「日本の未来と過去の悲しみを織り交ぜながら描いたロードムービー。新海誠の勇気に拍手」すずめの戸締まり あささんの映画レビュー(感想・評価)
日本の未来と過去の悲しみを織り交ぜながら描いたロードムービー。新海誠の勇気に拍手
本作、日本神話のエッセンスも散りばめられています。
私は小説を途中までしか読んでいないのですが、読んだところまでは映画と全てオーバーラップ。
圧倒的な映像美は新海誠監督の世界観そのもの。
そして今作では“鍵穴”がクローズアップ(君の名は。では襖の敷居)。
廃墟、いつ起こってもおかしくない大地震…。さらには2011年3月11日のあの悲劇と重ねて描かれた大作。この部分は非常にセンシティブでトラウマを抱える人にとっては辛い描写もある。
扉が開いた廃墟に、過去や人々の悲嘆や喪失が詰まっているように、本作にも様々な人の想い、悲しみ、希望が重なるのではないかと思う。
はなぜか自然と涙が流れ、前作、前前作とは全く違った演出や世界観に感動が生まれた。
あらゆる場面に新海監督のエッセンスが散りばめられていて、“あの作品”の劇中音楽が流れるのも感慨深い。
宮崎から東北まで、すずめが草太と扉を閉じるために奔走する姿には胸が高鳴り、行く先々での人々との邂逅と温かさがもたらすロードムービー要素もしっかりと含まれている。
個人的にグッと来た舞台は神戸。
二宮ルミの声を担当した伊藤沙莉がまた最高。関西弁の微妙に異なるイントネーションの細かい部分も細やかに再現していた。あの遊園地は「奥摩耶遊園地」のことだろうか。様々な想像を掻き立たせてくれる。
ちなみに、本作には陰陽道も用いられているのではないだろうか。
とにかく、スクリーンから目が離せずグイグイ観客を世界観に引き込む演出にはあっぱれだ。きっと多くの人がストーリーに夢中になるだろう。
「君の名は。」「天気の子」に続く災害ものに、ファンタジー、アクション、サスペンスを含む本作に引き込まれるはず。
きっと何かに、誰かに想いを馳せて、涙を流すことだろう。
是非、IMAXで堪能してほしい。
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11/20追記
別のところで、本作は日本神話と大きく関連していると聞き納得!
岩戸すずめ→最初の扉を開ける、岩戸を開ける→アメノウズメ
宗像草太は人々の恨みの想念、怨念を鎮める一族→宗像三女神。宗方大社(福岡にある神社、実際に海外などに対する岩戸閉じの役目を担っていた。)、その神社の親神がスサノオノミコト。つまり草太はスサノオノミコトを表している。
ダイジン、サダイジン→タカミカヅチ、フツヌシ
ふむふむ、とても奥深い
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●12/4追記、二度目の鑑賞
人々の怨念や悲しみが歪みとなって、その歪みが溜まるとミミズが発生し、大地震に…。
草太の唱える呪文にも、本作の伝えたいメッセージが込められている。
神の土地である日本各地を好き勝手に開発した私たち人間たち。
新しく何かを建てるときや創るときには祈るのに、廃墟になったり、用無しになればそのまんま。
つまり、すずめは、そういった怨念が溜まった場所に空いた扉を閉めて回ることで、鎮魂している。
天照大神を外に出させたアメノウズメが“戸締り”をするとというのも面白い。
あの地への祈り、鎮魂。涙が止まらなかった。
マイナス評価の人は過剰に反応しすぎでは?とも思うけど、やはり3.11を経験した被災者にとっては言葉に表さないほど辛いだろう。これは当事者にしか分からないこと。
そういった批判されることも織り込み済みでの製作、上映だろう。
私たちは常に死と隣り合わせに生きている。辛く悲しい過去も受け入れながら、それでも前を向いて、希望を捨てずに歩いて行こう。
そして、いつ起こってもおかしくない南海トラフ大地震をはじめとする数々の災害に対する警告や防災を忘れぬようにとやんわりと呼びかけているようにも感じた。
