「正反対で同じな二人」すずめの戸締まり 黒糖さんの映画レビュー(感想・評価)
正反対で同じな二人
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封切りで見て、やっとレビュー書こうという気持ちに。
映画全体としては本当に良く出来ていて、相変わらず美しさとリアリティを貫きながらも、今までの作品よりクスッと笑えるポイントも多くて。
何度でも見たいし、定期的に、春や夏に見たくなるのだろうと。無くなった世界を思い出すように。
それはそれとして、主役であるすずめと草太さんのパーソナリティのリアルさに舌を巻いたのでその話を。
すずめは2011年に被災した孤児で、「人間はいつ死ぬか分からないから」と、自暴自棄な面がある所が映画では何度も描写されます。
人のために死んだ母親をなぞって、どうせ失うならと命を有効に使う場を探している側面があります。
看護師を目指しつつも、「それまで生きていられたら」という前提で序盤ではものすごく熱心という事もない様子です。
一方草太さんも作中ではっきりと明言されていませんが彼も被災した孤児です。
そして彼の場合は「人間はいつ死ぬか分からないから」やりたい事を生きているうちに全てやろうとしているように見えます。
どうせ失うならと、死ぬまでに家業も続けたいし、教員になりたいし、こんな所で終わりたくないのです。
なので、浮世離れした外見に反して生に貪欲でオーバーワーク気味です。
そういう意味で、二人は幼い頃に場面は違えど同じ傷を負って同じ結論を得た同士でありながら、その傷へのアプローチが違う二人なのです。
だからこそ、惹かれたし寄り添えたんだろうなと思うし、その正反対のアプローチが『人』だなぁと思うのでした。
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