ぼけますから、よろしくお願いします。 おかえり お母さんのレビュー・感想・評価
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信友家の軌跡 老いと死を真正面から捉えた愛に溢れた作品
映画に多くの人が求めるような粋な演出や洒落っ気な映像があるわけでもない。広島呉市に暮らす、年老いた両親と一人娘の3人家族の記録がフィルムに収められている。正直直視したくない作品かもしれない、だけどきちんと見なくてはいけない作品なんだ。
なぜだろう、本作には生きる本質が描かれて、とびきり美しく、生きる希望が詰まった力強い作品だ。これほどまでにこの作品に惹きつけられるのは、ひとえに信友一家の家族の人柄と監督の思いがそうさせているのだろう。
想像していた以上に素晴らしい作品だった。
監督・撮影・語りの信友直子監督のご両親の老老介護を描いた作品だが、監督の「お父さん」「お母さん」とカメラ越しから呼びかける優しい声、映像から伝わる両親への愛と感謝の気持ちが溢れ出していて、見ている私は涙が止まらなかった。
本作に映し出された夫婦の姿は他人事ではない。「老いと死」人間誰しもが通る道。きっとみんな、自分自身や両親のことを重ね合わせて見るのではないのだろうか。
どれだけ年老いても、どれだけ辛い現実に直面しても、お母さんに寄り添うお父さんの姿、お父さんに労りの言葉をかけ続けるお母さんの姿に心が震える。夫婦の互いに敬う姿に切なくって、温かい気持ちに包まれる。
そう、本作は信友家の夫婦の生きた証、信友家の軌跡と愛の物語なんだと。
お父さん、120才まで生きてください。直子さん、ご両親を撮り続け素晴らしい作品を世に送り出してくれてありがとう。
信友家に幸あれ!
そして人生は続く
人間は
タイトルなし(ネタバレ)
信友直子監督が自身の両親を撮った『ぼけますから、よろしくお願いします』の続編的作品です。
昨年、短縮版的作品がテレビ放映されており鑑賞しているので、前作以降どのようになったのは知っている上での鑑賞です。
広島県呉市で暮らす信友直子監督の両親。
母親が80歳を過ぎてから認知症を発症し、それまで家事など一切していなかった90歳を過ぎた父親が、介護と家事を行うようになった。
その老々介護ぶりを撮ったのが前作。
それから・・・
映画公開の直前、母親は脳梗塞を発症し、自宅の食卓で倒れ、そのまま入院となってしまう。
父親は毎日1時間かけて入院先へ面会。
そのうち、父親も身体に異変が生じ、鼠径ヘルニアと診断され、手術することに。
母親の病状は少し恢復するが、再び脳梗塞を発症・・・
という展開。
前作の後、老々介護がどうなったのか?と思っていたら、突然の母親の入院で劇的な展開となります。
実際の出来事なので、うわぁぁぁということになるわけですが、劇映画でこんな展開の脚本を書いたら却下されるだろうなぁ、と思ったりしました(すみません)。
それにしても驚かされるのは、父親の生命力、その力強さ。
妻の入院も、毎日の面会が苦になるどころか、日々の生きがいのようであり、ヘルニア手術後も翌日からリハビリへ取り組み、妻が自宅へ戻って来たときのために筋トレに勤しむ。
生きるということは毎日の務めであることを改めて実感しました。
副題の「おかえり お母さん」は、二度、母親が帰宅することを表わしており、ひとつは認知症が重くなり、転院せざるを得なくなった際、短時間の自宅立ち寄りの際、それまで無反応だった彼女が感情を露にするところと、もうひとつは最期を迎えた彼女が骨となって遺影とともに戻って来るところ。
お母さんには自宅が似合う、それは写真になっても、そうでした。
父親はひとり遺されてしまうわけですが、多くの場合、気が抜けたようになるでしょうが、信友監督も頻繁に実家に戻り、お父さんの日常をZoomで配信している。
いやぁ、まだまだ長生きしそうです。
長生きしてください。そう願うのでした。
前作が老夫婦の老々介護のドキュメンタリーだったとしたら、本作は老夫婦の永年連れ添った愛の軌跡のドキュメンタリーといえるでしょう。
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タイトルなし
認知症と脳梗塞の実母を最期まで撮影したのがすごい
認知症になったお母さんと老老介護するお父さんを、ひとり娘の監督が記録した「ぼけますから、よろしくお願いします。」の続編。
お母さんの認知症はさらに進行し、脳梗塞まで発症してしまった。お母さんに面会するため、お父さんは毎日1時間かけて病院へ通い、いつかお母さんが帰ってきた時のためにと筋トレを始めた。そんな時、お母さんの左の脳にも新たな脳梗塞が見つかり、病状は悪化していった。そして2020年3月、新型コロナウイルスが日本でも感染拡大し、病院での面会が出来なくなった。そして口から食事が取れなくなり、胃ろうを続けていたが、ついに・・・という作品。
95歳から老老介護を始めたお父さんも凄いし、認知症と脳梗塞の実母を映像におさめ、亡くなるまで撮影を続ける監督が凄い。
「働けるうちは介護しなくて良いよ。親のことを心配しなくて良いよ」、とかお父さんの一言一言に重みがあり、涙が出そうになった。
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