「未来へのメッセージ」すずめの戸締まり 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
未来へのメッセージ
東日本大震災から10年間。
新海誠監督が10年間。考え続け考え抜いた
「ひとつの答え」
そんなメッセージを受け取りました。
3・11で家族や大切な人を亡くした多くの日本人たち。
心の傷は家族を失わなかった人にも、心に大きな爪痕を
残しています。
「ミミズ」と宗像草太がそう呼ぶ《地震の予兆》
それは大地や海から、
《赤黒くて太い竜巻のように空に向かって突き上げてくる》
草太は地震の予兆を止める【閉じ師】が家業だ・・・
そう言い全国を放浪している。
ミミズの吹き出し口である「扉」を見つけては閉じているのだ。
ある朝、学校へ向かう坂道で、草太から「この辺りに廃墟はないか?」
と聞かれる。
そこは九州の宮崎。
岩戸鈴芽が叔母の環と暮らす土地だ。
「君の名は。」「天気の子」と比べても、ファンタジー要素はとても
大きくなっています。
気候の「超常現象」や「入れ替わり」より、人が「椅子」に
変えられるのは
「美女と野獣」で家来がティーポットや時計や羽根ばたきに
変わるのに良く似ている。
童話のようだ。
作画は写真のように精密だった前2作に較べると意図して水彩画のような
描き方や「ミミズ」が竜巻のように湧き上がるシーンは民話やホラーを
思わせる。
鈴芽(すずめ)や叔母の環(たまき)の顔も平板で特別な美少女には
描かれない。
「君の名は。」と「天気の子」でストーリーを主導するかのようだった
音楽(RADWINPSの歌の歌詞)も、でしゃばらずに、密やかに流される。
その草太と一緒に九州から愛媛そして神戸。
草太(椅子)と鈴芽が、生まれ故郷の実家のある東北へと
旅するロードムービー。
草太はダイジンと呼ばれる話す猫から鈴芽の母親の形見の黄色い椅子に
姿を変えられてしまっても同行して要石で閉じていた災厄が
現れた場所を次々と訪れる。
現実離れした設定だが、アニメにしか出来ないファンタジー。
行く先々、愛媛や神戸で親切な人に世話になる。
草太の学友の芹沢が神戸から東北の鈴芽の生まれた家まで送る
赤いオンボロ・オープンカーの車内でカーステレオから流れる懐メロ。
平山みきの「真夏の出来事」
河合奈保子の「けんかをやめて」
誰の好みなのか?この辺りは肩の力が抜けて楽しい。
災害(地震)の扉の【閉じ師】が現実に存在して、予兆を閉じて行く。
草太がミミズに必死で祝詞を唱え「かしこみ、かしこみ・・・」
と大声で唱えて、力の限り「扉」を閉じるシーンは圧巻。
鈴芽も力を合わせるのだ。
鈴芽の名字が岩戸というのも「天の岩戸」を連想する。
閉じ師の草太と行動する勇敢な少女・鈴芽は死を賭けて
ミミズを止めに行く。
天災も人知で防ぐ事が出来たら?
それが新海誠監督の出した「答え」
新海監督の「願い」
いつかは天災を科学が人知が止める日が来る。
最後の地点は鈴芽が亡き母親と暮らした岩手県大槌町辺り?
そこで鈴芽は過去(震災)と向き合う。
そして震災の日(過去)の戸締まりをして、未来へ向かって
生きて行く。
草太は言う。
「死にたくない。生きたい、生きたい、もっと」
鈴芽も草太も「命はかりそめ」と知っている。
それでも「限りある命」
人は今を生きる。
琥珀糖さん
コメントを頂き有難うございます。
あちこちで揺れる日本列島。今年は非情にも元旦に大きな揺れが起きてしまいました。
琥珀糖さんの仰るように、新海監督の強い願いを込めた『 戸締り 』なのでしょうね。
おはようございます。共感等ありがとうございます。新年早々に色々あって複雑な気持ちです。老体ではありますが、のうのうと横たわって映画鑑賞出来る自分に不条理を感じるくらいです。
今後ともよろしくお願いします。
おはようございます😃
どなたかのレビューに、
インドで観て、子供が大喜びしていた、とありました。
そうですね、私でも、外国で
観る事ができるんだ、日本語だから、と思いました。
行けば、の話ですが。
返信結構ですよ🌺
コメントもいただきましてありがとうございました😊
いつもながら、誠実で優しいお人柄がわかるレビューとコメントありがとうございました😊
今後とも色々お話させていただきますよう、よろしくお願いいたします🤲
こんばんは😊
共感コメントしていただきましてありがとうございました😊
"日本は災害大国だから、慣れている"とか、TVのアナウンサーなどの言葉で耳にします。なら、一番に対策を、と思ってしまいますよねぇ。
とにかく、被害者が出ないようにして欲しいのに。😢
もう、映画館以外で観る事ができるんですか?今、方々で上映されていますね。
🌸☘️🌺
こんにちは。そうですね、科学や人知によって災害で失われる命がなくなればいいですね。
特に日本は地震大国で、過去に多くの災害を経験しているからこそ、今後も起きるであろう災害に充分備えることができるはず。ただ、人間はついつい傲慢になって自然の力を侮ってしまいます。
地震による津波が予想されたにもかかわらず、充分な対策をとってこなかったために多くの人々が犠牲になり、原発も事故を起こしました。そして南海トラフ巨大地震が近いうちに起きるとの予測があるのに、再び原発事業を推進しています。
災害で多くの犠牲者が出るたびに人間は所詮自然に生かされてる存在だと思い知らされます。だからもっと謙虚になって自然と向き合うことが大切な命を守ることにつながると思います。