「この脆く儚くもあまりに美しい世界」すずめの戸締まり ますぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
この脆く儚くもあまりに美しい世界
地震
地球表面を構成している岩盤の内部で
固く密着している岩石同士が断層を
境目にして急激にずれ動くこと
これによって起こる大きな地面の振動
(地震動)
日本は地震大国で100年に一度は
歴史的大地震が必ず起こっており
太古より地中深くの巨大ナマズが
暴れることで起こるとされ
要石でナマズを抑えることで
地震を防ぐという信仰がなされている
神社もある
これまでも美麗な日本の風景を
舞台に隕石や洪水などの自然現象を
テーマにしてきた新海誠作品
今回はついにこのテーマ
感想としては
一言今作も素晴らしかったと思う
伏線を少しずつ回収していきつつ
ずっと抱えていたモヤモヤがラストで
スッキリ晴れる作りは見事でした
あの人(子)を救うためなら
世界がどうなってもかまわない
という選択が結局正解になるという
監督ならではの展開も上手にはまって
いたと思います
新海作品では珍しく
ダイジンやイスなどのキャラクター
が登場したり目新しさもありますが
何より手がかりのないダイジン
探しにハッシュタグ付きのSNSが
役にたったり交通系ICが足取りの
手掛かりになったり現代のツールを
しっかり理解して作られてる感じが
親近感と没入感生んでると思います
田舎の女子高生がスマホ一個で
宮崎から東京まで行けるか?
行けちゃうんですね
(残高さえあれば)
しょっちゅう故障で屋根が閉まらない
某社のオープンカーなど
これを出すからにはこうなるといった
仕掛けがちゃんとあって細かい
そんな近代の日本がこれまで
経験してきた未曽有の大震災の中心地を
主人公たちが意図せず立ち寄っていく
展開には日本人ならではのそこ行くんだ
みたいな複雑な心境になりますね
そしてかつて訪れた人の思いがたくさん
あったはずの夢果てた廃墟から
ミミズが這い出して来る・・
いくつもの大災害があっても
いつしか忘れて気が緩んだところで
また突然どうしようもない災害が
起こるというジレンマを
表現していたように思いました
そして
主人公たちが最後にたどり着く
「あの地」
テレビを介して目の当たりにした
あの地獄のような光景と
新海作品の書き込まれた災害前の
美麗な風景でやられるとこうも
刺さるのかと思ってしまいました
そうした災害にあたっても
人々はどうにか割り切って生きようと
するけどどうしても納得しきれず
漏らしたくなる本音があります
母を失ったすずめを引き取った環が
思わず吐露するシーンなどにも
よく表れていました
でもそのシーンで出てきた
「そういう思いもあるが
それだけではない」
この一言は全てですよね
こうした作品を3年に1度の
サイクルで作るたびに
人材が集まってきて進化する
新海作品
かつては・・某スタジオが
これをやっていたわけですが
あちらはもう公園作るくらいしか
やる事がなくなってしまいましたが
(新作製作中ですが)
それを観ていた世代の人たちが
こういう作品作るわけですから
受け継がれていると言えます
今作も前作以上に大ヒット
するんじゃないかなぁと思います