「 ジブリのオマージュを感じたのは、自転車で坂を下る少女、空を蠢く化...」すずめの戸締まり てつさんの映画レビュー(感想・評価)
ジブリのオマージュを感じたのは、自転車で坂を下る少女、空を蠢く化...
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ジブリのオマージュを感じたのは、自転車で坂を下る少女、空を蠢く化け物、言葉を話す猫、喫煙、そして懐かしのメロディーかな。地震の原因がなまずではないのが驚き。でも、要石とやらで鎮めれば良いというのも腑に落ちない。『君の名は』で、過去の惨事をパラレルワールドを使って回避したのも好きになれなかった。本作も『天気の子』も、主人公が空中を浮遊するが、本作の方があらゆる場面でご都合主義である。過去の家族に向き合うのは、『未来のミライ』にも似た感じがした。東日本大震災を体験して西日本で避難生活していた少女がその故郷に向かうロードムービーという設定は、『風の電話』と同じである。つい先日旅した JR 気仙沼線 BRT 大谷海岸駅と三陸鉄道織笠駅が結末で出てきていて、主人公の実家はその近辺であると推定される。
NHK『クローズアップ現代』を観て、この作品だけでなく、『君の名は』にも批判が寄せられていることがわかった。それでも、監督はエンタメで共感を促す物語をつくりたいということで、村上春樹とも似た設定の作品ができあがったということらしい。非当事者への共感を広げることにはかなり寄与したのかもしれないけれども、当事者からの共感を得るために、監督自身が制作過程でどのような努力をされたのかが問われているのではないかとも思った。
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