歌は鎮魂、震災で亡くなった人を追悼の意があったのですね。レクイエムです。
私が映画館で観ている途中に地震があってビックリしましたが、帰宅してからニュースを見て震度3の地震だったことを後に知りました。
ルミの声が伊藤沙莉さんだったこと、旅の途中での偶然の出逢い、道路に散らばった🍊を網でナイスキャッチしたシーン、伊藤沙莉さんは親しみやすさのある女性で月の満ち欠けにも出演していたかと思います。
未レビューですが。
あささん、こんにちは。
悶です。
レビューへのコメントありがとうございました。
あささんも追記で、本作品への考察を深めていますね。
私が鑑賞後、レビューを書いているのは、こうした考察が好きだからです。
さて、今回は、神話をベースに感想を綴りましたが、新海誠監督作品では、これまでも、「君の名は。」や「天気の子」で、日本古来の信仰が取り入れられていて、とても日本的なアニメになっているところがお気に入りです。
また、私のもうひとりのお気に入りである宮崎駿監督も、「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」で、日本古来の信仰を作品に取り入れていたので、新海誠監督は、その作風を受け継いでいるのかな、といったことも感じています。
今後も、共感作があれば、コメントください。
それでは、また。
あさ様、こんばんは★
共感ボタンありがとうございました。余韻が残るロード・ムービーでしたね。すずめとそうたが出逢えた奇跡、まだまだ続きがあるようなラスト
清々しい気持ちになりました。また、どうぞよろしくお願いします☆🐿
魅力を存分に表現されてるレヴュー沢山ありますから。僕は書きません。笑
美しい描写と繊細な機敏を描く監督が、望まれた仕事を次のステージに昇華させたなと思いました。さすが天才。今後も楽しみです。
あささん
コメントありがとうございます❗️
かえるくん、は『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫)に収められています。文庫の表紙には、『after the quake』という英訳版のタイトルと思しき副題もついています。
触れてはいけないのかもしれないけれど、何かを描くことで寄り添いたいと思うクリエイターの方々の勇気には本当に敬意を覚えます。
今晩は。
コメント有難うございます。
今作は、大変愉しく美しき新海監督ならではの、自然描写も楽しみながら、”これは、批判的に捉える人が出るだろうな・・”と思いながら観てました。(で、実際に厳しきレビューあり。)
私は、東北に縁があり、数年前まで福島の復興具合を現地現物で見てきましたが、今作の意義は、自然災害から目を背ける事無く、キチンと描くことで、日本全体のBCP意識が向上するよな、と思いつつ、瑕疵なきストーリー展開に魅入られました。
特に、ミミズや廃墟に戸が出来るとか、新海監督の発想力及びそれを確かな描写で観る側に伝えるスキルの高さ。
あとは、すずめの道中、彼女を助ける人々の善性が心に響きましたね。
では。これからもよろしくお願いいたします。
いかねば(笑)
ハイボールヤバいっす。
あれ、チート。お菓子だったら一週間、ビールだったら三週間減量必要だったのが、あら不思議。NO下っ腹ぁ~。
ハイボールがあれば、あら不思議。
「君の名は」が楽しくってしょーがない。主にアルコールが。笑
伊藤沙莉って、声ですぐに気が付きましたよね。酒やけっぽくて良かったですね。
地震がテーマで、神戸→東北は攻めてますよね。
私はたくさんの「行ってきます」にとても泣けました。あの日もそうだったのだろうと。
11日以降混雑するでしょーね。
アニメ映画だけ客入り凄いし。
コロナ禍でアニメ見る人増えたし。
スパイファミリーもチェンソーマンも異世界おじさんも皆見てるし。
新海監督作品は100%観てるし。
僕の中では
昭和=プロ野球+ビール
令和=アニメ+ハイボール
って感じです。間違いですけどね。笑