
東京でミミズに乗っかって空へ飛ぶシーンで鈴芽は靴を落っことすけれど、それもそういったことなのではないかと思った。
これは日本人特有の感覚だと思う。
現在海外でも公開されているみたいだけど、海外の人にはどういう風に映るのか……
そして、この敷居は今回三途の川の役割を果たしている。
常人が踏み入れてはいけないライン。死の世界への線。
そこにしっかりと鍵をかけ、さらに要石で封印する。
面白い、面白すぎる。
元はと言えば…ってところもあるし(これも必然だとは思うけど)、鈴芽ちゃんは自分勝手すぎて好きになれなさそうなのに、なんか人間らしくて良いキャラだったから普通に好きになれた。
椅子、ダイジンなど、アニメならではのキャラクター造形も素晴らしい。
みかん農家の子とか兵庫のママとかもっと見たかった感はあるけど、芹沢が最高だったので◎
そりゃファンも増えるわ。
そしてプレイリストのセンスよ!あそこでけんかをやめてとか最高じゃん笑
テキトーに言いたいことを言ったけど、本当に面白かった。
アニメーション映画を観ないというのもあるけれど、ここ数年で観たアニメ映画の中では1位2位を争うかも。
近いうちに前2作も復習しなくては。
最後の戸締まりしてみました
懐かしさを感じる映画
作家として、3.11に向き合う。
2回目見たら3.5
鑑賞後の気持ち
1回目見た時は評価2くらいでした。ストーリーが無理やりつなげたような感じがしてツッコミどころ満載だったので。
2回目は部分部分のいいところに注目して観ました。そうしたら3.5になりました。
鑑賞後の心の変化
行ってきますとお帰りを大切にしようと思った
鑑賞後の行動の変化
行ってきますとお帰りは絶対に言うようにした。
いつ死んでもいいように生きる努力をしようと思った。
好きなシーン
ただいまっていうシーン
嫌いなシーン
おばさんの本音の一部が出てしまうシーン
日本の宗教観や世界観があふれるストーリー
記憶に新しい、東日本大震災。ほかにも神戸の震災や熊本の震災など、日本では毎年のように各地で大きな地震に見舞われている。
それが、日本列島に住むミミズによるものだったら。その厄災を抑えるための閉じ師がいて、要石という封印のための生贄が必要だったら…。
自然災害に追われる日本において、古くから意識下に続く自然の神様を畏れ、敬う気持ちを体現するストーリーで、なんとも言えない感動がある物語だった。
鈴芽はどこか自分の命を顧みない自暴自棄さがある少女だったけれど、それでも草太を助けようと必死になり、彼を好きでいることで自分も生きたいと思えるようになったことで、彼女自身の成長のストーリーでもあるなと感じた。
実はインドの映画館で観たのだけれど、子供から大人までいろんな人たちが観に来ていて、そしてこの日本特有の世界観を彼らはどんな風に感じて見ていたのかな、というのがとても気になった。
ちなみに私はボロボロ泣いてしまった。映像も美しいし、ストーリーも心が洗われるし、よかった。
映像はとてもきれい
想像の範囲内で終わってしまって残念
PVを見た時のシチュエーションから
・普通の暮らしをしてる主人公が、災害に関わる特殊なイケメンと偶然出会う
・不思議な出来事に巻き込まれてイケメンと仲良くなる
・中盤でイケメンと突然関係が途絶える
・苦難を乗り越えてイケメンと感動的に再会
・衝撃の感動的なフィナーレ
という流れが思い浮かんだけど、見事にそのまんまで終わってしまって消化不良でした。
ちらっと写った序盤のシーンの相手がタイムスリップした自分でしたーと言われても、姿も写ってないし視聴者目線は何も衝撃が無い。
絵日記で椅子持って3人立ってる絵を見て察しましたが、心の中では(椅子を過去の自分に渡しちゃったらその椅子がループの中で老朽化する矛盾が…)と思って渡すな渡すな渡すなって考えてましたが監督がドヤ顔するかのように椅子を渡す描写見せられて終わりました。
まあでも演出やBGM、イラストなど全体的にクオリティは高いので気持ちよく見れました。
おかえり。言葉の重さ
そうたとすずめの交わした「おかえり」の一言で幕を閉じた違和感。その後、考察を拝見して言葉の重さに鳥肌が立ちました。
突然日常を奪われた悲しさ、幼い頃のすずめと出会った際の、母がいなくなった理由をうまく説明してやれないもどかしさ。災害を通じていろんな人の心に癒えない傷ができていることを再確認しました。
土地に残る人の思いに寄り添い、扉を締めるシーンは切ない気持ちになります。人の念は強いですね
ロードムービーはいいなぁ
TOHOシネマイレージデイ まだやっていた
火曜日だけど休日前日なので館内は結構混雑
そういえばこの監督の作品を映画館で観るのは初めてだ
君の名はレンタルしたような
天気は録画してあるがまだ見ていない
久々のアニメアニメ声が新鮮
でもやっぱり役者が混じっているんだな松本白●とか
まんま出てくる自販機とかコンビニとか商品とか
金を集めることも大事なのだろうがちょっと気になった
エンドロールのスタッフの多さは圧巻
親戚とか同級生が名前を見つけたら誇らしいだろう
自分の甥がこの作品に関わってました とか
太古の昔からロードムービーはいいなぁ
幸せの黄色いハンカチ ミッドナイトラン ドライブマイカー
ベイビーブローカー あと何だっけ
自分によくしてくれる人に偶然巡り会ったり
なおかつ密に付き合ったり…とか最高だ
まぁ空想だが監督のメッセージは伝わった
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